大阪公立大学法学部の編入試験|募集停止と最後の3年間の記録
最初にお伝えしなければならないことがあります。大阪公立大学法学部の編入学・学士入学(第3年次)試験は、2026年度入学生を最後に募集が停止され、2027年度入学者選抜からは実施されていません。実際に行われた最後の試験は2025年11月22日で、これは2026年4月入学者を選ぶための試験でした。
つまり、いまから大阪公立大学法学部への編入を目指すことはできません。この記事は、その事実を一次資料で確認したうえで、「何が起きたのか」「どんな試験だったのか」「これからどう進路を組み立てればよいのか」を整理するために書いています。
結論:大阪公立大学法学部の編入試験はすでに終了している
大阪公立大学法学部の編入試験について、2026年8月6日時点で確認できる事実を先にまとめます。すべて大学が公表している資料にもとづくものです。
- 2027年度入学者選抜から実施されていません。大阪公立大学は2024年12月20日付の「2027年度入試に係る変更について」で、法学部法学科の編入学・学士入学(第3年次)試験および外国人留学生編入学・学士入学(第3年次)試験を、2026年度入学生をもって募集停止とし、2027年度入学者選抜からは実施しないことを公表しました。
- 最後の試験は2025年11月22日(土)でした。2026年4月入学者を対象とする試験で、会場は杉本キャンパスです。
- 2026年8月時点の大学公式サイトでも確認できます。入試情報サイトの「編入学・学士入学試験」のページに掲載されている2027年度の学生募集要項は、文学部と工学部の2学部分だけで、法学部の要項は掲載されていません。
- 実施されたのは3回だけでした。大阪公立大学の第3年次編入は2024年度入学者選抜が最初で、2024年度・2025年度・2026年度の3回で終了しています。
- 3回の合計で、志願者76名・受験者63名に対し合格者は5名でした(日本人向けの区分)。公表資料上、いずれの年度も入学者数は0名です。
大学は募集停止の理由そのものを公表していません。ただし、後述する実施状況のデータを見ると、募集人員5名に対して合格者が1〜3名にとどまり、入学者が出ていない状態が3年続いていたことが分かります。
この学部はいま募集がありませんが、同じ分野で編入を実施している大学は他にもあります。いまの在籍区分で受けられる大学がどこかは、条件を突き合わせると見えてきます。
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募集停止の一次情報と、「年度」の読み方
編入試験の情報でいちばん誤解が生まれやすいのが「年度」の数え方です。大阪公立大学法学部のケースは、この誤解が実害につながる典型例なので、最初に整理しておきます。
入学年度と実施年度は1年ずれる
編入試験でいう「◯年度」は、原則として入学する年度を指します。大阪公立大学の入試情報サイトも、この点をわざわざ注記しています。2027年度入学者選抜は2026年度に実施され、合格すれば2027年4月に入学するという関係です。
この読み方を当てはめると、法学部の告知は次の意味になります。
| 入学年度 | 試験が行われた時期 | 法学部の編入 |
|---|---|---|
| 2024年度(2024年4月入学) | 2023年11月 | 実施(1回目) |
| 2025年度(2025年4月入学) | 2024年11月 | 実施(2回目) |
| 2026年度(2026年4月入学) | 2025年11月22日 | 実施(3回目・最後) |
| 2027年度(2027年4月入学) | 2026年11月 | 実施なし(募集停止) |
| 2028年度以降 | ― | 実施なし |
出典: 大阪公立大学「2027年度入試に係る変更について<法学部>」(2024年12月20日公表)、および同大学入試情報サイト「編入学・学士入学試験」ページ(2026年8月6日確認)。
「2027年度の要項がまだ出ていないだけ」ではない
編入の要項は大学によって公表時期がまちまちで、夏を過ぎてから出る大学も珍しくありません。そのため「まだ公表されていないだけかもしれない」と考えたくなりますが、大阪公立大学法学部については次の3点から、公表待ちではなく実施しないことが確定しています。
- 募集停止そのものが入試方法の変更として個別に告知されている(2024年12月20日付)。同じ告知のなかで一般選抜の募集人員が3名増えて158名になることも示されており、編入で受け入れていた枠が一般選抜側に回った形になっています。
- 2026年8月時点で、大学の編入学・学士入学試験のページには2027年度の文学部・工学部の要項が並んでいるのに、法学部の欄そのものが消えています。要項が未公表なのではなく、掲載対象から外れています。
- 2028年度についても、法学部の編入が再開されるという告知は出ていません。2028年度入学者選抜に関して公表されているのは、文学部の編入募集停止(2025年12月4日付)と、工学部の学科再編にともなう一般選抜・特別選抜の変更などです。
大阪公立大学で編入できる学部(2027年度時点)
法学部が募集を停止した一方で、大阪公立大学のすべての学部が編入をやめたわけではありません。2027年度入学者選抜として要項が公表されているのは、次の2学部です。
| 学部 | 入学年次・募集単位 | 出願期間(郵送必着) | 試験日 |
|---|---|---|---|
| 文学部 | 第3年次(哲学歴史学科・人間行動学科・言語文化学科・文化構想学科) | 2026年10月5日〜10月8日 | 2026年11月7日(土) |
| 工学部 | 第2年次(建築学科1名)/第3年次(航空宇宙工学・海洋システム工学・機械工学・都市学・電子物理工学・情報工学・電気電子システム工学・応用化学・化学工学・マテリアル工学・化学バイオ工学の11学科) | 2026年5月7日〜5月11日 | 2026年6月7日(日) |
出典: 大阪公立大学 2027年度 文学部 編入学・学士入学(第3年次)学生募集要項、同 工学部 編入学・学士入学(第2年次、第3年次)学生募集要項(いずれも2026年8月6日確認)。
ただし文学部も先が長くありません。大阪公立大学は2025年12月4日付の「2028年度入試に係る変更について<文学部>」で、文学部の編入学・学士入学(第3年次)試験を2027年度入学生をもって募集停止とし、2028年度入学者選抜からは実施しないと公表しています。あわせて、文学部の外国人留学生学士入学(第3年次)試験は2027年度入学者選抜から募集停止となっています。
つまり大阪公立大学の編入の入口は、法学部(2026年度まで)、文学部(2027年度まで)と順に閉じていき、2028年度以降に残るのは工学部が中心という流れになります。大阪公立大学そのものに強い志望がある場合は、学部を変えて編入するのか、一般選抜で1年次から入り直すのか、大学院進学を目指すのかという3つの選択肢を、早い段階で比べておく必要があります。
工学部・文学部の日程や募集学科も年度によって変わります。出願を検討する場合は、必ず大阪公立大学の公式サイトで最新の学生募集要項を確認してください。
実施された3年間の実施状況(大学公表データ)
大阪公立大学は、入試結果のページで「特別選抜、編入学・学士入学試験 入試結果」というPDFを年度ごとに公表しています。この資料に、学部・学科別の募集人員/志願者数/受験者数/合格者数/入学者数が掲載されています。法学部の3年分を抜き出すと次のとおりです。
日本人向けの区分(編入学・学士入学)
| 入学年度 | 募集人員 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学者 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年度 | 5名 | 31名 | 26名 | 3名 | 0名 | 8.7倍 |
| 2025年度 | 5名 | 28名 | 25名 | 1名 | 0名 | 25.0倍 |
| 2026年度 | 5名 | 17名 | 12名 | 1名 | 0名 | 12.0倍 |
| 3年間の合計 | ― | 76名 | 63名 | 5名 | 0名 | 12.6倍 |
出典: 大阪公立大学「特別選抜、編入学・学士入学試験 入試結果」2024年度・2025年度・2026年度版。実質倍率は 受験者数÷合格者数 で編入総研編集部が計算しました。表の数値は法学部の「一般」の行です。
外国人留学生向けの区分
外国人留学生編入学・学士入学(第3年次)試験は募集人員が「若干名」で、公表データは次のとおりです。2024年度・2025年度は志願者そのものがいませんでした。
| 入学年度 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学者 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年度 | 0名 | 0名 | 0名 | 0名 |
| 2025年度 | 0名 | 0名 | 0名 | 0名 |
| 2026年度 | 2名 | 1名 | 0名 | 0名 |
この数字から読み取れること
- 募集人員5名に対し、合格者は一度も5名に達しませんでした。要項にも「個別学力検査の成績により、合格者数が募集人員に達しない場合があります」と明記されており、実際に3年とも定員を大きく下回っています。募集人員の数字だけを見て「5人枠なら5位以内に入れば受かる」と考えると、実態と大きくずれます。
- 実質倍率は年度によって8.7倍から25.0倍まで振れます。これは志願者が急に増減したからではなく、合格者数が1名か3名かで倍率が大きく変わるためです。合格者が1〜3名という規模では、単年度の倍率を難易度の指標として使うことはできません。3年をまとめた12.6倍(63名÷5名)のほうが実態に近い数字です。
- 公表資料では、3年ともに入学者数が0名です。合格者が実際には他大学へ進学するなどして入学に至らなかったことを示しますが、その理由は大学から公表されていません。募集人員を満たさない状態が続いていたことは、募集停止という判断の背景を考えるうえで重要な事実です。
- 志願者数は3年間で31名→28名→17名と減少しました。合格者が極端に少ないことが受験生の間で知られるにつれて、出願を見送る人が増えた可能性があります。
数値の取り扱いについて: この節の数値は、大阪公立大学の入試結果ページに掲載された全学共通のPDFのうち、「編入学・学士入学試験」の節にある法学部の行だけを抜き出したものです。同じPDFには文学部・工学部の行や、一般選抜・学校推薦型選抜・私費外国人留学生特別選抜など別の選抜区分の数値も並んでいるため、学部・区分・列の意味(志願/受験/合格/入学)を取り違えないよう確認しています。
大阪公立大学の3年次編入はなぜ3回で終わったのか
「実施されたのが3回だけ」という点には、大学の成り立ちが関係しています。事実関係を時系列で整理します。
- 2022年4月: 大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学が開学しました。法学部は大阪市立大学法学部の流れを受け継いだ学部で、募集要項にも大阪市立大学法学部の伝統を継承する旨が記されています。
- 2022年度・2023年度入学者選抜: この2年度の入試結果には、第3年次の編入学・学士入学という区分そのものがありません。2023年度に掲載されているのは工学部建築学科の第2年次編入だけです。開学して間もない時期で、3年次に受け入れる体制が整っていなかったためと考えられます。
- 2024年度入学者選抜: 法学部を含む第3年次編入が始まりました。開学時に入学した学生が3年次に上がるタイミングと一致します。
- 2026年度入学者選抜: 3回目の実施。これが最後になりました。
したがって、インターネット上で「大阪公立大学法学部の編入」として見つかる情報のうち、2022年より前のものは大阪市立大学法学部の編入試験を指している可能性があります。大学名も試験の中身も変わっているため、古い情報をそのまま参考にするのは避けてください。逆に、2024年度から2026年度までの3回については、大学自身が入試結果と過去問題を公表しているため、事実を確認しやすい状態になっています。
どんな試験だったのか(試験の構成と日程)
ここからは、実際に行われていた試験の中身を記録として整理します。同じ形式の試験を課す大学を受験する人にとっては、そのまま参考になる内容です。
試験科目と配点
日本人向けの編入学・学士入学(第3年次)試験は、論文と外国語(英語)の2科目、計300点で、面接や口述試験はありませんでした。合否は個別学力検査の成績と出願書類を総合して判定されます。
| 科目 | 時間 | 配点 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 論文 | 9:00〜12:00(180分) | 200点 | 社会科学・法学全般 |
| 外国語 | 13:00〜15:00(120分) | 100点 | 英語(英語Ⅰ・英語Ⅱの2題) |
注目したいのは配点の比重です。論文が200点、英語が100点で、論文が全体の3分の2を占めていました。180分という試験時間も、書く分量が相当あることを示しています。英語は「読めれば足りる」科目ではありませんが、合否を分けるのは論文だったと考えるのが自然な配点です。
なお、TOEICやTOEFLなど英語外部試験のスコア提出は求められていませんでした。英語は当日の筆記で測る方式です。神戸大学法学部のように出願資格として外部スコアが必要な大学とは、準備の進め方がまったく違う点に注意してください。
外国人留学生向けの区分は構成が異なり、出願資格の種類によって「論文(社会科学・法学の基礎)+口述試験」または「論文(社会科学・法学全般)+外国語(英語)+口述試験」の組み合わせになっていました。口述試験は点数ではなく「合」「否」で判定されます。
最後の年度の日程
2026年度(2026年4月入学)の日程は次のとおりでした。編入試験の出願がどれだけ短期間で進むかを知るうえで参考になります。
| インターネット出願登録開始 | 2025年10月3日(金)10:00 |
|---|---|
| 出願書類の郵送提出期間 | 2025年10月6日(月)〜10月9日(木)必着(簡易書留郵便) |
| 受験票の印刷開始 | 2025年10月23日(木) |
| 試験日 | 2025年11月22日(土) |
| 試験会場 | 杉本キャンパス(大阪市住吉区。JR阪和線「杉本町駅」東口すぐ) |
| 合格発表 | 2025年12月19日(金)10:00(大学ウェブサイトに受験番号を掲載) |
| 入学手続 | 2026年3月9日(月)11:00〜3月15日(日)12:00 |
| 入学検定料 | 30,000円(別途 支払手数料990円) |
出願書類の郵送提出期間が実質4日間しかなかった点は、他大学を受験する際にも意識しておきたいところです。出願期間の直前に証明書を取り寄せようとすると間に合いません。編入試験の出願は「短い窓が一度だけ開く」ものだと考えて、証明書類は数週間前から手配するのが安全です。
学費と入学後の扱い
2026年度の要項では、入学料は「大阪府民及びその子」が282,000円、それ以外が382,000円、授業料は年額535,800円と示されていました。入学料の区分は、入学者本人または同一戸籍の父母のいずれかが入学日の1年以上前から大阪府内に住民票を持っているかどうかで決まります。
単位認定については、出身校で修得した科目の内容に応じて認定が行われるものの、専門分野が大きく異なる場合は認定できないことがあると明記されていました。卒業要件は2年以上の在学と所定の単位修得で、認定できる単位が少ない場合は3年以上の在学が必要になることがあるという注意書きもあります。編入したのに卒業までに3年かかる可能性がある、というのは学費にも直結する情報です。
また、法学部の3・4年次の主な学びの場は杉本キャンパスですが、単位認定の状況によっては森之宮キャンパスで開講される科目を履修する必要がある、とも記されていました。
出願資格と必要単位の正しい読み方
編入試験の情報でもっとも事故が起きやすいのが出願資格です。大阪公立大学法学部の要項も、条文まで読まないと誤解しやすい書き方になっていました。他大学を受験する際にも同じ落とし穴があるため、正確に整理しておきます。
出願できたのは7つの区分
日本人向けの区分では、次のいずれかに該当することが条件でした。この試験は「編入学」と「学士入学」を分けずにひとつの試験区分として実施されていた点も特徴です。
- 大学(修業年限4年以上、外国の大学を含む)に2年以上在学し、外国語8単位を含めて54単位以上を修得した者、および入学前年度末までに修得見込みの者
- 短期大学(外国の短期大学等を含む)または高等専門学校を卒業した者、および卒業見込みの者
- 大学(修業年限4年以上、外国の大学を含む)を卒業した者、および卒業見込みの者
- 旧制大学学部の卒業者
- 大学改革支援・学位授与機構から学士の学位を授与された者、および授与される見込みの者
- 専修学校の専門課程(修業年限2年以上かつ総授業時間数1,700時間以上または62単位以上のものに限る)を修了した者、および修了見込みの者
- 高等学校の専攻科の課程(修業年限2年以上など所定の基準を満たすものに限る)を修了した者、および修了見込みの者
54単位は全員の要件ではなかった
ここが最大の注意点です。「外国語8単位を含む54単位以上」という要件がかかるのは、上記(1)の「大学に2年以上在学した者」の区分だけでした。短期大学・高等専門学校の卒業者、学士取得者、専修学校専門課程の修了者、高等学校専攻科の修了者は、卒業・修了そのものが出願資格であり、54単位という条件はかかりません。
この構造は多くの大学に共通しています。「必要単位◯単位」という要約だけを見て自分に当てはめると、本来は出願できるのに諦めてしまったり、逆に足りていないのに大丈夫だと思い込んでしまいます。出願資格は必ず、自分が該当する区分の条文まで読んでください。
事前相談が必要だった人と必要なかった人
大阪公立大学法学部で出願前の事前相談が必要とされていたのは、次の2つの場合だけです。
- 外国人留学生として出願しようとする者(出願資格の確認が必要)
- 出願資格(2)のうち、外国の短期大学、または文部科学大臣が指定した外国の短期大学相当の日本校を卒業(見込み)した者
締切は2025年9月12日(金)で、これは出願書類の郵送提出期間(10月6日〜9日)よりも約1か月早い設定でした。出願資格の確認を受けずに出願した場合、出願を受理できないことがあると明記されています。国内の大学・短大・高専・専門学校から出願する人については、事前相談は求められていませんでした。
出願の締切より前に別の締切が設定されている大学は少なくありません。「出願期間だけ見ていたら、その前の相談締切を過ぎていた」という失敗は実際に起こります。志望校の要項では、出願期間の前に何か手続きが要らないかを必ず確認してください。
大阪市立大学法学部の卒業者は出願できなかった
要項には、大阪市立大学法学部を卒業した者・卒業見込みの者、および大阪公立大学法学部を卒業見込みの者は出願できないという注記がありました。2022年の統合前の前身校を含めて、同じ学部を重ねて学ぶことを認めない趣旨です。統合によって大学名が変わった大学では、前身校の扱いが要項に書き込まれていることがあるので、該当しそうな人は見落とさないようにしてください。
何が問われていたのか(出題分野の記録)
大阪公立大学は編入学試験の過去問題を公式サイトで公開しており、2024年度から2026年度までの法学部の問題が掲載されています(著作権の都合により一部はウェブでは非掲載で、杉本キャンパス・中百舌鳥キャンパスの入試課で閲覧する形です)。さらに2026年度分については、大学が「解答例または出題の意図」も公表しています。
著作権の観点から、この記事では過去問の設問そのものは記載していません。出題された分野・テーマの水準にとどめています。
論文は「社会科学」と「法学全般」の二本立て
科目名は「論文(社会科学・法学全般)」の1科目ですが、実際には社会科学から2問、法学全般から2問の計4問を180分で書く構成でした。3回の実施で扱われた分野を並べると、次のようになります。
| 入学年度 | 社会科学 | 法学全般 |
|---|---|---|
| 2024年度 | 憲法改正の手続と、その限界をめぐる議論 | 憲法(家族に関する制度の合憲性)/民法(代理と相続) |
| 2025年度 | 国際経済と国際政治(貿易理論、政治過程の分析) | 民事訴訟制度のあり方/民法(不法行為と損害賠償) |
| 2026年度 | 法学・政治学を学ぶ目的と、リーガル・マインドの獲得/刑事司法をめぐる考え方の対比 | 民法(近代民法の基本原則)/民法(時効と対抗要件) |
ここから読み取れる傾向は3つあります。
- 法学全般は民法が軸でした。3回とも民法の問題が含まれ、最後の2026年度は2問とも民法です。代理と相続、不法行為による損害賠償請求権、時効と登記といった、いずれも学部2年次までに学ぶ標準的な論点が扱われています。
- 単なる知識の再現ではなく、対立する見解を整理する力が問われていました。大学が公表した2026年度の出題の意図でも、複数の要素を整理したうえで説得力のある文章を書けるか、対立する考え方を比較して長所と短所を抽出できるかを見ていると説明されています。「賛成・反対それぞれの理由を挙げたうえで自分の見解を述べなさい」という形式が繰り返し使われていました。
- 社会科学は法学に閉じていませんでした。憲法をめぐる政治的な論点が出た年もあれば、貿易理論と政治過程を扱った年もあります。法学部の試験でありながら、経済学・政治学の基本的な考え方を説明できることが求められていた点は特徴的です。
2026年度については、大学が出題の意図として「法学・政治学を学ぶ目的を正しく理解できているか」「授業を受動的に聞く以外に、リーガル・マインドを身につけるために必要な手段を自覚できているか」を確認する問題だと説明しています。編入後にどう学ぶつもりかを言葉にできるかどうかが、そのまま得点になる出題だったということです。
英語は2題とも和訳
外国語(英語)は英語Ⅰ・英語Ⅱの2題構成で、3回とも一貫して英文和訳でした。英作文や自由記述はありません。素材は学術書や法学系の論文からの抜粋で、扱われた分野は次のとおりです。
| 入学年度 | 英語Ⅰ | 英語Ⅱ |
|---|---|---|
| 2024年度 | 比較政治学(グローバルサウス論) | 法と科学(脳科学と証拠の信頼性) |
| 2025年度 | 法社会学 | 法と経済学(ゲーム理論と法) |
| 2026年度 | アメリカ連邦最高裁の説明 | 刑法に関する論文 |
大学が公表した2026年度の出題の意図では、英語Ⅰは英文の内容を適切に理解し、他者が読んで理解できる日本語として訳出する力を、英語Ⅱは和訳を通じて英語読解の正確さと内容理解の度合いを問うものだと説明されています。つまり、「意味が取れる」だけでは足りず、日本語として通る訳文を書けるかが採点対象でした。
素材が法学・政治学・法社会学・法と経済学と幅広い点も特徴です。英語の勉強を英語だけで完結させず、日本語で法学・政治学の入門書を読んで概念を知っておくことが、そのまま訳文の質に効く構成になっていました。この点は、法律英文の和訳を課す他大学でも同じことが言えます。
受験した人の声
最後の試験となった2025年11月22日の直後に、オンライン編入学院へ寄せられた試験直後アンケートから、受験者の感想を紹介します。
「英語の難易度高め。」/「基礎固めが大事!」
2026年度 大阪公立大学法学部 受験者(試験直後アンケート)
「民法の発展的な内容や聞いたことない法律用語が出てくるので難しかった」/「民法総則をしっかり復習したほうがよい」
2026年度 大阪公立大学法学部 受験者(試験直後アンケート)
2人とも面接・口述試験は「なし」と回答しており、要項どおり筆記だけで選抜されていたことが裏づけられます。感想として共通しているのは、民法の踏み込んだ論点まで問われたことと英語の負荷が軽くなかったことです。合格者が1〜3名という実績とあわせて考えると、基礎を一通り押さえただけでは届きにくい試験だったことがうかがえます。
これから法学部編入を目指す人へ
大阪公立大学法学部を志望していた人にとって、募集停止は志望校計画の作り直しを意味します。ただし、これまでの勉強がやり直しになるわけではありません。大阪公立大学法学部で問われていたのは、憲法・民法を中心とした法律論述と、法律・社会科学をテーマにした英文の和訳でした。この2つは、法学部編入の主要な受験校でそのまま通用します。
関西の国公立を軸に考える場合
関西圏で法学部の3年次編入を実施している国公立大学として、まず検討の対象になるのが神戸大学法学部です。論文2科目(法学概論・一般教養)が全員共通で課され、英語は当日の筆記ではなくTOEFL iBTまたはTOEIC L&Rのスコア提出という方式です。定員20名で実質倍率は近年2.6〜3.5倍と、大阪公立大学法学部の12.6倍(3年合計)とは規模がまったく違います。
ただし準備の順番は変わります。大阪公立大学は当日の英文和訳で英語力を測っていたのに対し、神戸大学は出願の時点でスコアが必要です。志望校を切り替えるなら、英語外部試験の受験計画を最初に立て直してください。スコアの取得には数か月かかることもあります。
国公立の範囲を全国に広げるなら、広島大学法学部も選択肢になります。法学部編入全体の実施校と難易度の比較は、法学部の編入難易度ランキングにまとめています。
関西の私立大学もあわせて見る
合格者が1〜3名という試験を経験した人ほど実感しやすいことですが、編入試験は1校だけに賭けると受験機会そのものを失う構造になっています。国公立と私立を組み合わせて、試験日が重ならないように配置するのが基本です。関西圏で法学部の編入を実施している私立大学には、次のような選択肢があります。
それぞれ試験科目も日程も違います。大学によっては同一日程で全学部の試験を行うため学内併願ができない、募集する学科が年度ごとに入れ替わる、といった条件もあります。志望校を並べる段階で、各校の要項にあたって日程と募集単位を確認してください。
大阪公立大学にこだわる場合の3つの道
- 学部を変えて編入する: 2027年度は文学部(第3年次)と工学部(第2年次・第3年次)で編入を実施しています。ただし文学部は2027年度入学生が最後です。学びたい内容が法律から離れてしまわないか、慎重に考える必要があります。
- 一般選抜で入り直す: 法学部法学科の一般選抜(前期日程)は、2027年度入学者選抜から募集人員が158名に増えています。編入で受け入れていた枠が一般選抜側に移った形です。時間はかかりますが、法学部に入る道としては残っています。
- 大学院進学を目指す: 学部は別の大学を卒業し、大学院で大阪公立大学に進むという進路もあります。学部の編入とは制度も出願資格も別なので、大学院の入試情報を別途確認してください。
よくある質問
大阪公立大学法学部の編入試験は、いつから受けられなくなったのですか?
2027年度入学者選抜からです。大阪公立大学は2024年12月20日付の「2027年度入試に係る変更について」で、法学部法学科の編入学・学士入学(第3年次)試験と外国人留学生編入学・学士入学(第3年次)試験を、2026年度入学生をもって募集停止とし、2027年度入学者選抜からは実施しないと公表しました。実際に行われた最後の試験は2025年11月22日(2026年4月入学者向け)で、2026年11月以降に法学部の編入試験は行われていません。
大阪公立大学で、いま編入できる学部はどこですか?
2027年度入学者選抜の時点で募集要項が公表されているのは文学部と工学部の2学部です。文学部は編入学・学士入学(第3年次)試験を実施しますが、2025年12月4日付の告知で2027年度入学生をもって募集停止、2028年度入学者選抜からは実施しないことが公表されています。工学部は第2年次(建築学科)と第3年次(11学科)で実施しています。最新の実施状況は必ず大学公式サイトの編入学・学士入学試験のページで確認してください。
大阪公立大学法学部の編入試験の倍率はどのくらいでしたか?
大学公表の「特別選抜、編入学・学士入学試験 入試結果」によると、日本人向けの区分では、2024年度が志願31名・受験26名・合格3名、2025年度が志願28名・受験25名・合格1名、2026年度が志願17名・受験12名・合格1名でした。受験者数÷合格者数で計算した実質倍率は8.7倍・25.0倍・12.0倍、3年間の合計では63名÷5名で12.6倍です。ただし合格者数が1〜3名と非常に少ないため、年度ごとの倍率は大きく振れます。
どんな試験科目が課されていましたか?
論文(社会科学・法学全般)が180分・200点、外国語(英語)が120分・100点の計300点でした。論文は社会科学の分野から2問、法学全般の分野から2問の計4問構成、英語は英語Ⅰ・英語Ⅱの2題でいずれも英文和訳でした。面接や口述試験は日本人向けの区分では課されず、TOEICなどの英語外部スコアの提出も求められていませんでした。
出願に必要な単位は54単位でしたか?
54単位(うち外国語8単位以上)が必要だったのは、出願資格のうち「大学に2年以上在学した者」の区分だけです。短期大学・高等専門学校の卒業者、大学卒業者(学士)、専修学校専門課程の修了者、高等学校専攻科の修了者は、それぞれ卒業・修了そのものが出願資格で、54単位の要件はかかりませんでした。単位の要件は区分ごとに違うため、他大学を受験する際も要項の該当する条文まで確認する習慣をつけてください。
これまでの勉強は無駄になりますか?
無駄にはなりません。大阪公立大学法学部で問われていたのは、憲法・民法を中心とした法律論述の力と、法律・司法制度をテーマにした英文を正確に和訳する力でした。この2つは神戸大学法学部・広島大学法学部・名古屋大学法学部・九州大学法学部など、法学部編入の主要な受験校でそのまま通用します。志望校を組み替えたうえで、これまで積み上げた論述練習と英文読解を続けるのが現実的です。
この記事の情報はいつ時点のものですか?
2026年8月6日時点で大阪公立大学が公表している資料にもとづいています。募集停止の告知(2024年12月20日付)、2026年度法学部学生募集要項、2024〜2026年度の特別選抜・編入学・学士入学試験の入試結果、2027年度の文学部・工学部の募集要項を確認しています。入試制度は変更されることがあるため、出願を検討する際は必ず大学公式サイトの最新情報を確認してください。
まとめ
大阪公立大学法学部の編入学・学士入学(第3年次)試験は、2024年度・2025年度・2026年度の3回だけ実施され、2027年度入学者選抜から募集が停止されました。最後の試験は2025年11月22日で、いまから出願することはできません。
実施された3年間は、募集人員5名に対して合格者が1〜3名、3年間の合計で志願76名・受験63名・合格5名という、極端に狭き門でした。試験は論文200点(社会科学2問+法学全般2問)と英語100点(和訳2題)の計300点で、民法を軸に対立する見解を整理する論述力と、法学・政治学の英文を日本語として通る形に訳す力が問われていました。
志望校を組み替える必要はありますが、ここまで積み上げてきた法律論述と英文読解の力は、神戸大学法学部をはじめとする他の法学部編入でそのまま活きます。まずは受験できる大学を並べ直し、試験日と出願方式(当日筆記か外部スコアか)を確認するところから始めてください。
この学部は受けられませんが、志望の分野で編入できる大学は他にあります。いまの状況をうかがったうえで、選択肢を整理します。
ボタンを押すと予約ページが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。
この記事について
監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)
本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。試験概要・実施状況は大学が公表する募集要項および入試結果をもとに確認し、受験者の声はオンライン編入学院に寄せられた試験直後アンケートにもとづいています。
※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ
最終更新: 2026年9月6日

