島根大学法文学部の編入試験対策|倍率・出題傾向・学科別の準備
島根大学法文学部の編入学試験は、3年次編入のみ・年1回・一般選抜のみという、しくみとしてはとてもシンプルな試験です。募集人員は3学科あわせて10名。大学が公表している入試実施状況では、直近6年の学部全体の倍率は2.1〜2.9倍(受験者数÷合格者数)で推移しています。ただし学科によって数字も試験の中身も大きく違い、志願者の約6割が集まる法経学科は6年通算で約3.3倍、社会文化学科は約2.2倍、言語文化学科は約2.0倍でした。試験は法経学科が小論文、社会文化学科と言語文化学科が「出願時に自分で選んだ専門科目1つ」。そして面接の配点が全体の40〜50%を占めます。この記事では、2027年度の募集要項と大学公表の実施状況・出題意図をもとに、学科の選び方、科目ごとの出題の形、出願から試験当日までの動き方を整理します。
出願資格は大学ごとに条件が細かく分かれます。短大・高専・専門学校・大学在学中で扱いが変わり、英語資格が要る大学もあります。自分が出願できるかどうかは、条件を1つずつ突き合わせないと分かりません。
ボタンを押すと予約ページが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。
試験概要(2027年度募集要項)
2027年度(2027年4月入学)
| 入学年次 | 3年次のみ(2027年4月1日入学)。2年次編入の募集はありません。単位認定の結果によっては、2年を超えて在学が必要になる場合があります |
|---|---|
| 募集学科・コース | 法経学科(法学/経済学/司法特別の3コース)、社会文化学科(現代社会/歴史と考古の2コース)、言語文化学科(日本・中国・英米・ドイツ・フランス・哲学芸術文化交流の6研究室)。募集人員10名は学科別ではなく3学科の合計です |
| 選抜区分 | 一般選抜のみ。学校推薦型・社会人特別選抜などの別区分はありません |
| 選抜方法 | 学力試験(筆記)+面接+出願書類の総合判定。法経学科は小論文、社会文化学科・言語文化学科は専門科目(出願時に1科目を選択) |
| 配点 | 法経学科=小論文100+面接100=200点 社会文化学科=専門150+面接100=250点 言語文化学科=専門150+面接100=250点 |
| 時間割 | 筆記10:00〜12:00、面接13:30〜(全学科共通)。会場は松江キャンパス |
| 出願資格(主なもの) | 大学卒業/短期大学・高等専門学校卒業/修業年限4年以上の大学に2年以上在学し62単位以上修得/専修学校の専門課程修了(文部科学大臣の定める基準を満たすもの)/高等学校等の専攻科修了/外国で14年以上の課程を修了。いずれも2027年3月31日までの見込みを含みます |
| 必要単位 | 62単位以上は「大学に2年以上在学」で出願する区分にかかる要件です。短大・高専・専門学校からの出願では卒業(修了)そのものが資格になります |
| 検定料 | 30,000円(振込取扱期間 2026年10月9日〜10月20日15時まで。ATMは使用不可) |
| 合格発表・入学手続 | 発表 2026年12月9日11時/手続 2026年12月14日〜12月18日17時 |
この表は島根大学が公表している「2027年度 島根大学法文学部【3年次編入学】学生募集要項」(2026年6月公表)にもとづきます。日程・科目・資格は毎年変わる可能性があるため、出願前に必ず大学公表の最新の募集要項の原本を確認してください。
科目と日程が分かっても、いまの学習量で間に合うか、何を先にやるかは人によって変わります。併願先との重なりも、組み合わせ次第で負担が大きく変わります。
ボタンを押すと予約ページが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。
まず決めるのは「どの学科のどの科目で受けるか」
島根大学法文学部の編入試験でいちばん重要な意思決定は、学習を始める前に来ます。出願の時点で、学科と、その学科で受ける専門科目を1つ選んで確定させる必要があるからです。
社会文化学科では、志望理由書の「専門科目」欄に選択する科目名を書いて提出します。言語文化学科も同じで、入学後に所属する6研究室のうちどこを志望するかによって、受ける専門科目が決まります。つまり「とりあえず出願して、勉強しながら受ける科目を決める」ということができません。逆に言えば、志望を早く固めさえすれば、対策すべき範囲は1科目分に絞り込めます。
もう一つ、学科をまたいだ併願もできません。筆記試験は全学科が同じ日の同じ時間帯(10:00〜12:00)に行われるためです。法経学科と社会文化学科の両方に出願して当日どちらかを選ぶ、という戦い方は取れません。
学科ごとの試験の中身
| 学科 | 筆記 | 選べる専門科目 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 法経学科 | 小論文 | 選択なし(全員共通の小論文)。コースは法学/経済学/司法特別の3つ | 小論100+面接100 =200点 |
| 社会文化学科 | 専門科目 | 現代社会コース=社会学/地理学/文化人類学 歴史と考古コース=日本史/東洋史/西洋史/現代史/考古学 | 専門150+面接100 =250点 |
| 言語文化学科 | 専門科目 | 日本語学・日本文学/中国語学・中国文学/英語学・英米文学/ドイツ語学・ドイツ文学/フランス語学・フランス文学/人文学(哲学・芸術・文化交流研究室) | 専門150+面接100 =250点 |
辞書の可否は科目で決まる
要項の備考に、持ち込める辞書が明記されています。認められているのは、ドイツ語学・ドイツ文学を選んだ場合の独和辞典と、フランス語学・フランス文学を選んだ場合の仏和辞典だけです。いずれも1冊のみで、電子辞書などの電子機器は持ち込めません。
誤解しやすいのは英語学・英米文学で、この科目は辞書を使えません。英文を読んで答える設問がありますから、辞書なしで初見の英文を読み切る力を、事前に測っておく必要があります。「独仏は辞書が使えるぶん語学の負担が軽い」という単純な話ではありませんが、当日の条件が科目で違うことは、科目選択の判断材料になります。
倍率と難易度(大学公表の実施状況6年分)
島根大学は毎年「島根大学入試 実施状況」を公表しており、その中に編入学の区分があります。学部・学科別に募集人員・志願者数・受験者数・合格者数・入学者数が並ぶ表で、法文学部は3学科の内訳と学部計が載っています。ここでは直近6年分(2021〜2026年度入学)を整理しました。
学部全体の推移
| 入学年度 | 募集人員 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 10名 | 39 | 34 | 12 | 11 | 2.83倍 |
| 2022年度 | 10名 | 33 | 28 | 12 | 7 | 2.33倍 |
| 2023年度 | 10名 | 38 | 35 | 12 | 11 | 2.92倍 |
| 2024年度 | 10名 | 33 | 26 | 10 | 8 | 2.60倍 |
| 2025年度 | 10名 | 30 | 21 | 10 | 9 | 2.10倍 |
| 2026年度 | 10名 | 30 | 27 | 10 | 9 | 2.70倍 |
| 6年通算 | ― | 203 | 171 | 66 | 55 | 2.59倍 |
倍率は受験者数÷合格者数で計算しています(志願者数ではなく、当日実際に受験した人数を分母にしています)。年度は入学年度で、たとえば2026年度は2025年11月に実施された試験の結果です。
読み取れることは3つあります。
1つ目は、合格者数が募集人員の10名を下回らないことです。2021〜2023年度は3年続けて12名が合格しており、募集人員は「これ以上は出さない上限」ではないことがわかります。一方で入学者は6年で55名と、合格者66名を下回っています。辞退者が一定数いるということで、併願先に進学する人がいることを示しています。
2つ目は、志願者から受験者への目減りが大きい点です。6年通算で志願203名に対し受験171名と、約16%が出願したのに当日受けていません。2025年度の法経学科は志願16名に対し受験10名でした。他大学の結果が先に出た、準備が間に合わなかったなど理由はさまざまでしょうが、「出願者数=ライバルの数」ではないことは意識しておいてよい事実です。
3つ目は、年による振れが小さくないことです。2.1倍の年と2.9倍の年があり、母数が数十名規模である以上、数名の増減で倍率は動きます。倍率だけを見て年度ごとの難化・易化を語るより、後述する配点構造と出題内容から準備量を決めるほうが確実です。
学科別の倍率
| 学科 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 6年通算 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 法経学科 | 2.83 | 2.67 | 4.00 | 4.25 | 2.50 | 3.50 | 3.27倍 |
| 社会文化学科 | 3.50 | 2.00 | 1.00 | 3.00 | 2.33 | 1.75 | 2.15倍 |
| 言語文化学科 | 2.50 | 2.00 | 2.25 | 1.20 | 1.33 | 3.00 | 1.96倍 |
法経学科社会文化学科言語文化学科
6年通算の志願者203名の内訳は、法経学科118名・社会文化学科33名・言語文化学科52名です。志願者の約58%が法経学科に集中しており、これが学科間の倍率差の主な理由になっています。法経学科は2023・2024年度に4倍台まで上がりました。
ただし、社会文化学科と言語文化学科の倍率が低いことは「入りやすい」を意味しません。募集人員10名は学科別に割り振られていないため、合格者数は学科ごとに固定されていないからです。実際に社会文化学科の合格者は年によって1名から4名まで動いています。母数が数名の年もあり、こうした年の倍率は難易度の指標としては読めません。倍率の差より、自分が2時間の筆記で戦える科目を選べているかのほうが、合否への影響は大きいと考えるのが現実的です。
出典:島根大学「令和8年度/令和7年度/令和6年度/令和5年度/令和4年度/令和3年度 島根大学入試 実施状況」(入試情報>入試データ>入試実施状況)の「編入学」の表。法文学部の3学科の行と学部計の行から作成しています。同じPDFに一般選抜・私費外国人留学生入試などの表も並んでいますが、本記事の数値はすべて「編入学」の表から取っています。
出題傾向|法経学科の小論文
法経学科は全員が同じ小論文を受けます。要項の備考には、「社会科学分野を重視した一般教養で、特には専門的知識を要しない」と明記されています。法学部の専門試験のように条文や判例を暗記して臨む試験ではない、というのが大学側の説明です。
実際の構成は、大問2題が続いています。おおまかに言えば大問1が法学(一部は政治学)寄り、大問2が経済・社会寄りで、いずれも複数の資料(新聞記事・論考・統計のグラフや表)を読んだうえで書かせる形です。小問は「資料から読み取れることを200字前後でまとめる」タイプと、「論点を整理したうえで自分の考えを400〜650字程度で述べる」タイプの組み合わせになっています。
大学が公表している出題意図と、オンライン編入学院の過去問分析から、年度ごとに扱われた題材の系統を整理すると次のようになります。
| 入学年度 | 大問1(法学・政治学系) | 大問2(経済・社会系) |
|---|---|---|
| 2026年度 | 会社法上の株主の権利をめぐる近年の議論 | 資本主義と貧困の推移をめぐる学説・政策の対立 |
| 2025年度 | 出産・親子関係と「出自を知る権利」 | 農地の集積と大規模化をめぐる賛否(グラフ読解を含む) |
| 2024年度 | 憲法の基礎知識と、資料の法学的な読み取り | 技術革新と雇用(失業・非正規雇用の増加) |
| 2023年度 | 持続可能性への取り組みと会社役員の義務 | 地域間の人口移動と働き方の変化 |
| 2022年度 | ネット上の名誉毀損と事業者の責任 | 女性の就業をめぐる状況の変化(統計読解を含む) |
| 2021年度 | 制度の対象範囲をめぐる訴訟と判断 | 持続可能性をめぐる議論の課題・限界 |
著作権の観点から、過去問の設問そのものは記載していません。掲載しているのは、大学が公表している出題意図と過去問分析から読み取れる題材の系統だけです。
ここから読める対策の重心
時事的なテーマを、法と経済の両方の視点から扱うのが一貫した特徴です。SDGs・企業統治・ジェンダー・地方の人口減少・技術革新と雇用といった、新聞の解説面に出てくる論点が繰り返し取り上げられています。裏を返すと、範囲の広い専門書を読み込むより、社会面・経済面のニュースを「対立する2つの立場」の形で整理する習慣のほうが直接効きます。
ただし「専門的知識を要しない」を「何も知らなくてよい」と読むのは早計です。公表されている出題意図には、憲法の基礎知識を問うた、経済学の基礎的な知識で理論的に説明できるかを問うた、といった記述が出てきます。高校の政治・経済+大学の入門講義レベルの語彙(違憲審査、株主の権利、需要と供給、非正規雇用、格差の指標など)は、説明できる状態にしておくのが安全です。
もう一つの柱が資料の読み取りです。グラフや表から読めることを200字前後でまとめる小問が繰り返し出ています。ここは書く内容というより手続きの練習で、「何が増えて何が減ったか」「いつ傾向が変わったか」「単位と母数は何か」を機械的に拾って字数に収める訓練を、時間を計って積むのが有効です。
出題傾向|社会文化学科の専門科目
社会文化学科は8科目から1つを選びます。大学は入試問題と出題意図を公開していますが、出願があった科目のぶんだけ作成すると明記されているため、公開されている科目の一覧が、その年に実際に実施された科目の一覧にもなっています。直近3年度の内訳は次のとおりです。
| 入学年度 | 実施された専門科目(社会文化学科) |
|---|---|
| 2026年度 | 社会学/考古学/文化人類学 |
| 2025年度 | 社会学/考古学/日本史/文化人類学 |
| 2024年度 | 地理学/西洋史/考古学 |
考古学は3年連続で実施されており、この学科では最も志望者の多い分野のひとつと見られます。逆に東洋史・現代史は直近3年度の公開分にはありません。科目が用意されていても、その年に受ける人がいなければ問題は作られないという運用です。志望者が少ない科目を選ぶと、当日の教室で自分1人という可能性も現実的にあります。
科目ごとの問われ方
社会学
公表されている出題意図では、社会学という学問そのものへの理解、現代的な社会問題への関心と論じる力、そして専門用語についての基礎的な知識、という3方向から問うたと説明されています。用語の説明問題と論述問題の組み合わせが基本形と考えてよいでしょう。入門書1冊を通読して主要概念を自分の言葉で言い直せるようにし、あわせて関心のある社会問題を1つ、社会学の語彙で説明できるようにしておくと対応しやすくなります。
考古学
出題意図からは、基本概念の理解・研究方法・資料の観察という3層が読み取れます。「遺跡」のような基礎概念について何を理解しているかを説明させる問題、型式学・層位学といった方法論の特性を問う問題、そして土器の実測図のような考古資料を見て特徴を説明させる問題です。用語の暗記だけでは足りず、資料を見て言葉にする練習が必要になります。概説書と図録を並べて、写真や実測図を自分で説明してみる勉強が効きます。
文化人類学
論述問題と語句説明問題の2本立てが基本形です。出題意図では、これまでの文化人類学的な議論についての知見を問い、自分の見解を論理的に構成できるかを見た、と説明されています。神話や災害といった具体的な研究領域が題材になった年もあります。入門書レベルの主要概念を語句説明できる状態と、1つの議論について自分の意見を筋道立てて書ける状態の両方を用意しておきましょう。
歴史系(日本史・西洋史ほか)
日本史の出題意図には、全体として大学の教養科目・概説程度の基礎的な知識・関心・理解を問うものだと明記されています。実際に扱われた範囲は、平安時代の政治のしくみ、中世後期の対外関係、近世の幕藩体制、近現代史と、時代を横断していました。西洋史も同様で、古代ローマの政治体制から中世都市の成立、近世の思想と国家、第一次世界大戦後の国際秩序、ヨーロッパ統合まで、通史を広く問う構成でした。
つまり歴史系は、細部の年号暗記より「通史を、原因と結果でつないで説明できるか」が問われます。教科書レベルの通史を1冊押さえ直したうえで、大学の概説書で各時代の代表的な論点(なぜその体制が成立したか、何がその変化を生んだか)を補うのが近道です。
地理学
出題意図によると、地形図の判読、その他の図の判読と説明、そして基礎的知識の用語説明、という構成でした。地形図読図は独立した技能なので、対策していれば得点でき、していなければまったく書けません。志望するなら、地形図の読み方の練習を早い段階で始めてください。用語説明では、観光・都市・地域研究といった人文地理系の語彙が扱われています。
出題傾向|言語文化学科の専門科目
言語文化学科は、入学後に所属する6研究室のいずれかに対応する専門科目を1つ選びます。直近3年度に公開された問題は、英語学・英米文学と人文学が3年連続、日本語学・日本文学が2025年度に実施されています。
日本語学・日本文学
出題意図から、4つの柱がはっきり読み取れます。古典文法・古語の知識と古文の読解、日本語の歴史や文法事項についての日本語学の知識、漢文の語法と漢詩・漢文の読解、そして中古から現代までの日本文学史の基礎知識です。文学作品の解釈だけを準備していると、日本語学と漢文で大きく崩れます。古文・漢文・日本語学・文学史の4本を均等に仕上げるのが前提です。辞書は持ち込めません。
英語学・英米文学
出題意図では4つの設問群それぞれの狙いが示されています。英語学の入門・概説で学ぶ基本事項の知識、英語での表現力、英文の読解力と理解力、そして英米文学の入門・概説で学ぶ基本事項の知識です。知識を問う設問については、知っていることを日本語でわかりやすく伝える文章力も評価すると明記されています。
ここから、準備は3方向になります。1つは英語学(音声・形態・統語・意味・社会言語学など)の入門書、もう1つは英米文学史の概説、そして英語そのものの運用力です。英文和訳・英作文の練習を、辞書なしの条件でやっておく必要があります。TOEICなどのスコア提出は求められていませんが、実質的には英語力そのものが得点に直結する科目です。
人文学(哲学・芸術・文化交流研究室)
この科目は1つの文章を読み、設問に答える形式です。出題意図と解答例が大学から公開されており、設問の狙いも明示されています。文章中の表現の意味を、適切な具体例をあげて説明する問題、文脈に即して正確に説明する問題が並び、最後に筆者の主張を踏まえて自分の考えを根拠を挙げて述べる問題が来ます。要項の採点基準でも、哲学や芸術学、文化交流論に関係するテーマの文章を読み、設問に的確かつ論理的に説明する能力を評価する、と説明されています。
専門知識よりも読解と説明の精度が問われる科目です。哲学・美学の入門書で語彙と論じ方に慣れつつ、抽象度の高い文章を読んで「この表現は要するに何を言っているか」を自分の言葉で言い直す練習を重ねるのが、そのまま対策になります。大学が解答例まで公開している数少ない科目なので、公開されている解答例の書き方(どこまで具体化し、どこで止めるか)を自分の答案と比べてみる価値があります。
中国語学・中国文学/ドイツ語学・ドイツ文学/フランス語学・フランス文学
直近3年度の公開分にはこれらの科目の問題がありません(=その年に出願者がいなかったことを意味します)。ただし要項の採点・評価基準には、中国語学・中国文学は漢文と現代中国語の基礎的な読解力および中国文学史・中国語学の基本的な知識、ドイツ語・フランス語はそれぞれの言語の読解・表現力と各専門分野の基礎的知識・関心・理解、と明記されています。過去問が手に入らない科目でも、要項の評価基準が到達目標そのものになるので、ここを対策の設計図として使ってください。ドイツ語・フランス語は独和・仏和辞典を1冊持ち込めます。
面接は配点の40〜50%
この試験でもっとも見落とされやすいのが面接の重みです。法経学科は面接100点が総点200点の半分、社会文化学科・言語文化学科でも250点中100点=40%を占めます。筆記で差をつけても、面接で同じだけ動きます。
要項によると、面接は1人につき15〜20分程度、複数の教員が担当します。評価するのは問題関心・理解力・適性で、質問の土台になるのは出願時に提出した志望理由書です。つまり面接対策は出願書類を書く段階から始まっています。志望理由書に書いた関心や読んだ本は、そのまま掘り下げられる前提で用意してください。
合否判定の基準も公表されています。総合点が同点の場合は筆記(小論文・専門科目)の高得点者を上位とし、筆記も同点なら同順位とする、という規定です。面接の配点は大きい一方で、最後のタイブレークは筆記で決まる、という設計になっています。
対策ロードマップ
2027年度の日程(出願2026年10月14日〜20日、試験2026年11月28日)から逆算した進め方の目安です。試験が11月末なので、大学2年生の夏から準備を始めると1年強、春から始めると半年強の設計になります。
- 〜6か月前: 学科と科目を決める
この試験は出願時に受ける科目が決まるため、最初にやるのは科目選びです。社会文化学科・言語文化学科を狙うなら、候補科目の入門書を1冊ずつ読み比べて、2時間の筆記で論述しきれる分野を選びます。大学が公開している直近3年度の問題と出題意図に必ず目を通し、自分が何割書けそうかを確かめてください。法経学科を選ぶ場合は科目選択がないぶん、この時期から新聞の社会面・経済面を読む習慣に切り替えます。
- 6〜3か月前: 土台づくり
専門科目は、概説書1冊の通読と用語の定着を軸にします。歴史系なら通史、社会学・文化人類学なら主要概念、考古学なら基礎概念と方法論、地理学なら地形図読図。法経学科は、憲法・民法・ミクロマクロ経済学の入門書で語彙を押さえつつ、時事テーマを「賛成の論拠/反対の論拠」で1テーマ1枚にまとめる作業を始めます。英語学・英米文学を選ぶ場合は、辞書なしでの英文読解と英作文をこの時期から日課にします。
- 3〜1か月前: 答案練習と出願書類
時間を計った答案作成に移ります。筆記は10:00〜12:00の2時間なので、この長さで書き切る体力を作ります。200字・400字・600字それぞれの型を用意し、字数に合わせて内容を伸縮できるようにしておくと本番で迷いません。並行して志望理由書を仕上げます。面接の質問はここから作られるため、書いた内容はすべて説明できる状態にしてください。証明書類(卒業見込・成績証明書など)は発行に時間がかかるので、9月中に出身校へ依頼します。
- 9〜10月: 事前手続きの締切
外国の学校教育課程で出願する場合の事前問い合わせは2026年9月11日まで、受験上の配慮が必要な場合の事前相談は2026年9月25日までと、出願期間より1か月前後早く締め切ります。検定料30,000円の振込は2026年10月9日から10月20日15時までで、ATMは使えず金融機関の窓口対応のみです。ここを逃すと出願そのものができません。
- 直前1か月: 過去問と面接
大学公開の問題を本番と同じ2時間で解き、出題意図と突き合わせて「大学が見たかった力」に自分の答案が応えているかを確認します。面接は志望理由書をもとに、志望動機・編入後に学びたいこと・現在の学びとのつながり・卒業後の展望の4点を、それぞれ1分程度で話せるようにしておきます。第三者に聞いてもらい、質問を受けて答える形の練習を最低数回は入れてください。
出願から入学手続までのチェックリスト
- 要項の原本を入手する: 島根大学の入試情報ページ内「募集要項」から、法文学部【3年次編入学】の要項と各様式(志願票・受験票・志望理由書・振込依頼書・宛名票など)をダウンロードします。2027年度分は2026年6月に公表されました。
- 出願資格を条文で確認する: 「大学に2年以上在学」で出願する場合のみ62単位以上が要件です。短大・高専・専修学校の専門課程・高校等の専攻科からの出願は、卒業(修了)または見込みが資格になります。判断に迷う場合は法文学部担当へ早めに問い合わせてください。
- 専門科目を決めて志望理由書に明記する: 社会文化学科・言語文化学科は、志望理由書の「専門科目」欄に選択する科目名を書きます。ここで科目が確定します。
- 事前手続きの締切を先に押さえる: 外国の学校教育課程による出願は2026年9月11日まで、受験上・修学上の配慮の相談は2026年9月25日までに連絡します(2027年度の場合)。
- 証明書類を手配する: 卒業(見込)証明書、成績証明書(厳封)が必要です。「大学に2年以上在学」で出願する場合は在学・在籍証明書と、履修中の科目・修得見込単位数の証明書も要ります(成績証明書に記載があれば不要)。出願期間の2〜4週間前には依頼しておきましょう。
- 検定料を窓口で振り込む: 30,000円。取扱期間は2026年10月9日〜10月20日の15時まで、金融機関の窓口のみでATMは使えません。返却される振込金証明書を出願書類に同封します。
- 返信用封筒を用意する: 長形3号の封筒に110円分の切手を貼り、自分の郵便番号・住所・氏名を書いて同封します。受験票は出願期間終了後に発送されます。
- 出願期間内に提出する: 2026年10月14日〜10月20日必着(受付は土日祝を除く9時〜17時)。郵送は書留・速達で、封筒に「法文学部編入学願書在中」と朱書きします。最終日17時を過ぎて届いた場合は、10月18日までの消印がありかつ書留・速達であるものに限り受け付けられます。
- 試験当日: 2026年11月28日、松江キャンパス。筆記10:00〜12:00、面接13:30〜。持ち込める辞書はドイツ語・フランス語の科目のみ(独和/仏和1冊、電子辞書不可)です。
- 合格発表と手続: 2026年12月9日11時に発表、合格通知は郵送されます。入学手続は12月14日〜12月18日17時まで。入学料は282,000円(予定額)です。
併願をどう組むか
島根大学法文学部の日程は、併願設計に2つの制約を与えます。
1つは学内併願ができないことです。3学科の筆記が同じ日の同じ時間帯に行われるため、出願できるのは1学科・1科目だけ。文系総合学部にありがちな「同じ大学の複数学科に出す」戦い方は取れません。
もう1つは入学手続が12月中旬に締め切られることです。手続期間は12月14日〜18日で、入学料282,000円の納付判断がこのタイミングで来ます。合格発表が年明け以降になる大学と併願する場合、先に島根大学の手続を済ませるかどうかを決めなければなりません。編入試験は大学によって実施時期が6月から翌年2月まで幅広く分かれるので、「発表日」と「手続締切日」をカレンダーに並べてから出願先を決めるのが安全です。
科目の相性という観点では、法経学科の小論文(資料読解+論述)は、他大学の法学系・経済系の小論文や総合問題とかなり共通の準備が効きます。社会文化学科・言語文化学科の専門科目は分野が特化しているぶん、同じ分野を扱う他大学の人文系学部と組み合わせるのが効率的です。系統ごとの実施状況は人文学系編入試験一覧や法学部編入試験一覧で確認できます。難易度の見取り図は法学部の編入難易度ランキングが参考になります。中国地方で法学系を併願するなら広島大学法学部、文系総合学部という点で構造が近いのは高知大学人文社会科学部や新潟大学人文学部です。島根大学の他学部の日程は島根大学の編入試験まとめと島根大学生物資源科学部の記事で確認してください。
編入後の履修と単位認定
合格後のことも、出願前に把握しておく価値があります。要項によると、卒業に必要な最低修得単位数は法経学科131単位・社会文化学科125単位・言語文化学科128単位です。このうち全学基礎教育科目の42単位は、すでに必要な単位を修得したものとして取り扱われ、改めて履修する必要はありません。
専門教育科目については、既修得単位の授業科目の内容を審査し、法文学部の科目と同等と認められるものを個別に認定します。法経学科と言語文化学科の一部の科目は、本学部で修得したものとして扱われる規定もあります。ただし要項には「単位認定の結果によっては、2年を超えて在学しなければならない場合もあります」と明記されています。編入学=必ず2年で卒業、ではありません。
取得できる資格は、教育職員免許状(法経学科=中学社会・高校公民、社会文化学科=中学社会・高校地理歴史/公民、言語文化学科=中学および高校の国語・英語)と学芸員です。教職課程・学芸員課程は所定の単位を積み上げる必要があるため、編入後2年で取り切れるかは認定される単位数と履修計画次第です。資格取得を目的に編入を考えている場合は、出願前に法文学部担当へ具体的に相談しておくことを強くおすすめします。
なお島根大学は、受験者本人からの申請にもとづいて科目ごとの得点と総合順位(10名単位のランク区分)を通知する制度を設けています。2027年度の場合、申請期間は2027年5月1日〜5月31日17時必着です。合格者の最高点・最低点・平均点も原則公表されますが、要項には「募集人員又は合格者数が10人程度など、個人が特定できるような場合は公表しません」とあり、法文学部の編入は該当する可能性が高い規模です。不合格だった場合の自己申請による開示は、翌年に再挑戦する人にとって貴重な材料になります。
おすすめ参考書
オンライン編入学院の参考書データベースで、島根大学法文学部の出題分野との対応が確認できている本から紹介します。歴史・考古・思想系が中心で、社会文化学科の歴史系科目や言語文化学科の人文学を志望する方向けです。カードをタップするとレビュー記事に移動できます。
考古学講義 北條 芳隆歴史・考古
ここが変わる!日本の考古学 先史・古代史研究の最前線歴史・考古
日本と東アジアの旧石器考古学歴史・考古
歴史学入門 福井 憲彦歴史・考古
ヨーロッパ思想史入門 歴史を学ばない者に未来はない歴史・考古
朝日キーワード哲学哲学・思想法経学科の小論文は、要項に「特には専門的知識を要しない」と明記されている試験です。専門書を積み上げるより、憲法・民法・経済学の入門書で語彙を押さえたうえで、新聞の解説記事や統計資料を読んで論点を整理する練習に時間を配分するほうが、得点に結びつきやすい構成になっています。
関連動画
島根大学を含む合格者の進路について、オンライン編入学院のYouTubeチャンネルで紹介しています。
どんな人が大学編入しているの?|大学編入合格実績とともに受講生との思い出をゆるく語ります
よくある質問
島根大学法文学部の編入試験の倍率はどのくらいですか?
大学が公表している入試実施状況によると、直近6年(2021〜2026年度入学)の学部全体の倍率は2.1〜2.9倍の範囲で推移しています。受験者数÷合格者数で計算した通算倍率は約2.6倍です。学科別に見ると差が大きく、6年通算で法経学科が約3.3倍、社会文化学科が約2.2倍、言語文化学科が約2.0倍でした。志願者の約6割が法経学科に集中していることが、この差の主な要因です。
島根大学法文学部の編入試験はいつ実施されますか?
2027年度(2027年4月入学)の学生募集要項によると、出願期間は2026年10月14日から10月20日必着、試験日は2026年11月28日、合格発表は2026年12月9日11時です。試験は松江キャンパスで行われ、筆記試験が10時から12時、面接が13時30分からという時間割です。入学手続は2026年12月14日から12月18日17時までに行います。
学科によって試験科目はどう違いますか?
法経学科は小論文と面接、社会文化学科と言語文化学科は専門科目と面接です。法経学科の小論文は社会科学分野を重視した一般教養で、要項には特に専門的知識を要しないものと明記されています。社会文化学科は社会学・地理学・文化人類学・日本史・東洋史・西洋史・現代史・考古学の8科目、言語文化学科は日本語学日本文学・中国語学中国文学・英語学英米文学・ドイツ語学ドイツ文学・フランス語学フランス文学・人文学の6科目から、志望するコース・研究室に対応する科目を1つ選びます。
面接はどのくらい重視されますか?
配点上の比重はかなり大きく、法経学科は小論文100点・面接100点の合計200点で、面接が配点の半分を占めます。社会文化学科と言語文化学科は専門科目150点・面接100点の合計250点で、面接は40%です。要項によると面接は1人につき15分から20分程度、複数の教員が志望理由書などにもとづいて質問し、問題関心・理解力・適性を評価します。志望理由書の内容がそのまま面接の材料になるため、書類の作成段階から面接を意識しておく必要があります。
英語の試験や外部スコアの提出は必要ですか?
2027年度の募集要項では、TOEICやTOEFLなどの外部英語スコアの提出は出願書類に含まれておらず、全学科共通の英語筆記試験もありません。ただし言語文化学科の英米言語文化研究室を志望する場合は、専門科目そのものが英語学・英米文学であり、英文読解と英語による表現力が問われます。この科目では辞書の持ち込みが認められていない点にも注意が必要です。
試験に辞書は持ち込めますか?
持ち込みが認められているのは、言語文化学科でドイツ語学・ドイツ文学を選択した場合の独和辞典と、フランス語学・フランス文学を選択した場合の仏和辞典だけです。いずれも1冊のみで、電子辞書などの電子機器は持ち込めません。英語学・英米文学を含むそれ以外の科目では辞書を使えないため、辞書なしで読み切る訓練が必要になります。
過去問や出題意図は公開されていますか?
島根大学は入試情報のページで、2年次・3年次編入学入試の試験問題と出題意図を直近3年度分公開しています。人文学など一部の科目には解答例も付いています。著作権の関係で掲載されていない問題は、松江キャンパスの入試課で閲覧できると案内されています。なお公開されるのは出願があった科目だけなので、掲載科目の一覧から、その年にどの専門科目が実際に実施されたかを知ることもできます。
編入後は2年間で卒業できますか?
要項では、全学基礎教育科目の42単位はすでに修得したものとして取り扱われ、専門教育科目は個別に審査して認定されると説明されています。ただし単位認定の結果によっては2年を超えて在学しなければならない場合もあると明記されています。卒業に必要な最低修得単位数は法経学科131単位、社会文化学科125単位、言語文化学科128単位です。教員免許や学芸員の課程を目指す場合は履修量がさらに増えるため、出願前に大学へ確認しておくと安心です。
まとめ
島根大学法文学部の編入試験は、募集人員10名・年1回・一般選抜のみという小さな入口ですが、大学が実施状況・試験問題・出題意図を公開しているため、準備の設計図が手に入りやすい試験です。直近6年の学部全体の倍率は2.1〜2.9倍、6年通算では約2.6倍。志願者の約6割が集まる法経学科は通算3.3倍とやや高く、社会文化学科・言語文化学科は2倍前後で推移しています。
やるべきことの順番ははっきりしています。まず学科と専門科目を決めること。出願時に確定し、学内併願もできないため、ここが最大の分岐点です。次に、大学が公開している直近3年度の問題と出題意図に目を通し、自分がその2時間で何を書けるかを確かめること。そして配点の40〜50%を占める面接に向けて、志望理由書を書く段階から準備を始めること。この3つを押さえられれば、残りは科目ごとの積み上げです。
2027年度の出願は2026年10月14日から。証明書の手配と、9月に締め切られる事前手続きから逆算して動き始めてください。
あとは、いまの自分の位置から何を先にやるかです。志望校と現在の状況をうかがったうえで、順番を整理します。
ボタンを押すと予約ページが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。
監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)。本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。試験概要・日程・配点は島根大学が公表する2027年度学生募集要項の原本により確認し、倍率は同大学が公表する入試実施状況(令和3〜令和8年度)から作成しました。出題傾向は、大学が公開している入試問題・出題意図と、オンライン編入学院の過去問分析にもとづいています。
※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ|最終更新: 2026年9月6日

