産業組織とビジネスの経済学は事例から入る|体系型との違い
産業組織論は、ミクロ経済学の道具を企業の行動と市場の構造に当てはめる分野です。抽象的な理論として学ぶと退屈になりやすい一方、事例から入ると急に面白くなります。
本書は後者の入り方をとる教科書です。この記事では、体系立てて進む教科書との違いと、編入対策での使い方を整理します。
この本の位置づけ
本書の性格は、冒頭の章によく表れています。産業組織論の分析対象と方法を扱う章が、企業の行動原理を経済学で考えるという導入から始まり、企業の価格差別、市場での価格競争という具体的な事例へ進みます。理論の体系を先に示すのではなく、身近な企業行動を経済学の道具で説明してみせるところから入る構成です。
この入り方は、経済学の理論に苦手意識がある受験生に向きます。なぜこの理論が必要なのかが先に見えるので、抽象的な議論に入っても目的を見失いにくくなります。
一方で、体系立てて理論を積み上げる教科書とは役割が違います。基礎理論から戦略、政策へと順に進む構成の教科書もあり、そちらは論点の抜けが生じにくい代わりに、読み始めの負荷が高くなります。どちらが良いかではなく、自分がどちらで進めるかで選んでください。
編入試験では、産業組織論は経済学部でも経営学部でも出題されることがあります。志望校の出題水準は、この記事の「ターゲット大学と対策できるテーマ」で確かめてください。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
ミクロ経済学の入門書を1冊終えたあとに入る本です。需要曲線、費用曲線、利潤最大化といった道具が使える状態が前提になります。
編入試験の準備では、志望校で産業組織論が問われると確かめたうえで、中盤以降に置きます。ミクロとマクロの主要論点より優先すべき分野ではありません。
志望理由書や面接で企業の事例に触れる予定がある場合、本書の事例はそのまま材料になります。その用途なら、対策の後半に読んでも遅くありません。
産業組織論は、経済学部でも経営学部でも出題されることがあり、求められる水準が大学ごとに違います。志望校の過去問と現在の状況をうかがったうえで整理します。
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ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
経営学
頻出テーマ先導者、追随者、後ろ向き帰納法、取引量、くり返しゲーム、反応関数
本書の該当ページ先導者(p.211)、追随者(p.211)、後ろ向き帰納法(p.76)、取引量(p.76)
経済学
頻出テーマ自由参入、支払意思、独 占価格、均 衡、完全価格差別、需要関数
本書の該当ページ自由参入(p.190)、支払意思(p.131)、独 占価格(p.167)、均 衡(p.23)
経済学数学
頻出テーマ独 占価格、価格決定、均 衡、反応関数、クールノー競争、需要関数
本書の該当ページ独 占価格(p.167)、価格決定(p.35)、均 衡(p.23)、反応関数(p.147)
経済学
頻出テーマ後ろ向き帰納法、均 衡、価格決定、クールノー競争、需要関数、企業数
本書の該当ページ後ろ向き帰納法(p.76)、均 衡(p.23)、価格決定(p.35)、クールノー競争(p.109)
経営学
頻出テーマ学習効果、価格決定、完全価格差別、ネットワーク効果、標準化、価格差別
本書の該当ページ学習効果(p.46)、価格決定(p.35)、完全価格差別(p.56)、ネットワーク効果(p.262)
経済学数学
頻出テーマ市場支配力、均 衡、クールノー競争、需要関数、販売価格、製品差別化
本書の該当ページ市場支配力(p.14)、均 衡(p.23)、クールノー競争(p.109)、需要関数(p.26)
新潟大学経済科学部
経済学
頻出テーマ独 占価格、均 衡、知的財産権、需要関数、インセンティブ、限界費用
本書の該当ページ独 占価格(p.167)、均 衡(p.23)、知的財産権(p.251)、需要関数(p.26)
明治学院大学経済学部
経済学英語
頻出テーマ独 占価格、価格決定、ネットワーク効果、需要関数、外部性、プラットフォーム
本書の該当ページ独 占価格(p.167)、価格決定(p.35)、ネットワーク効果(p.262)、需要関数(p.26)
経済学経営学
頻出テーマ需要関数、外部性、寡占市場、価格設定、利潤最大化、限界費用
本書の該当ページ需要関数(p.26)、外部性(p.43)、寡占市場(p.92)、価格設定(p.222)
経済学
頻出テーマ均 衡、クールノー競争、需要関数、外部性、利潤最大化、ナッシュ均衡
本書の該当ページ均 衡(p.23)、クールノー競争(p.109)、需要関数(p.26)、外部性(p.43)
近畿大学経済学部
経済学数学
頻出テーマ需要関数、割引現在価値、製品差別化、フリーライダー、市場価格、消費者余剰
本書の該当ページ需要関数(p.26)、割引現在価値(p.164)、製品差別化(p.140)、フリーライダー(p.86)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
この本の使い方
事例の章を飛ばさずに読んでください。この本の入り方の利点は、理論を使う目的が先に見えることにあります。
事例を読んだら、そこで使われている経済学の道具を書き出してください。価格差別なら需要の価格弾力性、価格競争なら寡占モデルというように、事例と道具の対応を整理しておくと、試験で応用が効きます。
編入試験の記述式では、理論を現実の企業行動に当てはめて説明させる問題が出ることがあります。本書の事例の説明の仕方は、そのまま答案の型として使えます。
この記事の「本書の該当ページ」で、志望校の頻出テーマの掲載ページを確かめられます。過去問で問われている論点から逆引きしてください。
注意点
事例から入る構成なので、理論の体系としての抜けが生じることがあります。志望校が理論の網羅を求める出題をする場合は、体系立てて進む教科書を併用してください。
また、ミクロ経済学の基礎が前提です。需要曲線と費用曲線の意味があいまいなまま読むと、事例の説明を追えても理論が身につきません。
最後に、産業組織論が志望校で出るかどうかを過去問で確かめてください。経済学部でも出題されない大学はあります。
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※調査方法: 企業担当者へのヒアリング、企業発表情報、デスクリサーチ/調査対象: 大学編入試験対策の予備校・個別指導塾(医学部・看護学部系除く)/調査項目: 2025年度と2026年度の大学編入試験合格者数
オンライン編入学院 公式サイト
オンライン編入学院は、理論を事例に当てはめて説明する練習まで指導しています。年度ごとの合格状況は合格者速報にまとめています。
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