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茨城大学工学部

茨城大学工学部の編入試験対策|推薦・一般の倍率と学科別の出題傾向

茨城大学工学部の3年次編入学者選抜には、推薦選抜と一般選抜という性格のまったく違う2つの入口があります。募集人員20名の内訳は推薦10名・一般10名で、ちょうど半々です。茨城大学が公表している実施状況一覧をもとに実質倍率を計算すると、直近4年間で推薦選抜は1.1〜1.9倍、一般選抜は2.7〜4.3倍。つまりどちらの区分で出願するかが、難易度を最も大きく左右します。一般選抜は450点満点で、専門科目200点・英語100点・数学100点・学業成績証明書50点という配点が要項で公開されており、英語は筆記試験ではなくTOEIC Listening & ReadingまたはTOEFLのスコアを換算して使います。TOEICは700点で満点扱いになるため、目標ラインが数字で決まっているのがこの試験の特徴です。この記事では、公表データにもとづく区分別・学科別の倍率、配点から逆算した得点戦略、数学と学科別専門科目の出題傾向、出願の実務までを順に整理します。

出願資格は大学ごとに条件が細かく分かれます。短大・高専・専門学校・大学在学中で扱いが変わり、英語資格が要る大学もあります。自分が出願できるかどうかは、条件を1つずつ突き合わせないと分かりません。

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試験概要(令和9年度要項)

令和9年度(2027年度)

20名募集人員
(推薦10・一般10)
450点一般選抜の満点
日立キャンパス試験場・通学先
30,000円検定料

茨城大学工学部は茨城県日立市の日立キャンパスにあります。大学本部と人文社会科学部などは水戸市の水戸キャンパスにありますが、工学部の授業も試験もすべて日立キャンパスで行われます。下宿先や通学経路を考えるときは、水戸ではなく日立を基準にしてください。

学科は機械システム工学科・電気電子システム工学科・物質科学工学科・情報工学科・都市システム工学科の5学科です。「物質科学工学科」であり、他大学に多い「物質化学工学科」という表記ではありません。出願書類や問い合わせで学科名を間違えないようにしてください。

推薦選抜と一般選抜の違い

推薦選抜一般選抜
募集人員10名10名
出願できる人短期大学・高等専門学校の卒業(見込み)者のみ。出身学校長(短期大学は学長または学部長)の推薦が必要短大・高専・専修学校専門課程・学士・大学2年以上在学者・高等学校等の専攻科修了者の6区分
選抜方法推薦書+学業成績証明書+面接(学力試験なし)学力試験(数学・専門科目)+英語外部スコア+学業成績証明書
配点面接150点+学業成績証明書100点=250点専門200点+英語100点+数学100点+学業成績証明書50点=450点
出願期間2026年4月20日(月)〜4月24日(金)17時必着2026年5月25日(月)〜5月28日(木)17時必着
試験日2026年5月7日(木)9時30分から面接2026年6月13日(土)数学10:00〜11:30専門12:30〜14:00
合格発表2026年5月20日(水)13時以降2026年7月1日(水)13時以降
入学確約書2026年6月3日(水)まで2026年7月15日(水)まで

令和9年度(2027年度)3年次編入学者選抜学生募集要項にもとづきます(更新日: 2026-08-06)。令和9年度の選抜はすでに終了しています。次の令和10年度(2028年4月入学)の日程・科目・募集人員は変わる可能性があるため、出願前には必ず茨城大学工学部が公表する最新の募集要項を確認してください。

ここを間違えると出願できません。推薦選抜と一般選抜では出願期間が1か月以上ずれています。一般選抜を目指す人が推薦選抜の日程(4月下旬)を自分の締切だと思い込むと、5月下旬の本当の出願期間を見落とします。逆に推薦を狙う人が5月下旬の日程を見ていると、4月下旬の締切をすでに過ぎていることになります。自分が出す区分の日程だけを手帳に書いてください。

学科ごとの募集人員

学科推薦選抜一般選抜
機械システム工学科4名2名6名
電気電子システム工学科2名3名5名
物質科学工学科1名2名3名
情報工学科2名2名4名
都市システム工学科1名1名2名
合計10名10名20名

学科によって推薦と一般の比重が違う点に注目してください。機械システム工学科は推薦4名に対して一般2名と推薦枠が厚く、逆に電気電子システム工学科は推薦2名に対して一般3名と一般枠のほうが多く設定されています。短期大学・高等専門学校からの出願で機械システム工学科を志望するなら、推薦選抜を最初に検討する価値が高いということです。

令和9年度で変わった点|物質科学工学科の専門科目

茨城大学工学部は、令和8年1月に「令和9年度3年次編入学者選抜における変更について(予告)」を公表し、物質科学工学科の一般選抜で課す専門科目を変更しました。変更前(令和8年度)は「理科2科目(化学・物理・生物)」で、化学・物理・生物のうち出願時に届け出た2科目を解答する形式でした。変更後(令和9年度)は「理科(化学(物理化学、無機化学、有機化学)、物理(力学、電磁気学))」となり、生物が選択肢から外れて、化学と物理の2科目に固定されています。

これは物質科学工学科を志望する人にとって決定的な変更です。生物系の科目で受けるつもりだった人は準備の前提が変わりますし、化学だけを深くやってきた人も物理(力学・電磁気学)を追加で仕上げる必要があります。1年前の情報や先輩の体験談をそのまま信じず、必ず自分が受ける年度の要項で科目を確認してください。こうした変更は前年の1月ごろに「予告」として先に出ることがあるため、要項本体が出る前でも工学部の公式ページを定期的に見ておくと安心です。

科目と日程が分かっても、いまの学習量で間に合うか、何を先にやるかは人によって変わります。併願先との重なりも、組み合わせ次第で負担が大きく変わります。

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難易度と倍率(大学公表の実施状況)

茨城大学は「令和◯年度茨城大学3年次編入学試験実施状況一覧」というPDFを毎年公表しており、教育学部・理学部・工学部・農学部の実施状況が1枚にまとめられています。ここでは工学部の行だけを取り出して整理します。列は「募集人員/志願者数/受験者数/合格者数/入学者数」で、年度は入学年度です(たとえば令和8年度=2026年4月入学で、試験は2025年6月に実施されています)。

倍率は実質倍率=受験者数÷合格者数で計算しています。志願したものの当日欠席した人を除いた、実際に競った人数にもとづく倍率です。

工学部全体の推移

入学年度区分募集人員志願者受験者合格者入学者実質倍率
2023年度推薦10名21名21名14名14名1.5倍
2023年度一般10名46名46名14名8名3.3倍
2024年度推薦10名25名25名13名13名1.9倍
2024年度一般10名52名51名12名4名4.3倍
2025年度推薦10名15名15名12名12名1.3倍
2025年度一般10名46名44名15名5名2.9倍
2026年度推薦10名17名17名15名15名1.1倍
2026年度一般10名26名24名9名4名2.7倍

出典: 茨城大学「令和5〜8年度 茨城大学3年次編入学試験実施状況一覧」(工学部の行)。実質倍率は受験者数÷合格者数を小数第2位で四捨五入。ツイニングプログラム入試は別区分のため上表から除いています。

実施状況一覧の工学部には、推薦・一般のほかにツイニングプログラム入試という区分の行があります(2025年度から掲載。機械システム工学科で若干名)。これは3年次編入学者選抜の学生募集要項には含まれていない別枠の区分で、一般の受験生が出願する試験ではありません。上の表では推薦・一般だけを取り出しているため、PDFの「計」の行とは合計が一致しません。学部合計の実質倍率(ツイニングプログラム入試を含む)は2023年度2.4倍・2024年度3.0倍・2025年度2.3倍・2026年度1.6倍です。

1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 2023 2024 2025 2026 (入学年度) 3.3 4.3 2.9 2.7 1.5 1.9 1.3 1.1 一般選抜 推薦選抜

区分が違えば試験の性格も違う

グラフを見ると、推薦選抜と一般選抜の線が一度も交わっていないことが分かります。4年間を通して推薦選抜は1.1〜1.9倍、一般選抜は2.7〜4.3倍で推移しており、区分の差は年による変動よりはるかに大きいのです。

これは「推薦のほうが楽」という単純な話ではありません。推薦選抜に出願できるのは短期大学と高等専門学校の卒業(見込み)者に限られ、さらに出身学校長などの推薦が必要です。校内で推薦枠を得る段階の競争がデータに現れていないため、実質倍率だけを見て「推薦は簡単」と結論づけるのは誤りです。それでも、推薦の条件を満たせる立場にいるなら、その資格を使わない手はないというのは公表データから言えることです。

もう一つ重要なのが、要項に明記されている次の一文です。「推薦選抜において、不合格となった者で一般選抜の受験を希望する者は、改めて所定の方法で出願してください。ただし、学業成績証明書を、再度提出する必要はありません。」つまり推薦で不合格になっても一般選抜に再挑戦でき、しかも書類の一部が省略できます。推薦の合格発表(2026年5月20日)は一般の出願締切(2026年5月28日)より前なので、結果を見てから出願を判断する時間があります。短大生・高専生にとっては、実質的に受験機会が2回ある試験だと考えてください。

学科別の実施状況|一般選抜

学科2023年度2024年度2025年度2026年度
機械システム工学科17→5
3.4倍
23→4
5.8倍
20→5
4.0倍
6→1
6.0倍
電気電子システム工学科12→4
3.0倍
13→5
2.6倍
13→5
2.6倍
6→2
3.0倍
物質科学工学科2→2
1.0倍
2→1
2.0倍
受験者なし1→0
合格者なし
情報工学科14→3
4.7倍
12→2
6.0倍
6→2
3.0倍
7→2
3.5倍
都市システム工学科1→0
合格者なし
1→0
合格者なし
5→3
1.7倍
4→4
1.0倍

数字は「受験者数→合格者数」。倍率は受験者数÷合格者数。出典は上表と同じ茨城大学の実施状況一覧です。

学科によって景色がまったく違います。読み取れることを整理します。

  • 機械システム工学科と情報工学科が最激戦。この2学科はどの年も受験者が2桁に達し、実質倍率は3.0〜6.0倍で推移しています。一般選抜の募集人員がそれぞれ2名と少ないことが効いています。
  • 電気電子システム工学科は年による振れが小さい。4年間を通じて2.6〜3.0倍と安定しており、一般選抜の募集人員も3名と5学科で最多です。志望学科を工学系の中で迷っている段階なら、比較的読みやすい学科と言えます。
  • 物質科学工学科と都市システム工学科は受験者が1桁。年によっては受験者が数名しかいません。ただし後述するとおり、これは「入りやすい」という意味ではありません。

学科別の実施状況|推薦選抜

学科2023年度2024年度2025年度2026年度
機械システム工学科13→7
1.9倍
10→6
1.7倍
7→7
1.0倍
7→6
1.2倍
電気電子システム工学科2→2
1.0倍
5→2
2.5倍
受験者なし3→2
1.5倍
物質科学工学科2→2
1.0倍
1→1
1.0倍
1→1
1.0倍
3→3
1.0倍
情報工学科3→2
1.5倍
8→3
2.7倍
6→3
2.0倍
3→3
1.0倍
都市システム工学科1→1
1.0倍
1→1
1.0倍
1→1
1.0倍
1→1
1.0倍

数字は「受験者数→合格者数」。出典は上表と同じ茨城大学の実施状況一覧です。

推薦選抜では、物質科学工学科と都市システム工学科が4年連続で受験者全員合格になっています。もちろん校内推薦を得られた人だけが受けている選抜なので単純比較はできませんが、この2学科を志望する短大生・高専生にとって推薦選抜が有力な選択肢であることは、公表データからはっきり読み取れます。一方で情報工学科は推薦でも1.0〜2.7倍と年によって競争が生じています。

「募集人員が少ない=厳しい」も「受験者が少ない=楽」も誤り

この試験の実施状況を読むときに、必ず知っておいてほしいことが2つあります。

1つめ。合格者は募集人員より多く出ます。一般選抜の募集人員は5学科合計で10名ですが、実際の合格者は2023年度14名・2024年度12名・2025年度15名・2026年度9名でした。学科単位でも、都市システム工学科は募集1名に対して2026年度は4名が合格しています。合格者に対して入学者が少ない年が多い(2024年度は合格12名に対し入学4名)ことから、他大学との併願で辞退する人を見込んで多めに合格を出していると考えられます。「募集人員2名だから上位2名に入らないと無理」ではありません。

2つめ。受験者が少ない学科でも、合格者が0名の年があります。都市システム工学科の一般選抜は2023年度・2024年度とも受験者1名に対して合格者0名、物質科学工学科の一般選抜も2026年度は受験者1名に対して合格者0名でした。定員が空いていても、基準に届かなければ合格は出ないということです。受験者が少ない学科を「実質的に無競争」と考えて準備を薄くすると、そのまま不合格になります。競争相手は他の受験生ではなく、大学が設定した合格ラインだと考えてください。

令和9年度(2027年度)の一般選抜の結果

2026年6月13日に実施された令和9年度(2027年4月入学)の一般選抜については、茨城大学工学部が合格者の受験番号を公表しています。学科別の合格者数は機械システム工学科6名・電気電子システム工学科3名・物質科学工学科1名・情報工学科3名・都市システム工学科0名の計13名でした。一般選抜の募集人員10名に対して13名の合格ですから、この年も募集人員を上回る合格者が出ています。同時に、都市システム工学科は募集1名に対して合格者0名という結果になりました。志願者数・受験者数を含む実施状況一覧は例年4月ごろに公表されるため、この年の倍率は次の公表を待つ必要があります。

配点から逆算する得点戦略

茨城大学工学部の一般選抜は、配点が要項に明記されているという点で対策が立てやすい試験です。450点満点の内訳は次のとおりで、5学科すべて同じ配点です。

専門科目200点
英語(外部スコア)100点
数学100点
学業成績証明書50点

この配点から言えることは明確です。

  • 専門科目が単独で全体の4割超(200/450)。志望学科の専門科目に最も時間を割くのが合理的です。数学の2倍の重みがあります。
  • 英語と数学が同じ100点。数学は当日の一発勝負ですが、英語は試験当日より前にスコアで確定させられる点数です。同じ100点でも、確実に取りにいける順番が違います。
  • 学業成績証明書が50点ある。在学中の成績も点数化されます。編入を考え始めた時点から、目の前の授業の成績を落とさないことが直接得点につながります。
  • 1科目でも受験しなければ判定対象外。要項に「学力試験科目のうち一つでも受験しなかった者は、合格者判定の対象とはなりません」と明記されています。数学だけ受けて専門を白紙で出す、といった戦い方は成立しません。

TOEICは700点で満点になる

英語は筆記試験を行わず、TOEIC Listening & ReadingまたはTOEFLのスコアを換算して100点満点に割り当てます。要項が示す換算方法は次のとおりです。

  • TOEIC L&R が700点以上の場合 → 換算点=満点(100点)
  • TOEIC L&R が700点未満の場合 → 換算点=100点×(TOEICスコア÷700)
  • TOEFL-PBT は「TOEICスコア=(PBTスコア-296)×2.874」で換算後、上と同じ計算
  • TOEFL-iBT はスコア比較表でPBTに換算したうえで同様に計算。Test Dateスコアのみが対象で、MyBestスコアは使えません

この式を実際の点数に直すと、目標設定がはっきりします。

TOEIC L&R400点500点600点650点700点以上
英語の換算点
(100点満点)
57.171.485.792.9100

TOEIC 500点の人と700点の人では、試験当日を迎える前に28.6点の差がついています。450点満点のなかでの28.6点は、数学の大問1題(配点25点相当)を1問以上多く正解するのと同じ重みです。そして700点を超えたぶんは1点も加点されないので、700点に届いた時点で英語の勉強はいったん止め、専門科目と数学に時間を移すのが最も効率的です。

スコアには使用期限があります。令和9年度(2027年度)の選抜では2024年4月1日以降に受験したスコアに限ると要項に明記されていました。おおむね出願の2年ほど前からが有効範囲になる計算ですが、この基準日は年度ごとに設定されるため、自分が受ける年度の要項で必ず確認してください。TOEIC L&R –IP(団体特別受験制度)のスコアレポートも認められているので、学校で実施されるIPテストも有効に使えます。提出は原本と写しの両方で、郵送出願の場合は原本が受験票と一緒に返却されます(出願期間終了後、2〜3日程度)。

推薦選抜は面接が6割を占める

推薦選抜の配点は学業成績証明書100点+面接150点=250点で、こちらも5学科共通です。面接だけで全体の6割を占めます。面接は個人面接形式で10分程度、要項には各学科とも「その学科の学問に対する知的関心、意欲、適性を評価し、また、思考力、判断力、表現力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度などの資質をみる」という趣旨が書かれています。出身学校長からの推薦書は面接試験の参考資料として使われます。

10分という短い時間で150点が決まるので、「なぜ茨城大学工学部のこの学科なのか」を30秒で言い切れる形にしておくことが重要です。学科の教育内容とアドミッションポリシーは工学部の学科紹介ページで公開されているので、志望理由を組み立てる前に必ず読んでおきましょう。

試験科目と学科別の対策

一般選抜の学力試験は数学(全学科共通)と専門科目(学科別)の2科目です。試験時間は数学が10:00〜11:30の90分、専門科目が12:30〜14:00の90分で、全学科同じ時間割で実施されます。

数学(全学科共通)|4分野が1題ずつ出る

要項が示す数学の出題範囲は微分積分・線形代数・微分方程式(ラプラス変換を含む)・複素解析学の4分野です。オンライン編入学院の過去問分析では、この4分野が大問4題に1題ずつ、ほぼ固定の並びで出題される構成が近年続いています。範囲が4分野と明示されているだけでなく、実際の出題も4分野を均等に問う形になっているということです。

大問分野近年扱われた内容の系統
[1]微分積分(多変数)偏導関数、接平面、2変数関数の極値判定、条件つきの最大最小、領域の図示と重積分
[2]線形代数連立1次方程式(掃き出し法)、固有値・固有空間と基底、行列式(逆行列・転置行列・直交行列)
[3]微分方程式変数分離形、1階線形微分方程式、ラプラス変換とその応用(連立微分方程式の初期値問題)
[4]複素解析複素数の四則と絶対値、複素平面上の集合と写像、複素指数関数・複素対数関数、複素積分と留数

著作権の観点から、過去問の設問そのものは記載していません。上表は出題された分野・テーマの系統をまとめたものです。

この構成が読者にとって何を意味するか。どれか1分野を捨てると、それだけで数学100点のうち25点前後を失うということです。5分野・6分野から4題が選ばれる形式なら「苦手分野が出ないかもしれない」という賭けが成り立ちますが、この試験ではその賭けは成り立ちません。4分野すべてを標準レベルまで仕上げる、というのが唯一の正解です。

とくに注意したいのが複素解析です。高等専門学校や短期大学のカリキュラムでは、微分積分・線形代数に比べて複素解析の演習量が少なくなりがちです。複素数の計算、複素平面上の集合の図示、複素指数関数・複素対数関数の値、複素積分と留数定理まで、扱われる範囲は年ごとに幅があります。複素解析だけは早めに独立した時間を取って一周してください。

もう1つ、ラプラス変換も見落としやすい単元です。要項の範囲にわざわざ「(ラプラス変換を含む)」と補記されているとおり、微分方程式の大問がラプラス変換を使って解く形で出題されることがあります。微分方程式を「変数分離と定数変化法だけ」で済ませていると対応できません。

機械システム工学科|専門科目は工業力学

専門科目は工業力学です。一般選抜の募集人員は2名と少ない一方、推薦選抜は4名と5学科で最も多く設定されています。短期大学・高等専門学校の出身で機械系を志望するなら、まず推薦選抜の要件を満たせるかを確認してください。一般選抜で受ける場合は、実施状況を見るかぎり5学科で最も競争が厳しい学科(直近4年で3.4〜6.0倍)なので、工業力学の演習量を早い段階から積む必要があります。質点と剛体の運動、力のつり合いとモーメント、重心と慣性モーメント、仕事とエネルギー、運動量と力積、摩擦、振動といった基本項目を、公式の暗記ではなく自由物体図を描いて立式できる状態にしておきましょう。

電気電子システム工学科|専門科目は電気磁気学・電気回路

専門科目は基礎科目(電気磁気学・電気回路)で、2つの領域から出題されます。一般選抜の募集人員は3名と5学科で最も多く、実質倍率も4年間で2.6〜3.0倍と安定しています。2領域それぞれを標準レベルで確実に取ることが合格ラインに直結する学科です。電気磁気学はクーロンの法則、電界・電位、ガウスの法則、コンデンサ、電流と磁界、電磁誘導、インダクタンスまで。電気回路は直流回路の各種定理(重ね合わせ、テブナン)、交流回路のフェーザ表示、複素インピーダンス、共振、電力、過渡現象までを一通り押さえてください。交流回路の複素数計算は、数学の複素解析の学習とそのまま相互補強になります。

物質科学工学科|令和9年度から化学+物理の2科目に

専門科目は理科(化学・物理)で、令和9年度から内容が変わりました。要項が示す範囲は、化学が物理化学・無機化学・有機化学、物理が力学・電磁気学です。前年度までの「化学・物理・生物から出願時に届け出た2科目」という選択制ではなくなり、化学と物理の両方が必須になっています。

化学系の学科でありながら物理(力学・電磁気学)が必須になっている点が、この学科の対策上の最大のポイントです。化学だけを深掘りしても専門科目200点の半分しか取れません。物理は範囲が力学と電磁気学に限定されているので、この2領域に絞って標準レベルの演習を繰り返すのが効率的です。化学のほうは物理化学・無機化学・有機化学の3領域と広いため、早い時期から手をつける必要があります。なお実施状況を見ると、この学科は一般選抜の受験者が毎年1〜2名と少ない一方、2026年度は受験者1名に対して合格者0名でした。受験者が少ないことは合格の保証になりません。

情報工学科|ソフトウェアとハードウェアの両方が出る

専門科目は情報処理(ハードウェア・ソフトウェアの基礎)です。この科目名のとおり、オンライン編入学院の過去問分析でも大問はソフトウェア系とハードウェア系のおおむね半々で構成されており、どちらか一方だけの対策では得点が頭打ちになります。扱われる領域を整理すると次のようになります。

系統領域扱われた内容の系統
ソフトウェアC言語のプログラム作成配列操作、文字列とハッシュ表、構造体とポインタによる線形リスト操作、動的メモリ確保
アルゴリズム数値計算アルゴリズム(掃き出し法の前進消去・後退代入)、条件を満たす数の探索、状態更新のシミュレーション
ハードウェア論理回路真理値表、論理式の簡単化(積和形・和積形・カルノー図)、組合せ論理回路の設計、順序論理回路(D/JKフリップフロップ、状態遷移)
計算機内部の数値表現浮動小数点数のビット表現と10進変換、固定小数点数、2の補数、桁落ち・正規化
計算機の仕組みチューリングマシンの動作追跡、ノイマン型コンピュータの構成要素、メモリ階層とキャッシュ

著作権の観点から、過去問の設問そのものは記載していません。上表は出題された分野・テーマの系統をまとめたものです。

ここから導ける対策方針は3つです。

  • C言語は「読む」ではなく「書く」練習が必要。関数を1本まるごと実装させる形式が中心です。ポインタと構造体を使った線形リスト操作は繰り返し扱われているので、ノードの追加・走査・表示を手で書けるようにしておいてください。
  • 論理回路は設計まで踏み込む。真理値表を作って終わりではなく、カルノー図で簡単化し、回路図として描き、フリップフロップを使った順序回路の状態遷移まで扱われます。
  • 数値表現は必ず1問分の価値がある。浮動小数点数・固定小数点数・2の補数は、基本情報技術者試験の範囲と重なります。市販の情報系入門書で短期間に埋められる領域なので、優先度を上げてください。

情報工学科は一般選抜の実質倍率が直近4年で3.0〜6.0倍と機械システム工学科に次ぐ激戦です。数学と情報処理の両方で標準レベルを落とさないことが前提になります。

都市システム工学科|専門科目は構造力学

専門科目は構造力学です。募集人員は推薦1名・一般1名と5学科で最も少なく、受験者も毎年1〜5名程度です。ただし前述のとおり、一般選抜では受験者1名に対して合格者0名という年が2年続いた後、直近2年は受験者5名に対して合格3名、受験者4名に対して合格4名と結果が分かれています。受験者数と合格しやすさに相関はありません。構造力学は、支点反力の計算、静定はり・トラス・ラーメンの断面力(軸力・せん断力・曲げモーメント)、影響線、断面の性質(断面二次モーメント)、たわみの計算、不静定構造の基礎まで、体系的に積み上がる科目です。基礎を飛ばすと後半がまったく解けなくなる科目なので、順番どおりに一冊仕上げるのが最短経路です。

過去問は大学から取り寄せられる

茨城大学工学部は、学生募集要項とあわせて入学試験過去問題を配付しています。これは対策を始めるうえで最初にやるべきことです。方法は2つあります。

  • 郵送で受け取る: 請求する封筒に請求する資料名を朱書きし、角形2号(240mm×332mm)の返信用封筒を同封して、茨城大学工学部入学試験担当(〒316-8511 茨城県日立市中成沢町4-12-1)に郵送します。返信用封筒に貼る切手は、過去問題のみなら通常便270円・速達便570円、学生募集要項のみなら通常便320円・速達便620円、両方なら通常便510円・速達便810円です。請求用封筒には必ず電話連絡先を明記してください。
  • 窓口で受け取る: 日立キャンパスのE1棟1階(学部等支援部日立地区事務課学務グループ事務室)で、平日8時30分〜17時15分に受け取れます。

なお、募集要項のPDFは工学部の公式ページで公開されていますが、PDF版には出願書類が含まれていません。実際に出願するには冊子の募集要項(入学志願者名票・受験票・写真票・推薦書・宛名票・検定料払込用紙・提出用封筒が添付されたもの)を入手する必要があります。切手代・郵送日数の条件は変わることがあるので、請求前に工学部の公式ページで最新の案内を確認してください。

受験直後の記録から分かること

2026年6月13日に実施された令和9年度(2027年度)の一般選抜について、情報工学科を受験した方から試験直後アンケートが寄せられています。当日の数学で扱われた内容として挙げられたのは次の項目です。

・偏微分
・重積分
・行列
・微分方程式
・複素解析学

情報工学科を受験した方の試験直後アンケート(試験日 2026年6月13日)

要項が示す4分野(微分積分・線形代数・微分方程式・複素解析学)が、最新の実施回でもそのまま問われていることが確認できます。「4分野が1題ずつ」という構成は、過去の傾向であると同時に、直近の試験でも維持されているということです。

試験当日の様子については、次のように記録されています。

試験開始20分前に着席するよう指示される。
全学科同じ部屋で受けた。

情報工学科を受験した方の試験直後アンケート(試験日 2026年6月13日)

「全学科同じ部屋」というのは、数学が全学科共通の試験として同一時間割で行われることと整合します。開始20分前の着席指示があるため、会場には集合時刻よりさらに余裕をもって到着しておきたいところです。日立キャンパスは水戸ではなく日立市にあるので、当日の移動時間の見積もりを間違えないでください。

対策上のアドバイスとしては、次の1点が挙げられていました。

複素解析学はパターンが読めないためしっかりやった方がいい。

情報工学科を受験した方の試験直後アンケート(試験日 2026年6月13日)

過去問分析でも、複素解析の大問は複素数の計算・複素平面上の集合と写像・複素指数関数と複素対数関数・複素積分と留数と、年によって切り口が大きく動いています。他の3分野に比べてパターン化しづらいという受験直後の実感は、出題内容の推移とも一致します。複素解析だけは「頻出パターンを覚える」戦略が通用しにくいという前提で、範囲全体を一周する時間を確保してください。

なお、一般選抜には面接がありません。要項の選抜方法にも面接は含まれておらず、当日のアンケートでも面接は「なし」と記録されています。面接があるのは推薦選抜だけです。

出願までの実務チェックリスト

この試験で最も多い失敗は、実力不足ではなく書類と締切です。出願期間は推薦・一般とも実質4〜5日しかありません。逆算して準備してください。

  • 冊子の募集要項を請求する(出願の1〜2か月前): PDF版には出願書類が付いていません。郵送請求には往復の日数がかかるので、出願期間の直前に慌てないよう早めに手配します。
  • 自分の出願資格の区分を特定する: 一般選抜は6区分あり、必要な証明書が区分ごとに違います。専修学校専門課程の区分なら専門士取得(見込)証明書または修業年限・総授業時間数を証明する書類、大学2年以上在学の区分なら在学証明書(退学者は在学期間証明書)、高等学校等の専攻科の区分なら修了(見込)を証明する書類が追加で必要です。
  • 62単位の条件を勘違いしない: 「62単位以上」は「修業年限4年以上の大学に2年以上在学」区分にだけかかる要件です。短大・高専・専門学校・学士の区分には62単位という条件はありません。なお大学2年以上在学の区分で出願時に62単位に達していない場合は、履修中の科目と単位数が明記された証明書を併せて提出します。後学期に履修予定の科目でそれも証明できない場合は、科目名と単位数を記した本人署名・捺印の書類を追加します。
  • TOEIC・TOEFLのスコアを確保する(一般選抜のみ): スコアシートは原本と写しの両方を提出します。受験時期の条件(令和9年度は2024年4月1日以降受験)に合うものが手元にあるかを確認し、無ければ出願に間に合う試験日を逆算して申し込みます。スコアが無いと出願そのものができません。
  • 学業成績証明書を厳封で用意する: 修得単位数が明記されたもので、出身学校長(大学・短期大学は学長または学部長)が作成し厳封したものが必要です。発行に日数がかかるので、出願期間の2〜4週間前には依頼してください。
  • 検定料30,000円を金融機関の窓口で納入する: 別添の払込用紙を使い、必ず窓口で納入します。ATMは使用不可です。「振替払込受付証明書(お客さま用)」を出願書類に同封します。振込手数料は自己負担です。
  • 返信用の切手を貼る: 受験票等送付用封筒に速達郵便切手410円を貼付します。郵送出願でスコアシートの返送を簡易書留で希望する場合は、さらに760円分の切手を追加します。
  • 速達書留で郵送する(期間内必着): 消印有効ではなく必着です。持参する場合は出願期間中の平日9時〜16時に受け付けています。
  • 受験上の配慮が必要な場合は事前相談: 障害等で受験上・修学上の配慮が必要な場合、令和9年度は令和8年4月3日までに工学部入試係へ相談、申請書は4月8日までに提出という期限でした。出願期間よりかなり早いので、該当する人は要項が出たらすぐ動いてください。
推薦選抜は出身学校からの一括提出です。推薦選抜では、出願書類等を志願者本人ではなく出身学校が直接提出します。校内の推薦手続きが先に必要なので、大学の出願期間(4月下旬)から逆算するのではなく、在学校の締切から逆算してください。担任や学科の先生への相談は前年のうちに始めておくのが安全です。

時期別の対策ロードマップ

一般選抜(6月中旬の試験)を基準にした標準的な進め方です。推薦選抜を狙う場合は、試験日が5月上旬・出願が4月下旬と1か月以上早いので、全体を前倒ししてください。

  • 試験の1年前まで

    志望学科を決め、英語のスコアメイクを始める。専門科目が学科ごとに違うため、学科が決まらないと専門の対策が始められません。同時に、TOEICは短期間で伸びる科目ではないので最も早く着手します。目標は700点(換算満点)です。この時期は在学校の成績も落とさないことを意識してください。学業成績証明書が一般選抜で50点、推薦選抜で100点を占めます。

  • 試験の6か月前まで

    数学の4分野を一周する。微分積分・線形代数・微分方程式・複素解析を、標準的な編入向け問題集で一通り解きます。この段階では「解けなかった分野を特定する」ことが目的です。とくに複素解析とラプラス変換は演習不足になりやすいので、進度を必ず確認してください。並行して、大学から過去問と募集要項を取り寄せ、専門科目の出題形式を自分の目で確かめます。

  • 試験の3か月前まで

    専門科目に重心を移す。配点200点の専門科目が合否を分けます。数学は苦手分野の潰し込みに絞り、時間の大半を専門に配分します。物質科学工学科を志望する人は、化学と物理の2科目分の時間が必要なことを見込んでスケジュールを組んでください。TOEICが700点に達していれば、この時点で英語の学習は止めて構いません。

  • 試験の2か月前

    出願書類の準備を始める。一般選抜の出願は5月下旬ですが、学業成績証明書・卒業(見込)証明書の発行、検定料の窓口納入、スコアシートの手配には日数がかかります。冊子の募集要項の請求もこの時期までに済ませます。推薦選抜を受ける人は、この時期にはすでに出願が終わっています。

  • 試験の1か月前〜直前

    90分×2の時間配分に体を慣らす。数学90分・専門90分の通し演習を、本番と同じ順序(午前に数学、午後に専門)で行います。1科目でも受験しなければ判定対象外になるため、体調管理も対策のうちです。前日までに日立キャンパスへの経路と所要時間を確認しておきます。

入学後に知っておきたいこと

2年で卒業できる保証はない

募集要項の注意事項には、「入学後、2年間で卒業できることを保証するものではありません」と明記されています。既修得単位の認定は、出身校のカリキュラムと成績を考慮して大学が個別に行います。基盤教育科目などの履修のために3年以上在学が必要になる場合があり、休学期間を除いて4年を超えて在学することはできません。「2年で卒業して就職・大学院進学」という前提が崩れる可能性を織り込んで進路計画を立ててください。卒業に必要な単位数の確認は工学部学務グループに問い合わせることができます。

また、機械システム工学科・電気電子システム工学科・物質科学工学科・都市システム工学科に編入学する人は、原則として希望するプログラムで指定された科目を履修することになります。

教育職員免許状を目指す場合の制限

教育職員免許状(工業)の取得を希望する場合、免許科目として認定できる単位数に制限があります(高等専門学校出身の場合は10単位まで)。編入学後、事前に教務委員に相談して履修計画を立てるよう要項に案内があります。教員免許を目的の一つにしている人は、入学前にこの制限を把握しておいてください。

入学時にかかる費用

項目金額
入学料282,000円
授業料年額 535,800円(前期分 267,900円)
入学時の納付額(予定)計 328,560円
(入学料282,000円+学生教育研究災害傷害保険等2,430円+茨城大学教育研究助成会会費10,000円+工学部後援会会費6,000円+工学部同窓会会費25,000円)
検定料30,000円

上記のほか、3年次に実施されるTOEIC IPテストの受験経費などを別途納入する必要があると要項に記載されています。入学料・授業料は改定される場合があり、在学中に改定が行われたときは改定時から新授業料が適用されます。入学料・授業料の免除および徴収猶予(延納・月割分納)の制度もあるので、必要な人は要項に案内されているページから内容を確認してください。なお、災害救助法等の適用地域の被災者に対する検定料免除の特別措置もあります(希望する場合は出願期間の1週間前までに茨城大学入試・高大連携課へ問い合わせ)。

併願をどう組むか

茨城大学工学部の日程は、推薦選抜が5月上旬、一般選抜が6月中旬です。国公立大学の理工系編入試験は6月〜7月に集中するため、日程が重ならない範囲で複数校を受けるのが一般的です。とくに関東圏には、高等専門学校以外の出身者にも門戸が開かれている国公立大学がいくつかあります。茨城大学工学部の一般選抜も、短期大学・専修学校専門課程・大学2年以上在学・高等学校等の専攻科という幅広い区分を認めているのがその一例です。

併願先を検討するときは、次の3点を必ず確認してください。①試験日が重ならないか ②英語の外部スコアが必要か(必要なら基準と有効期限) ③自分の出身区分で出願できるか。とくに英語外部スコアは大学ごとに扱いが違い、提出必須の大学と筆記試験を課す大学があります。茨城大学工学部は提出必須なので、スコアを取っておけば他大学でも使い回せる可能性があります。

同じ茨城大学の他学部(理学部・農学部)も3年次編入学試験を実施していますが、学部ごとに別の募集要項・別の日程です。工学部の要項に他学部の情報は載っていないので、併願を考える場合はそれぞれの学部が公表する要項を個別に確認してください。

関連動画

高等専門学校以外の出身者でも受験できる関東圏の国公立大学を扱った動画です。茨城大学も取り上げられています。

【理系編入】高専生"以外"でも編入ができる中堅国公立大学 7選 -関東篇-

おすすめ参考書|数学と情報処理の定番

数学は全学科共通で必ず出るため、まず数学の土台を作る本から選びます。カードをタップするとレビュー記事に移動できます。

数学(全学科共通)

下の3冊は、茨城大学工学部の数学で問われる出題分野との対応が確認できている本です(微分積分・線形代数・微分方程式・複素解析)。

「大学編入のための数学問題集」は微分積分・線形代数・微分方程式・複素平面までを1冊で通せるので、まず全体を一周する用途に向きます。「大学教養微分積分」は多変数関数の極値や重積分といった大問[1]の中心テーマを厚く扱っています。「応用数学」は複素関数・複素積分・留数定理まで収録されており、対策が薄くなりがちな大問[4]を埋めるのに使えます。

情報処理(情報工学科)

下の3冊は、茨城大学工学部との対応が確認できている本です。

「定本Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造」は線形リスト・二分探索・整列といった、C言語で関数を実装させる出題にそのまま対応します。「図解コンピュータアーキテクチャ入門」はカルノー図・フリップフロップ・2の補数・キャッシュメモリまで、ハードウェア系の大問で扱われる領域を横断的にカバーしています。「いちばんやさしい基本情報技術者」は浮動小数点数・論理回路・補数表現といった基礎を短時間で埋めたいときに向きます。

直前期のチェックリスト

  • 数学の4分野を1周し直したか: 微分積分・線形代数・微分方程式・複素解析。捨てた分野があるなら、直前でも最低限の得点源を作る
  • 複素解析の演習を追加したか: 複素数の計算、複素平面上の集合と写像、複素指数関数・複素対数関数、複素積分。パターン化しにくい分野なので幅を持たせる
  • ラプラス変換を含む微分方程式を確認したか: 要項の範囲に明記されている
  • 専門科目の通し演習をしたか: 配点200点。90分で解ききる時間配分を体で覚える
  • TOEIC・TOEFLのスコアシート原本を提出済みか: 出願段階の話だが、返却された原本の保管場所を確認しておく
  • 受験票と写真票を確認したか: 写真は縦4cm×横3cm、上半身正面無帽、出願前3か月以内に撮影したもの
  • 日立キャンパスへの経路と所要時間を確認したか: 水戸キャンパスではない。試験開始20分前の着席指示に間に合う時間で計画する
  • 2科目とも受験できる体調か: 1科目でも欠けると合格者判定の対象外になる

よくある質問

茨城大学工学部の編入試験の倍率はどのくらいですか?

茨城大学が公表している「3年次編入学試験実施状況一覧」によると、工学部全体(ツイニングプログラム入試を含む)の実質倍率(受験者数÷合格者数)は2023年度2.4倍、2024年度3.0倍、2025年度2.3倍、2026年度1.6倍でした。ただし推薦選抜と一般選抜では大きく違い、同じ4年間で推薦選抜は1.1〜1.9倍、一般選抜は2.7〜4.3倍です。出願する区分によって難易度がまったく異なるため、学部全体の数字だけで判断しないでください。

推薦選抜と一般選抜のどちらを受けるべきですか?

推薦選抜に出願できるのは短期大学と高等専門学校の卒業(見込み)者だけで、出身学校長などの推薦が必要です。この条件を満たすなら、公表データ上は推薦選抜のほうが実質倍率が低く、面接と書類だけで学力試験がないため、まず推薦選抜を検討する価値があります。さらに推薦選抜で不合格になった人が一般選抜に出願し直すことも要項で認められているため、条件を満たすなら受験機会が実質的に2回になります。

茨城大学工学部の編入試験の出願資格を教えてください。

一般選抜の出願資格は6区分です。短期大学卒業(見込み)、高等専門学校卒業(見込み)、専修学校専門課程の修了(見込み・修業年限2年以上かつ大学入学資格を有する人に限る)、学士の学位を取得(見込み)、修業年限4年以上の大学に2年以上在学して62単位以上を修得(見込み)、修業年限2年以上の高等学校等の専攻科の修了(見込み)です。62単位という条件は5番目の「大学に2年以上在学」の区分にだけかかる要件で、全区分に共通する条件ではありません。

英語はTOEICで何点あればよいですか?

一般選抜の英語は筆記試験ではなく、TOEIC Listening & ReadingまたはTOEFLのスコアを提出します。募集要項の換算方法では、TOEIC 700点以上で英語100点が満点になり、700点未満は「100点×スコア÷700」で計算されます。したがって700点が実質的な目標ラインです。出願書類として使えるスコアには受験時期の条件があり、2027年度入学の選抜では2024年4月1日以降に受験したものに限られていました。TOEIC IP(団体特別受験制度)のスコアレポートも認められています。

試験科目と配点はどうなっていますか?

一般選抜は450点満点で、内訳は専門科目200点、英語100点、数学100点、学業成績証明書50点です。数学は全学科共通で、微分積分・線形代数・微分方程式(ラプラス変換を含む)・複素解析学が範囲です。専門科目は学科ごとに異なり、機械システム工学科は工業力学、電気電子システム工学科は電気磁気学と電気回路、物質科学工学科は化学と物理、情報工学科は情報処理、都市システム工学科は構造力学です。学力試験科目を一つでも受験しなかった場合は合格者判定の対象になりません。

過去問は手に入りますか?

茨城大学工学部は入学試験過去問題を郵送または窓口で配付しています。郵送の場合は請求する資料名を朱書きした封筒に、角形2号の返信用封筒を同封して工学部入学試験担当に送ります。返信用封筒に貼る切手は、過去問題のみなら通常便270円・速達便570円、学生募集要項と合わせて請求する場合は通常便510円・速達便810円です。窓口は日立キャンパスで平日8時30分から17時15分に受け取れます。最新の請求方法は工学部の公式ページで確認してください。

編入後は2年で卒業できますか?

募集要項には「入学後、2年間で卒業できることを保証するものではありません」と明記されています。既修得単位の認定は出身校のカリキュラムと成績を考慮して行われ、基盤教育科目などの履修のために3年以上在学が必要になる場合があります(休学期間を除き4年を超えて在学することはできません)。また教育職員免許状(工業)の取得を希望する場合、免許科目として認定できる単位数に制限があります(高等専門学校出身者は10単位まで)。

この記事の情報はいつ時点のものですか?

令和9年度(2027年度)3年次編入学者選抜学生募集要項と、茨城大学が公表する令和5〜8年度の3年次編入学試験実施状況一覧をもとに、2026年8月6日に更新しています。日程・科目・出願資格・募集人員は毎年変わる可能性があるため、出願前には必ず茨城大学工学部が公表する最新の募集要項を確認してください。

まとめ

茨城大学工学部の3年次編入学者選抜で、最初に決めるべきは推薦選抜と一般選抜のどちらで出願するかです。短期大学・高等専門学校の出身で校内推薦を得られるなら、推薦選抜は実質倍率1.1〜1.9倍で、しかも不合格でも一般選抜に出し直せます。一般選抜しか選べない場合は、450点満点の配点から逆算するのが最短経路です。専門科目200点が最大の得点源で、英語100点はTOEIC 700点で満点という形で試験前に確定でき、数学100点は4分野が1題ずつという構成が続いています。

やるべきことを5つに絞ると、①志望学科を早く決めて専門科目の範囲を確定する、②TOEICを700点まで持っていき、達したら英語から手を引く、③数学は微分積分・線形代数・微分方程式・複素解析の4分野すべてを一周し、とくに複素解析とラプラス変換を落とさない、④大学から冊子の募集要項と過去問を取り寄せ、出願の5日間を絶対に逃さない、⑤在学校の成績を落とさない(一般50点・推薦100点)。この5つを押さえれば、募集人員20名の枠に対して十分に戦える試験です。

あとは、いまの自分の位置から何を先にやるかです。志望校と現在の状況をうかがったうえで、順番を整理します。

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この記事について

監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)。本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。試験概要と実施状況は茨城大学が公表する募集要項・3年次編入学試験実施状況一覧をもとに毎年度確認し、出題傾向はオンライン編入学院の過去問分析に、受験当日の記録は試験直後アンケートにもとづいています。

※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ|最終更新: 2026年8月6日

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