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ボール物理化学 第2版 上

ボール物理化学 第2版 上の表紙

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ボール物理化学は学部レベルの教科書|編入で買う前に確かめること

物理化学は、化学系の編入試験で差がつきやすい科目です。有機や無機と違って暗記で押し切れず、熱力学と量子論の考え方を理解している必要があるためです。

本書は、その物理化学を学部生向けに書いた教科書の上巻です。この記事では、著者が示している本書の立場と、編入対策で買う前に確かめるべきことを整理します。

第2版
著者David W. Ball 著(訳者代表:田中一義、阿竹徹ほか)
出版社株式会社化学同人
発行2015年8月25日(第2版第1刷。初版2004年10月30日)
ページ数558ページ
ISBN978-4-7598-1789-8
定価5,500円+税

この本の位置づけ

まえがきに、この教科書の狙いがはっきり書かれています。市場で求められているのは、博士号をとるための筆記試験に備える大学院生のレベルに向けたものではなく、学部生レベルの、百科事典ではない教科書だ、という認識です。第2版でもその根本的な考え方は変えていないと述べられています。

つまり本書は、網羅性を競う専門書ではなく、学部の講義で使うことを想定した教科書です。編入試験の物理化学は多くの場合、学部の講義内容に沿って出題されるので、水準としては合っています。

一方で、分量と価格は無視できません。上巻だけで558ページ、下巻が478ページあり、2冊そろえると1万円を超えます。志望校で物理化学が出るのか、出るとしてどの範囲かを確かめないまま買うと、使わない教科書が手元に残ります。

志望校の出題範囲は、この記事の「ターゲット大学と対策できるテーマ」で確かめてください。頻出テーマと本書の該当ページの対応も載せています。

いつどのタイミングの編入受験生におすすめか

化学系の専門科目の対策を本格化させる段階で開く教科書です。熱力学の基礎、微分積分、そして偏微分の扱いに慣れているほど読みやすくなります。

編入試験の準備では、志望校の出題科目に物理化学があると確かめたうえで、前半のうちに読み始めてください。教科書を読み、演習で手を動かし、過去問で仕上げるという流れには時間がかかります。

直前期に新しく買うのは勧めません。分量が多く、通読する時間が残らないためです。その時期は、志望校の過去問と、すでに読んだ範囲の復習に寄せてください。

物理化学の教科書は高額で分量も多く、選び直しがききません。志望校で物理化学がどの水準で問われるかを確かめてから買うべきです。現在の状況とあわせて整理します。

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ターゲット大学と対策できるテーマ

過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。

神戸大学理学部

化学物理数学

頻出テーマ換算質量、古典力学、直交性、不確定性原理、一次元の箱、規格化

本書の該当ページ換算質量(p.413)、古典力学(p.321)、直交性(p.385)、不確定性原理(p.356)

東京大学工学部

英語

頻出テーマ直交性、ヘルムホルツエネルギー、熱効率、全エネルギー、規格化、不可逆過程

本書の該当ページ直交性(p.385)、ヘルムホルツエネルギー(p.127)、熱効率(p.91)、全エネルギー(p.472)

お茶の水女子大学理学部

化学数学

頻出テーマ固有値方程式、標準電位、不可逆過程、全エネルギー、規格化、ハミルトニアン

本書の該当ページ固有値方程式(p.354)、標準電位(p.280)、不可逆過程(p.99)、全エネルギー(p.472)

電気通信大学情報理工学域

数学

頻出テーマ体積変化、熱効率、デバイ、温度変化、ヘリウム、半反応

本書の該当ページ体積変化(p.37)、熱効率(p.91)、デバイ(p.298)、温度変化(p.43)

京都工芸繊維大学工芸科学部

化学物理

頻出テーマ体積変化、自発性、熱効率、不可逆過程、調和振動、温度変化

本書の該当ページ体積変化(p.37)、自発性(p.123)、熱効率(p.91)、不可逆過程(p.99)

東京農工大学工学部

数学

頻出テーマ直交性、体積変化、自発性、熱効率、調和振動、ヘリウム

本書の該当ページ直交性(p.385)、体積変化(p.37)、自発性(p.123)、熱効率(p.91)

筑波大学理工学群

数学物理化学

頻出テーマ直交性、光の強度、二次導関数、体積変化、反応進行、自発性

本書の該当ページ直交性(p.385)、光の強度(p.326)、二次導関数(p.401)、体積変化(p.37)

九州大学理学部

物理英語

頻出テーマ直交性、体積変化、熱効率、マクスウェルの関係式、不確定性原理、不可逆過程

本書の該当ページ直交性(p.385)、体積変化(p.37)、熱効率(p.91)、マクスウェルの関係式(p.139)

神戸大学工学部

化学数学物理

頻出テーマ直交性、状態関数、温度変化、可逆過程、回転運動、モル分率

本書の該当ページ直交性(p.385)、状態関数(p.47)、温度変化(p.43)、可逆過程(p.99)

大阪公立大学工学部

物理化学

頻出テーマ熱効率、エネルギー変化、熱機関、実在気体、回転運動、絶対値

本書の該当ページ熱効率(p.91)、エネルギー変化(p.73)、熱機関(p.91)、実在気体(p.149)

東北大学理学部

化学

頻出テーマ量子化、調和振動子、電気化学、エントロピー変化、化学ポテンシャル、基底状態

本書の該当ページ量子化(p.336)、調和振動子(p.404)、電気化学(p.276)、エントロピー変化(p.112)

新潟大学理学部

化学

頻出テーマ反応進行度、量子力学、実在気体、結合性軌道、回転運動、化学ポテンシャル

本書の該当ページ反応進行度(p.164)、量子力学(p.355)、実在気体(p.149)、結合性軌道(p.500)

※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。

この本の使い方

通読を目標にしないでください。志望校の過去問で問われている範囲を先に特定し、その章から読みます。物理化学は範囲が広く、大学ごとに問われる分野の偏りがはっきり出ます。

熱力学の章では、状態関数と経路に依存する量の区別を、言葉で説明できるところまで持っていってください。ここがあいまいなまま先へ進むと、どの章でも同じ場所で詰まります。

式の導出は、追えるところまで自分の手で追ってください。編入試験では導出の過程を書かせる大学があります。

演習は別に確保してください。教科書の例題だけでは、試験時間内に解く速度は作れません。大学院入試の問題を題材にした演習書もありますが、水準が高すぎる場合は志望校に合わせて選び直してください。

注意点

分量と価格が最大の注意点です。上下巻をそろえる前に、志望校の出題範囲を確かめてください。上巻だけで足りる場合もあります。

また、翻訳書なので、日本語の教科書と用語の訳し方が異なる場合があります。過去問の用語と突き合わせながら読むと混乱が減ります。

最後に、教科書であって問題集ではありません。読んで理解することと、試験時間内に解くことの間には距離があります。演習の時間をあらかじめ計画に入れてください。

動画でも解説しています

【大学編入】お茶の水女子大学 理学部 化学科 編入合格者インタビュー|合格枠2名の狭き門を突破するためにやるべきこととは?

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※調査対象期間 2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ
※調査方法: 企業担当者へのヒアリング、企業発表情報、デスクリサーチ/調査対象: 大学編入試験対策の予備校・個別指導塾(医学部・看護学部系除く)/調査項目: 2025年度と2026年度の大学編入試験合格者数

オンライン編入学院 公式サイト

オンライン編入学院は、専門科目の教科書選びから、演習の配分まで指導しています。合格状況は年度ごとに合格者速報で公開しています。2027年度入学ではお茶の水女子大学理学部化学科にも合格者が出ています。

教科書を読み進めたあと、演習に移るのか、別の科目へ進むのかは配点で決まります。現在の状況をうかがって、次にやることを一緒に決めます。

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