茨城大学理学部の編入試験対策|難易度・倍率・コース別の出題傾向
茨城大学理学部の3年次編入学試験は、コース指定の筆記試験1科目(100点)と面接(50点)だけで合否が決まる、科目数の少ない試験です。募集人員は理学科の5コース合わせて4名。大学が公表している実施状況では、実質倍率(受験者数÷合格者数)は直近4年で4.3〜5.8倍で推移し、受験者が数名しかいないコースでも合格者が0名の年があります。つまり「志願者が少ないから入りやすい」試験ではなく、選んだ1科目でどれだけ得点できるかがそのまま結果になる試験です。裏を返せば、対策すべき範囲は最初から1科目に絞れます。この記事では、大学公表の実施状況をコース別に整理したうえで、5科目それぞれの出題傾向、出願の実務、時期別の準備手順までまとめます。
出願資格は大学ごとに条件が細かく分かれます。短大・高専・専門学校・大学在学中で扱いが変わり、英語資格が要る大学もあります。自分が出願できるかどうかは、条件を1つずつ突き合わせないと分かりません。
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試験概要(最新要項データ)
令和9年度(2027年4月入学)
| 入学年次 | 3年次(令和9年4月入学) |
|---|---|
| 募集人員 | 理学科のうち5コースから合わせて4名(数学・情報数理/物理学/化学/生物科学/地球環境科学)。地球環境科学コースは地球科学技術者養成プログラムを除く |
| 出願期間 | 2026年5月25日(月)〜5月29日(金)必着。郵送は「書留速達」。持参は最終日の10時〜16時(12時〜13時を除く)のみ受付 |
| 試験日 | 当初2026年6月27日(土)→ 2026年7月26日(日)に変更(台風の影響による日程変更が大学から告知されました) |
| 時間割 | 筆記試験 10:00〜11:30(90分)/面接 13:00〜(1人15分程度) |
| 筆記の科目 | 数学・情報数理コース=数学/物理学コース=物理学/化学コース=化学/生物科学コース=生物学/地球環境科学コース=数学・物理学・化学・生物学・地球科学から出願時に届け出た1科目(試験当日の変更は不可) |
| 配点 | 筆記試験100点+面接50点。学業成績証明書は面接の参考資料として扱われます |
| 合格発表 | 当初2026年7月22日(水)→ 試験日の変更にともない2026年8月27日(木)に変更 |
| 試験場 | 茨城大学理学部(茨城県水戸市文京2-1-1/水戸キャンパス) |
| 検定料 | 30,000円(金融機関の窓口で払込。ATMは不可) |
| 出願資格(主なもの) | 学士の学位を持つ者(取得見込み含む)/短期大学・高等専門学校の卒業(見込み)者/修業年限4年以上の大学に2年以上在学し62単位以上を修得した者(見込み含む)/専修学校の専門課程修了(見込み)者/外国において14年以上の課程を修了した者/外国の大学・短期大学の卒業(見込み)者/高等学校等の専攻科修了(見込み)者。茨城大学に在学中の人は出願できません |
| 入学手続 | 2027年3月1日(月)〜3月4日(木)に郵送で手続。入学料282,000円、授業料は年額535,800円(前期分267,900円) |
出典: 茨城大学理学部「令和9年度3年次編入学学生募集要項」(2026年4月1日公表)および同学部サイトの3年次編入学試験ページ・日程変更のお知らせ。金額・日程・資格は年度によって変わります。出願前に必ず大学が公表する最新の募集要項の原本で確認してください(更新日: 2026-09-06)。
令和9年度で変わった点|学際理学コースは募集対象外
見落としやすい変更が1つあります。令和8年度(2026年4月入学)の募集要項では、募集対象は「1学科6コース」で学際理学コースを含んでいました。これに対して令和9年度(2027年4月入学)の募集要項では「理学科のうち5コース」と書かれており、学際理学コースが募集対象から外れています。
また、地球環境科学コースは両年度とも「地球科学技術者養成プログラムを除く」という条件が付いています。学部の教育課程としてコースが存在することと、編入学試験でそのコースを募集していることは別の話です。志望コースが当年度の募集対象に入っているかどうかは、要項の1ページ目にある募集人員の表で毎年確認してください。
科目と日程が分かっても、いまの学習量で間に合うか、何を先にやるかは人によって変わります。併願先との重なりも、組み合わせ次第で負担が大きく変わります。
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難易度と倍率(大学公表の実施状況)
茨城大学は、大学サイトの入試情報ページで「◯◯年度茨城大学3年次編入学試験実施状況一覧」を年度ごとに公表しています。理学部・工学部・農学部が1枚の表に並んだ資料で、理学部についてはコース別に募集人員・志願者数・受験者数・合格者数・入学者数まで載っています。編入学試験の結果をここまで細かく公表している大学は多くありません。
以下は理学部(理学科)全体の推移です。実質倍率は受験者数÷合格者数で計算し、小数第2位を四捨五入しています(志願者数÷合格者数ではありません)。表の「年度」は入学年度で、たとえば令和8年度は2026年4月入学、試験は前年の2025年に実施されたものです。
| 年度 | 募集人員 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学者 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 (2023年度) | 4名 | 41名 | 35名 | 6名 | 3名 | 5.8倍 |
| 令和6年度 (2024年度) | 4名 | 30名 | 26名 | 6名 | 3名 | 4.3倍 |
| 令和7年度 (2025年度) | 4名 | 25名 | 22名 | 4名 | 2名 | 5.5倍 |
| 令和8年度 (2026年度) | 4名 | 22名 | 18名 | 4名 | 2名 | 4.5倍 |
出典: 茨城大学「令和6年度・令和7年度・令和8年度 茨城大学3年次編入学試験実施状況一覧」(大学サイトの3年次編入・専攻科入試・大学院入試のページに掲載)。令和5年度分は同名資料の過年度版。実質倍率は受験者数÷合格者数で編入総研編集部が算出しました。
読み取れること
- 志願者は41名→30名→25名→22名と4年間で半減しています。ただし合格者も6名→4名へ絞られているため、倍率は4.3〜5.8倍のまま下がっていません。志願者数の減少を「入りやすくなった」と読むのは誤りです。
- 受験者数は志願者数より毎年3〜6名少なく、出願したものの受験しない人が一定数います。
- 合格者数(4〜6名)に対して入学者数は2〜3名。合格しても他大学などへ進む人がいるため、実際に編入してくる人数は募集人員より少ない年が続いています。
コース別の実施状況|「志願者が少ない=受かる」ではない
この試験で最も重要な数字は、学部全体の倍率よりもコース別の内訳です。受験するのは1コース1科目だけだからです。令和5〜8年度の4年分を合計すると次のようになります。
| コース | 志願者 (4年計) | 受験者 (4年計) | 合格者 (4年計) | 合格者0名 だった年 |
|---|---|---|---|---|
| 数学・情報数理 | 41名 | 35名 | 6名 | なし |
| 物理学 | 22名 | 21名 | 5名 | 2年 |
| 化学 | 26名 | 20名 | 5名 | 1年 |
| 生物科学 | 17名 | 14名 | 2名 | 2年 |
| 地球環境科学 | 12名 | 11名 | 2名 | 2年 |
| 学際理学 | 0名 | 0名 | 0名 | (志願者なし) |
| 合計 | 118名 | 101名 | 20名 | — |
出典・年度は前掲の実施状況一覧と同じ(令和5〜8年度の4年分を編入総研編集部が合算)。「合格者0名だった年」は4年のうち合格者が出なかった年度の数です。
注目すべきは、受験者が3〜5名しかいない年でも合格者が0名になっているという事実です。たとえば生物科学コースは4年間で14名が受験して合格は2名、地球環境科学コースは11名が受験して合格は2名でした。募集人員4名という枠は「毎年必ず4名を採る」という意味ではなく、基準に届かなければ採らない運用がされていると読むのが自然です。
逆に言えば、志願者が多い数学・情報数理コース(4年で41名)でも合格者は6名出ています。コースごとの志願者数の多寡は、合否をほとんど左右しません。コース選びは「どこが空いていそうか」ではなく、90分の筆記で確実に得点できる科目はどれかという基準だけで決めてください。地球環境科学コースだけは数学・物理学・化学・生物学・地球科学の5科目から1科目を選べるため、専門分野をこれから広げたい人にとっては選択肢が広い枠になります(ただし出願時に届け出た科目は当日変更できません)。
コース選択ガイド|どの科目で受けるかを最初に決める
茨城大学理学部の編入学試験は、出願の時点で受験科目が確定します。しかも当日の変更はできません。そのため対策の第一歩は、勉強を始めることではなく「どのコースに出願するか」を決めることです。判断材料になるのは、募集要項に書かれた各科目の評価基準です。
| コース | 筆記科目 | 要項に示された評価の基準 |
|---|---|---|
| 数学・ 情報数理 | 数学 | 大学1年次程度の数学の内容(微積分、線型代数、集合など)に関する基礎的な問題を出題し、その理解度と論理的思考力を評価 |
| 物理学 | 物理学 | 大学1年次までに標準的に習得する物理学の内容について出題し、理解度と物理学的思考力を評価 |
| 化学 | 化学 | 大学1年次までに標準的に習得する化学の内容について出題し、理解度と化学的思考力を評価 |
| 生物科学 | 生物学 | 生物学の基礎的な問題を課し、理解度と生物学的思考力を評価 |
| 地球環境 科学 | 5科目から 1科目選択 | 地球科学を選ぶ場合は、基礎的な地球科学の問題により地球科学に関する基礎学力と論理的思考力を評価 |
出典: 令和9年度3年次編入学学生募集要項の「選考方法等」。表現は要項の記載にもとづいています。
ここで手がかりになるのが「大学1年次程度」「大学1年次までに標準的に習得する」という表現です。数学・物理学・化学については、専門課程で扱う高度な内容ではなく、大学教養課程の標準的な範囲が出題の中心だと要項自身が示しています。短期大学・高等専門学校・大学2年次までで学んだ内容の延長線上で勝負できるということです。一方で生物学と地球科学には「基礎的な」としか書かれておらず、範囲の目安を要項から読み取ることはできません。この2科目は、後述する公開されている過去問で実際の水準を確かめるのが確実です。
科目別の出題傾向(過去問分析)
ここからは、実際に出題された問題を科目ごとに分析した結果です。著作権の観点から、過去問の設問そのものは記載していません。どの分野が問われ、どういう形式で答えさせるのかという水準にとどめます。
先に押さえておきたい、5科目に共通する形式
- 試験時間は90分で、多くの科目が大問2〜3題。大問の中は小問が誘導形式でつながっており、前半の結果を後半で使う構成が目立ちます。前半でつまずくと後半がまとめて落ちるので、基本の計算を確実に合わせることが最優先です。
- 字数制限つきの論述が頻繁に出ます(25字・50字・75字・100字・125字・150字など)。生物学・地球科学ではとくに多く、指定された用語をすべて使って説明させる形式も見られます。
- 図示・作図が求められます。グラフの概形、電気力線、系統樹、有機化合物の構造式、結晶の単位格子、分子軌道図など、科目ごとに「描かせる問題」が用意されています。
- 計算問題では有効数字の桁数が指定されることがあります。
数学(数学・情報数理コース)
出題は線形代数・微分積分・集合と写像の3本柱で、要項の「微積分、線型代数、集合など」という記述とそのまま対応しています。
- 線形代数: 行列の固有値・固有ベクトル・固有空間、対角化できるかどうかの判定、行列の階数(rank)、線形写像の像と核の基底、部分空間であることの証明、二次形式・半正定値性。
- 微分積分: 二変数関数の偏導関数と極値、陰関数定理を使った微分、重積分(極座標変換を伴うもの)、曲面積、逆三角関数を含む微分、定義域を求めて図示させる問題。
- 集合と写像: 単射・全射の定義を述べさせる問題と、合成写像の性質(「g∘fが全射ならgも全射」といった主張)を証明させる問題。
計算力だけでは足りず、定義を正確に書き、証明を筋道立てて書く力が明確に問われます。「答えは出せるが証明は書き慣れていない」という状態が一番危険なので、演習では答えを出して終わりにせず、証明の答案を実際に書いてください。
物理学(物理学コース)
力学と電磁気学の2本柱で、この2分野以外はほとんど見られません。範囲が狭いぶん、深さが求められます。
- 力学: 運動方程式を立てて微分方程式として解く問題が中核です。速度に比例する(あるいは速度の2乗に比例する)空気抵抗を受ける運動、2質点のばね結合による重心運動と相対運動、強制振動と共鳴条件、剛体の転がり運動と慣性モーメント、球対称な質量分布がつくる重力ポテンシャルなど。
- 電磁気学: 点電荷・線電荷・一様な電荷分布がつくる電場と電位、ガウスの法則、発散と回転を成分計算させたうえでその物理的意味を論述させる問題、電気双極子と遠方での近似、静電エネルギー、ローレンツ力を受ける荷電粒子の運動、角運動量やエネルギーの保存の証明、接地導体球に対する鏡像法。
特徴は、ベクトル解析の道具を使いこなせるかが正面から問われることです。勾配・発散・回転を成分で書き下せること、極座標や円柱座標での積分ができること。力学側でも微分方程式の解法(特性方程式・変数分離)を選んで使えることが前提になります。数学の準備が物理の得点に直結する科目です。
化学(化学コース)
3科目のなかで最も範囲が広く、物理化学・無機化学・有機化学・分析化学がまんべんなく出ます。大問ごとに分野が分かれる構成です。
- 構造と結合: 原子の基底状態の電子配置、フントの規則、σ結合とπ結合の違い、分子軌道図と結合次数、VSEPRモデルによる分子の立体構造の説明、共鳴構造、水素結合と沸点の関係。
- 酸塩基・平衡・熱力学・速度論: ブレンステッド・ローリーとルイスの酸塩基の定義の違い、緩衝液、溶解度積と共通イオン効果、ヘスの法則を使った標準生成エンタルピーの計算、アレニウスの式から活性化エネルギーを求める計算、錯体の安定度定数を使った平衡濃度の計算。
- 酸化還元・電気化学: 半反応式の係数決定と全体反応式の組み立て、金属のイオン化傾向、電池の電極で起きる変化を反応式で書く問題。
- 有機化学: 構造式を書かせる問題と命名法(IUPAC名)、構造異性体をすべて挙げる問題、立体配座・不斉炭素原子、電子の矢印を使って反応機構を書かせる問題(ラジカル置換・付加反応)、エステルの加水分解から生成物を推定する問題。
- 結晶・固体: 単位格子の作図、イオン半径と格子定数・密度の計算、イオン半径比と配位数から結晶構造の違いを説明する問題。
用語の定義を短文で説明させる小問(ゴーシュ配座、拮抗阻害、同素体など)が繰り返し出るのも特徴です。計算・作図・短文説明の3種類を並行して練習すると点が安定します。
生物学(生物科学コース)
大きく分子生物学・遺伝/生態学・進化の2本柱で、大問1と大問2で分かれる構成が続いています。
- 分子生物学・遺伝: DNAの構造とヌクレオチド、複製に関わる酵素とラギング鎖が不連続に合成される理由、転写とプロモーター、真核生物mRNAの末端構造、選択的スプライシング、コドン表を与えて点変異・欠失変異によるアミノ酸配列の変化を追わせる問題、抗体の基本構造と抗原認識部位の作図、ABO式血液型からの遺伝子型の推定。
- 生態学・進化: 食物連鎖などの基本用語、擬態(ベイツ型・ミュラー型)、適応度、防御物質の生産と成長のトレードオフ、アリと植物の相利共生、被食に対する誘導防御とシグナル分子、ロジスティック式と環境収容力、r戦略とK戦略、系統樹の推定法(平均距離法と最尤法の考え方の違い)。
- データの扱い: 与えられた数値から棒グラフを描かせる、系統樹を描かせるなど、手を動かして図にする問題が含まれます。
用語を答えるだけの小問と、字数制限つきの論述が交互に並びます。教科書の索引語を「25字で説明する」「75字で説明する」という形に自分で圧縮する練習が、そのまま得点力になります。
地球科学(地球環境科学コースで選べる科目の1つ)
地球科学は大気・海洋、固体地球、地質、火山・岩石、天文と守備範囲が広く、1つの試験で複数分野を横断します。
- 大気・気象: 大気の層構造(対流圏・成層圏)とオゾン層、成層圏で気温が上がる理由、フェーン現象を指定用語で説明する問題、太陽放射と地球放射の波長分布の違い、放射平衡温度と実際の地表平均気温の差(温室効果)。
- 固体地球: 地球内部の層構造と密度、地震波の速度と経路、S波の影・P波の影から外核が液体・内核が固体であることを説明する問題、P波とS波の到達時間差から震源距離を求める計算。
- 地質・地史: 日本列島の帯状構造と構造線、付加体、石灰岩がサンゴ礁起源であることと内陸に分布する仕組み。
- 火山・岩石: 火山の分布とプレート境界の対応、マグマの化学組成(SiO₂量)と粘性・噴火様式・火山地形の関係、結晶分化作用で晶出する鉱物の順序とマグマ組成の変化。
- 天文・地球の大きさ: 太陽定数から太陽の総放射エネルギーを求める計算、南中高度の差と距離から地球一周を求めるエラトステネス型の計算。
「指定された用語をすべて使って125字以内で説明せよ」という形式が繰り返し出るため、用語同士のつながりを文章にする練習が有効です。なお地球科学は、令和8年度の試験では受験者がおらず実施されませんでした。
公式に公開されている過去問を必ず見る
茨城大学理学部は、公式サイトで直近2年分の試験問題を公開しています。地球科学については、令和8年度に受験者がなく実施されなかったため、令和5年度分が継続して掲載されています。分量・レベル・答案用紙のスタイルを確かめられる最も確実な資料なので、志望コースを決める前の段階で目を通してください。「解けるかどうか」ではなく「あと何か月あれば解けるようになるか」を測るために使うのがコツです。
面接対策(配点50点・1人15分)
面接は総合点150点のうち50点、全体の3分の1を占めます。筆記だけの試験ではないという点は、対策の優先順位に直結します。募集要項には、個人面接で志望動機・志望コースに対する関心の深さ・適性・学習意欲・コミュニケーション能力などの資質を評価すると明記されています。また、学業成績証明書は面接の参考資料として扱われるとも書かれています。
ここから準備すべきことは3つに整理できます。
- 「なぜこのコースなのか」を具体的に語れるようにする。評価項目に「志望コースに対する関心の深さ」が入っている以上、理学部を選んだ理由だけでは足りません。そのコースで扱う分野のどこに関心があり、編入後にどの方向へ進みたいのかまで用意します。茨城大学理学部の各コースの紹介ページを読み、教員の研究テーマを1つ2つ挙げられる状態にしておくと説得力が出ます。
- これまでの成績について説明できるようにする。成績証明書が参考資料になるため、評価が低い科目があれば、その理由と現在どう補っているかを自分の言葉で言えるようにしておきます。取り繕う必要はありませんが、聞かれて黙ってしまうのが最も避けたい状態です。
- 15分という長さを体感しておく。1人15分程度と決まっているので、志望動機・学習計画・卒業後の進路など、いくつかのテーマを一定の深さで話す時間があります。1問30秒で終わる答えばかり用意していると間が持ちません。1つの質問に対して1分程度で話し、さらに掘り下げられても答えられる二段構えを作っておきます。
面接の評価観点は令和9年度の募集要項「選考方法等」に記載されているものです。質問の内容や進行は年度・面接担当者によって変わります。
出願までの実務チェックリスト
茨城大学理学部の出願は、ウェブ出願ではありません。ここを知らずに出願直前を迎えると間に合わない可能性があるため、手順を分解して整理します。
- 【最重要】冊子の募集要項を請求する: 大学サイトで公開されているPDF版には、検定料の払込用紙や指定の出願書類様式が付いていません。出願するには冊子を取り寄せる必要があります。請求は、郵便番号・住所・氏名を明記し270円分の切手を貼った返信用封筒(角形2号)を同封して、理学部学務グループへ申し込みます。封筒の表には「3年次編入学学生募集要項請求」と朱書きします。
- 出願資格を条文で確認する: 大学に2年以上在学して出願する場合は62単位以上の修得(見込み含む)が条件です。出願時点で62単位に達していない場合は、履修中の科目と単位数が明記された証明書か履修登録票を追加で提出する必要があります。また茨城大学に在学中の人は出願できません。
- 証明書を手配する: 学業成績証明書、卒業(見込)証明書は出身校の長が作成し厳封したものが必要です。大学に2年以上在学して出願する場合は、本学部指定様式の在学期間証明書を出身校に作成してもらう必要があるため、冊子が届いてからでないと依頼できません。発行に日数がかかることを見込んで、5月の連休明けには動き出しておきたいところです。
- 検定料を金融機関の窓口で払い込む: 検定料は30,000円。ATMは使えません。窓口で払い込み、受け取った「振替払込受付証明書(お客さま用)」を出願書類に同封します。もう1枚の「振替払込請求書兼受領証」は本人控えなので、受験票が届くまで保管します。
- 受験票等送付用封筒を用意する: 長形3号の封筒に410円分の切手を貼り、受け取り先を明記して同封します。
- 出願する: 出願期間は令和9年度で2026年5月25日〜29日の5日間(必着)。郵送は「書留速達」で送ります。持参する場合は最終日の10時〜16時(12時〜13時を除く)だけ受け付けられます。
- 受験票の到着を確認する: 令和9年度は6月中旬に発送され、6月19日までに届かない場合は理学部学務グループへ問い合わせるよう案内されています。「届かない」を放置しないことが大切です。
日程は動くことがあります
令和9年度は、台風の影響で試験日が2026年6月27日から7月26日へ、合格発表が7月22日から8月27日へ変更されました。大学からは、日程変更にともなって受験を辞退する場合に検定料を返還する案内も出されています。出願後も、志望する学部のサイトのお知らせ欄を定期的に確認する習慣をつけてください。
時期別の対策ロードマップ
令和9年度の実際の日程(要項公表2026年4月1日/出願5月下旬/筆記試験6月下旬予定)を基準に、逆算した準備の流れです。試験が春から初夏にかけて行われるため、秋の時点で動き出していないと厳しいスケジュールになります。
- 試験の約1年前
志望コースを仮決めし、公式サイトで公開されている過去問に目を通して出題レベルと形式を体感します。この段階で「全然読めない」と感じても問題ありません。必要な学習量を見積もることが目的です。あわせて、在籍校で62単位以上の修得見込みが立つか、履修計画を確認しておきます。 - 10月〜12月
選んだ1科目の教科書レベルを一周します。数学なら微分積分と線形代数、物理学なら力学と電磁気学、化学なら物理化学・無機・有機、生物学なら分子生物学と生態学、地球科学なら大気・固体地球・地質・火山。要項が「大学1年次程度」と示す範囲を、まず穴なく通します。 - 1月〜3月
演習期です。90分で解ききる練習と、論述・証明の答案を書く練習を並行させます。数学は証明の書き方、物理学は導出過程の書き方、化学は反応機構の矢印、生物学と地球科学は字数制限つきの説明文。答えが合うことより、他人が読んで筋が追える答案になっているかを重視してください。 - 4月上旬
その年度の募集要項が公表される時期です(令和9年度は4月1日公表)。公表されたらすぐ冊子を請求します。募集対象コース・試験日・出願期間は年度によって変わるため、前年の情報のまま準備を進めないこと。 - 4月中旬〜5月上旬
証明書の手配と面接準備。在学期間証明書は指定様式なので、冊子が届き次第すぐ出身校へ依頼します。並行して、志望動機とコースへの関心を言葉にしておきます。 - 5月下旬
出願(5日間・必着)。書留速達で余裕を持って発送します。この時期の学習は、新しい範囲に手を出さず既習範囲の反復に切り替えます。 - 6月(試験直前期)
受験票の到着を確認。公開されている過去問を時間を計って本番と同じ90分で解き直します。面接は声に出して練習し、想定質問への答えを1分程度で話せるようにします。水戸キャンパスまでの経路と所要時間も確認しておきます。 - 試験当日
筆記10:00〜11:30、面接13:00〜。昼をはさむ1日がかりの日程です。昼食と、面接前に見返す用のノートを持参します。筆記の出来が悪くても、配点150点のうち50点は面接であることを思い出してください。
併願と入学後を考える
募集人員4名・合格者4〜6名という規模である以上、この1校だけに絞るのは現実的ではありません。併願を考えるときの視点を3つ挙げます。
- 同じ科目で受けられる大学を探す: 茨城大学理学部の筆記は専門1科目のみで、英語の筆記や外部試験のスコア提出がありません。同じように専門科目中心で選抜する国公立大学の理学部を組み合わせると、追加の負担が小さくなります。一方、英語外部試験のスコアが必要な大学を併願先に入れる場合は、スコアの取得にリードタイムがかかるため前年のうちに受験計画を立てる必要があります。
- 学内の他学部は別の要項・別の日程: 茨城大学では理学部のほか工学部(日立キャンパス)・農学部(阿見キャンパス)が3年次編入学試験を実施しており、要項も試験日も学部ごとに別に定められています。学内で併願を検討する場合は、それぞれの学部が公表する要項で試験日と出願期間を確認してください。
- 入学後の在学期間を確認する: 編入後に卒業までどれだけかかるかは、既修得単位がどこまで認定されるかで変わります。認定は入学後に個別に審査されるため、出身校の成績証明書やシラバスは編入後も使う可能性があります。手元に控えを残しておくと安心です。
おすすめ参考書|科目別の定番テキスト
コース別に対策する科目が決まる試験なので、参考書も自分が受ける1科目に集中させるのが正解です。オンライン編入学院の参考書データベースで茨城大学理学部の出題内容との対応が確認できている本から、科目ごとに紹介します。カードをタップするとレビュー記事に移動できます。
大学教養微分積分数学
演習微分積分キャンパス・ゼミ数学
手を動かしてまなぶ微分積分数学
よくわかる電磁気学物理学
マクマリー一般化学 上化学
ブルース有機化学 上化学
生物〈生物基礎・生物〉基礎問題精講生物学
ひとりで学べる地学地球科学
数学は微分積分だけでなく線形代数(固有値・部分空間)と集合・写像の証明も出題されるため、上の3冊に線形代数のテキストを1冊加えてください。化学は無機・有機・物理化学が横断的に問われるので、一般化学の1冊を軸に、有機は反応機構を矢印で書く演習ができる本を組み合わせるのが効率的です。
関連動画
茨城大学を含む関東の国公立大学への理系編入について、募集要項の読み方の観点から解説した動画です。志望校の候補を広げる段階で参考になります。
直前期のチェックリスト
- 公開されている過去問を、本番と同じ90分で通しで解いた(1回以上)
- 論述問題を、指定字数ちょうどに収める練習をした(25字・50字・75字・100字・125字・150字)
- 作図(グラフ・構造式・系統樹・単位格子など)を手描きで再現できる
- 計算問題で有効数字の指定に対応できる
- 志望理由と「なぜこのコースか」を、1分程度で話せる
- 成績が振るわない科目について、聞かれたときの説明を用意した
- 受験票が届いている(届かない場合は理学部学務グループへ連絡した)
- 試験会場(水戸キャンパス)までの経路・所要時間を調べ、昼食の準備も含めて1日がかりの日程に備えた
よくある質問
茨城大学理学部の編入試験の倍率はどのくらいですか?
茨城大学は「3年次編入学試験実施状況一覧」で学部・コース別の志願者数・受験者数・合格者数・入学者数を公表しています。理学部(理学科)全体の実質倍率(受験者数÷合格者数)は、令和5年度が5.8倍、令和6年度が4.3倍、令和7年度が5.5倍、令和8年度が4.5倍でした。募集人員は毎年4名です。
募集人員4名に対して、実際は何名が合格していますか?
公表されている実施状況では、理学科全体の合格者数は令和5年度6名、令和6年度6名、令和7年度4名、令和8年度4名です。一方で入学者数は2〜3名にとどまっており、合格しても他大学へ進むなどして辞退する人が一定数いることがわかります。募集人員4名は下限でも上限でもなく、選抜の結果によって前後します。
どのコースで受験するのが有利ですか?
コース別の公表データ(令和5〜8年度の合計)では、数学・情報数理コースが受験35名に対し合格6名、物理学コースが受験21名に対し合格5名、化学コースが受験20名に対し合格5名、生物科学コースが受験14名に対し合格2名、地球環境科学コースが受験11名に対し合格2名でした。ただし合格者が0名の年もあり、志願者が少ない年でも基準に達しなければ合格が出ません。倍率で選ぶのではなく、筆記1科目を得点源にできる分野を選ぶのが基本です。
学際理学コースでも編入学を受験できますか?
令和9年度(2027年4月入学)の募集要項では、募集対象は数学・情報数理/物理学/化学/生物科学/地球環境科学の5コースで、学際理学コースは対象に含まれていません。令和8年度の要項では6コースが対象だったため、この点は年度で変わった項目です。地球環境科学コースも地球科学技術者養成プログラムは除かれます。志望コースが当年度の募集対象かどうかは、必ず最新の募集要項で確認してください。
英語の試験や外部試験のスコアは必要ですか?
令和9年度の募集要項に記載されている学力検査等は、コース指定の筆記試験1科目(数学・物理学・化学・生物学・地球科学のいずれか)と面接だけです。独立した英語の筆記試験や、TOEICなど外部試験のスコア提出は求められていません。ただし選抜方法は年度によって変わる可能性があるため、出願前に最新の要項で確認してください。
茨城大学理学部の編入試験の過去問は入手できますか?
茨城大学理学部の公式サイトで、直近2年分の試験問題が公開されています。地球科学については、令和8年度の試験で受験者がなく実施されなかったため、令和5年度分が継続して公表されています。出題のレベルと形式を確かめるうえで最も確実な資料なので、志望コースを決める段階で必ず目を通しておいてください。
出願はどのように行いますか。日程はいつですか?
令和9年度は、募集要項が2026年4月1日に公表され、出願期間は2026年5月25日〜5月29日(必着)、筆記試験と面接は当初2026年6月27日に予定されていました。出願にはウェブ入力ではなく冊子の募集要項に付属する所定の様式と検定料払込用紙が必要で、返信用封筒を同封して理学部学務グループへ請求します。提出は書留速達での郵送が原則です。日程は年度ごとに変わるため、最新の要項で確認してください。
まとめ
茨城大学理学部の3年次編入学試験は、筆記1科目(100点)と面接(50点)だけという、対策範囲がはっきりした試験です。大学が公表している実施状況では実質倍率は直近4年で4.3〜5.8倍。志願者は減っていますが合格者も絞られており、難易度が下がったとは言えません。受験者が数名しかいないコースでも合格者0名の年があることから、相対評価ではなく到達度で判断されていると考えて準備するのが安全です。
やるべきことの順番は明確です。①公式サイトで公開されている過去問を見て志望コースを決める、②要項が示す「大学1年次程度」の範囲を1科目分だけ穴なく固める、③論述・証明・作図を答案として書く練習をする、④4月に要項が出たらすぐ冊子を請求し、5日間の出願期間を逃さない、⑤配点の3分の1を占める面接で「なぜこのコースか」を語れるようにする。この5つを押さえれば、募集4名の枠に対して十分に戦える試験です。
あとは、いまの自分の位置から何を先にやるかです。志望校と現在の状況をうかがったうえで、順番を整理します。
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監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)。本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。試験概要と実施状況は茨城大学が公表する募集要項・3年次編入学試験実施状況一覧をもとに毎年度確認し、出題傾向はオンライン編入学院の過去問分析にもとづいています。
※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ|最終更新: 2026年9月6日

