ミクロ経済学の力
大学編入の経済学試験では、予算制約式から始まる消費者行動、企業行動、市場均衡といった基礎概念の積み重ねが問われます。これらの単元は相互に関連しているため、一つの単元で理解が止まると、後続の単元で応用問題に対応できなくなる受験生が多くいます。本書は消費者行動から市場均衡、独占、ゲーム理論まで、編入試験で頻出される主要なミクロ経済学の論点を体系的に扱っています。
この本の位置づけ
本書は標準的なミクロ経済学の入門~中級レベルを対象としており、高校政治経済の知識から編入試験の基礎単元まで段階的に学べるように構成されています。経済学部への編入を目指す受験生であれば、経済学の学習経験の有無を問わず使用できます。
他のミクロ経済学参考書と比べると、本書は消費者行動から独占、ゲーム理論まで幅広い単元を一冊でカバーしているのが特徴です。そのため、編入試験全体で問われるミクロ経済学の出題範囲を俯瞰しながら学習したい受験生に適しています。一方、特定の単元を深掘りしたい場合には、より専門的な参考書を別途用意する必要があります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書は編入受験生活の初期段階、遅くとも大学2年生の秋までに導入することをお勧めします。予算制約式や無差別曲線といった基礎概念は、その後の学習全体の土台となるためです。
学習開始が冬以降になると、試験直前期に基礎固めと過去問演習を同時進行させることになり、時間が不足する可能性があります。逆に1年生の早期から始める場合も問題ありませんが、その場合は学習の中断期間を作らないよう注意が必要です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
経済学ミクロ経済学
頻出テーマ予算制約式、無差別曲線、効用最大化、最適消費点、需要曲線、供給曲線
本書の該当ページ市場供給曲線(p.158)、無差別曲線の傾き(p.412)、労働の限界生産力(p.90)、需要曲線(p.51)
長崎大学経済学部
ミクロ経済学
頻出テーマ需要曲線、供給曲線、消費者余剰、生産者余剰、自由貿易、死荷重
本書の該当ページ需要曲線(p.51)、生産者余剰(p.105)、供給曲線(p.186)、労働供給曲線(p.204)
明治学院大学経済学部
ミクロ経済学ゲーム理論
頻出テーマ総余剰、機会費用、外部性、独占価格、完全競争、ナッシュ均衡
本書の該当ページ独占価格(p.293)、完全競争(p.251)、総余剰(p.178)、ナッシュ均衡(p.327)
経済学
頻出テーマ効用関数、効用最大化、ナッシュ均衡、ゲーム理論、最適化、需要関数
本書の該当ページナッシュ均衡(p.327)、部分ゲーム完全均衡(p.363)、ゲーム理論(p.307)
ミクロ経済学
頻出テーマ完全競争市場、市場メカニズム、総余剰、外部性、市場の失敗、市場均衡
本書の該当ページ市場メカニズム(p.254)、完全競争(p.251)、外部性(p.257)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
第1章の消費者行動の理論(p.88)から順に読み進めることをお勧めします。各章では図表を使った説明が多いため、式や曲線の意味を理解しながら、自分で図を描いて進めることが効果的です。特に無差別曲線や需要曲線は、単に読むだけでなく、異なるパターンの図を何度も手で描くことで理解が定着します。
本書を一通り読んだ後は、志望大学の過去問を解き、試験で実際に問われている形式を確認してください。その際、過去問で分からなかった論点があれば、本書に戻って該当ページ(例:市場均衡はp.227の第3章)を参照する往復学習が有効です。
ゲーム理論(p.344以降)や逆淘汰とシグナリング(p.437)といった応用単元については、志望大学の過去問で出題状況を確認してから学習を開始するかどうかを判断してください。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.88 第1章 消費者行動の理論「生産可能性集合」がここで扱われています
- p.90 第2章 企業行動の理論「労働の限界生産力」がここで扱われています
- p.227 第3章 市場均衡「厚生経済学の第1基本定理」がここで扱われています
- p.300 第5章 独占「平均費用価格規制」がここで扱われています
- p.344 第6章 同時手番のゲームとナッシュ均衡「期待効用モデル」がここで扱われています
- p.403 第7章 時間を通じたゲームと戦略の信頼性「モラル・ハザード」がここで扱われています
- p.437 第9章 逆淘汰とシグナリング「分離均衡」がここで扱われています
注意点
本書は標準的なテキストですが、最新の出版年から時間が経っている可能性があります。出版年を確認の上、記載内容が現在の試験傾向と合致しているか、過去3年分の志望大学の過去問で確認することをお勧めします。
本書は理論の説明に重点を置いているため、計算問題や数値を用いた演習問題の数は限定的である可能性があります。計算問題への対応力を高める必要がある場合は、別途問題集を用意してください。また、本書では国際経済や行動経済学といった応用分野については詳しく扱われていないため、志望大学の過去問でこれらの単元が頻出する場合は追加学習が必要です。







