演習ベクトル解析の使い方|理論書とどちらを買うか・4章の対応関係
ベクトル解析は、読んで分かった気になりやすい一方で、いざ計算しようとすると手が止まる分野です。線積分や面積分は、記号の意味を知っていることと、実際に積分を最後まで実行できることの間に距離があります。
本書は、同じ著者の理論書に準拠した問題集です。この記事では、理論書とどちらを先に買うべきか、そして編入試験の過去問とどう往復させるかを整理します。
この本の位置づけ
本書は演習に振り切った問題集です。まえがきによれば、理論書を読んだ読者から演習書がほしいという要望が寄せられたことが刊行のきっかけで、理論書に準拠して全体を4章に分けてあります。章立てが対応しているので、理論書で読んだ章をそのまま問題で確かめる、という往復ができます。
各章の冒頭には要項のページが置かれ、その章の解法パターンが一覧できるようになっています。問題ごとにヒントが付き、そのあとに解答と解説が続く形です。図解が多く、数式の変形にも引き込み線で説明が入るため、独学でも詰まりにくい作りになっています。
目次の粒度が細かいのも特徴です。ベクトルの方向余弦、行列式の計算、共面ベクトル、平面と直線、外積の計算、スカラー三重積とベクトル三重積、面積ベクトル、ベクトル値関数の微分、単位接線ベクトルと曲線の長さ、フレネ・セレーの公式というように、論点ごとに問題番号が振られています。過去問で詰まった論点を目次から引いて、その問題だけを解き直す使い方ができます。
理論書とどちらを買うかは、いま自分がどちらで詰まっているかで決めてください。記号の意味や定理の成り立ちが分からないなら理論書、意味は分かるが計算が最後まで進まないなら本書です。両方買う場合も、理論書を1周してから本書に入るほうが、要項のページが解法の整理として効きます。
分量は206ページで、演習書としては厚くありません。網羅性を求める本ではなく、頻出の型を一通り押さえる本だと考えてください。問題数を積みたい場合は、編入試験の過去問集を別に用意することになります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
微分積分と線形代数の計算が一通りできるようになり、ベクトル解析の記号の意味をひと通り追ったあとに入る本です。理論を読まずにいきなり本書から入ると、各章冒頭の要項が公式の羅列に見えて、解法のパターンとして頭に入りません。
試験までの残り時間との兼ね合いもあります。この分野は後半ほど計算量が増えるため、直前期に始めると線積分・面積分まで届きません。専門科目の対策が本格化する前に、数学のこの単元を通しておくのが現実的です。
逆に、志望校の数学が微分積分と線形代数に限られているなら、本書に時間を使う必要はありません。募集要項の出題範囲と過去問を先に確認してください。
専門科目との兼ね合いも考えてください。電磁気学や流体力学が専門で出る大学を志望する場合、ベクトル解析の演習は専門科目の計算練習を兼ねます。この場合は優先度が上がり、早めに入る価値があります。逆に、専門科目でこれらを使わないなら、数学の一単元としての優先度で判断してください。
演習書に入る前に確かめておきたいのは、志望校でベクトル解析がどこまで問われるかです。出題範囲を外した演習は、そのまま時間の損失になります。志望校と現在の進み具合をうかがったうえで、解くべき範囲を絞ります。
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ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
この本の使い方
章の冒頭にある要項を先に読み、その章で使う解法の型を頭に入れてから問題に入ります。いきなり問題から始めても解けますが、要項を飛ばすと「解けたが、なぜその方針を選んだのかは説明できない」状態になりがちです。
問題はヒントを見る前に手を動かしてください。方針が立たないときだけヒントを読み、それでも進まなければ解答と解説に移ります。1周目は解説を読んで理解することに集中し、2周目で自力で解ける問題と解けない問題を仕分けると、3周目に解く問題が絞れます。
理論書と併用している場合は、詰まった問題の章に戻って該当テーマを読み直すのが最短です。章立てが同じなので、行き来の手間がかかりません。
仕上げは編入試験の過去問です。本書は大学の講義の演習を想定した問題集なので、編入試験特有の出題のされ方には別に慣れる必要があります。この記事の「ターゲット大学と対策できるテーマ」で志望校の頻出テーマを確かめ、そこに該当する章から先に解くと、限られた時間で効率よく回せます。
解いた記録の残し方も決めておくと、後半が楽になります。問題番号ごとに、自力で解けた・ヒントで解けた・解説を読んだ、の3段階を目次に書き込んでおくと、2周目で解く問題が自動的に決まります。全問を等しく繰り返すより、この仕分けをしたほうが同じ時間で回せる量が増えます。
注意点
本書だけでは、記号の意味や定理の背景までは埋まりません。要項は解法の整理であって、理論の解説ではないためです。読んで理解する本を別に持っておいてください。
また、大学の講義向けの演習書であり、編入試験用に編まれた問題集ではありません。複数単元をまたぐ編入特有の出題や、答案の書き方は、過去問演習で補う必要があります。
最後に、志望校でベクトル解析が出るかどうかを先に確かめてください。出題範囲に入っていない単元の演習は、そのまま他科目の時間を削ります。
もう一点、解答を読んで納得することと、白紙から書けることは別です。この本の解説は丁寧なので、読むと分かった気持ちになります。章を終えるたびに、要項を見ずに解法の流れを説明できるかを確かめてください。説明できない章が、そのまま試験で落とす章になります。
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問題集を1周したあと、過去問へ移る時期の見きわめは独学ではつきにくいところです。現在の到達度と試験までの残り時間をうかがって、次にやることを一緒に決めます。
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