宇都宮大学地域デザイン科学部の編入試験対策|募集学科・倍率・建築基礎の傾向
結論:宇都宮大学地域デザイン科学部の編入試験はこんな試験
宇都宮大学地域デザイン科学部の第3年次編入学試験は、3つある学科のうち2つでしか実施されず、しかもその2学科で出願できる人がまったく違うという、かなり特殊な構造をしています。ここを取り違えると準備そのものが無駄になるため、最初に整理しておきます。
- 建築都市デザイン学科=「学力試験による選抜」で3名。大学2年生・短大生・高専生・専門学校生・学士取得者など幅広い区分から出願できます。試験は英語(TOEIC換算)100点+建築基礎200点+面接100点の計400点です。
- 社会基盤デザイン学科=「推薦による選抜」で3名。出願できるのは高等専門学校を卒業見込みで、学校長の推薦を受けられる人だけです。筆記試験はなく、面接(口述試験を含む)と推薦書・調査書で選抜されます。
- コミュニティデザイン学科=募集要項に「第3年次編入学試験を実施しません」と明記されています。
つまり、大学2年生・短大生・専門学校生がこの学部を目指す場合、選択肢は建築都市デザイン学科の1つだけです。そして、その入口ではTOEICのスコアが出願書類になっています。スコアがなければ出願自体ができないため、対策の第一歩は建築の勉強ではなくTOEICの受験計画になります。
難易度は「受験者数÷合格者数」で見ると、建築都市デザイン学科は直近5年で1.8〜5.0倍と年による振れが大きく、5年通算では3.2倍です。募集人員は3名ですが、合格者は2〜5名と年度によって変わっています。この記事では、令和9年度(2027年4月入学)の募集要項と、大学が公表している令和4〜8年度の実施結果をもとに、何をどの順で準備すればよいかを具体的に整理します。
出願資格は大学ごとに条件が細かく分かれます。短大・高専・専門学校・大学在学中で扱いが変わり、英語資格が要る大学もあります。自分が出願できるかどうかは、条件を1つずつ突き合わせないと分かりません。
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試験概要(令和9年度募集要項データ)
令和9年度=2027年4月入学宇都宮大学は令和9年度の「地域デザイン科学部第3年次編入学試験学生募集要項」を2026年5月7日に公表しました。以下はその要項の記載内容です。
| 入学年次・入学時期 | 第3年次編入学/令和9年4月入学 |
|---|---|
| 募集学科と募集人員 | 建築都市デザイン学科=学力試験による選抜 3名/社会基盤デザイン学科=推薦による選抜 3名/コミュニティデザイン学科=実施しない |
| 選抜方法(学力試験) | 英語(TOEICスコアを換算)100点+建築基礎200点+面接100点=400点。出身学校長等が作成した成績証明書等の出願書類の評価も総合して判定 |
| 選抜方法(推薦) | 面接(口述試験を含む)の結果と、推薦書・調査書の評価を総合して判定。筆記試験はなし |
| 試験時間割 | 集合9時(陽東キャンパス10号館1階玄関ホール)。学力試験=建築基礎9:30〜11:30、面接13:00〜。推薦=面接9:30〜 |
| 出願書類の特記事項 | 学力試験による選抜はTOEIC Listening & Reading Testの公式認定証原本(またはデジタル公式認定証を印刷したもの)の提出が必須。試験実施日から過去2年以内に受験したものに限る |
| 必要単位 | 62単位以上(大学に2年以上在学して出願する区分にのみかかる要件。ほかの区分には適用されない) |
| 入学検定料 | 30,000円(足利銀行・栃木銀行・みずほ銀行の窓口振込。ATMからの振込は不可) |
| 入学料・授業料 | 入学料282,000円/授業料535,800円(年額・半期267,900円ずつ)。ほかに学生教育研究災害傷害保険等2,430円(2年間分) |
| 試験場・キャンパス | 宇都宮大学陽東キャンパス(栃木県宇都宮市陽東7-1-2)。宇都宮駅東口から宇都宮ライトレールで約10分+徒歩9分 |
出典: 宇都宮大学「令和9年度 宇都宮大学地域デザイン科学部 第3年次編入学試験 学生募集要項」(2026年5月7日公表)。日程・募集学科・選抜方法は年度ごとに変わる可能性があるため、出願前に必ず大学公表の最新の募集要項を確認してください。
ただし、学力試験による選抜については募集人員に欠員が生じた場合の追加合格が2026年8月24日〜9月4日に行われることがあると要項に定められています。令和9年度を受験して不合格だった方は、この期間の連絡にそなえて連絡先を確認しておいてください。
科目と日程が分かっても、いまの学習量で間に合うか、何を先にやるかは人によって変わります。併願先との重なりも、組み合わせ次第で負担が大きく変わります。
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最重要:学科によって出願できる人が違う
この学部で最も間違えやすいのが、2つの学科の選抜が「同じ試験の2コース」ではなく、対象者からして別物だという点です。募集要項の出願資格の条文を、区分ごとに整理します。
建築都市デザイン学科(学力試験による選抜)
次のいずれかに該当すれば出願できます。実質的に「短大・高専・専門学校の卒業(見込み)者と、4年制大学に2年以上在学した人、学士取得者」が対象です。
- 大学を卒業した者・卒業見込みの者
- 大学改革支援・学位授与機構から学士の学位を授与された者・授与見込みの者
- 短期大学を卒業した者・卒業見込みの者
- 高等専門学校を卒業した者・卒業見込みの者
- 専修学校の特定専門課程を修了した者・修了見込みの者
- 修業年限4年以上の他の大学に2年以上在学している者・在学した者(ただし1つの大学に2年以上在学し、62単位以上を修得した者・修得見込みの者)
- 大学の学芸学部または教育学部の2年課程を修了した者
- 外国において学校教育における14年以上の課程を修了した者・修了見込みの者 ほか
「62単位以上」は、この最後から3番目の区分(大学に2年以上在学して出願する人)にだけかかる条件です。短大・高専・専門学校の卒業(見込み)で出願する人には、この単位数の条件はかかりません。ここを学部全体の要件だと誤解すると、出願できるのにあきらめてしまうことになります。
社会基盤デザイン学科(推薦による選抜)
出願資格は「高等専門学校を令和9年3月卒業見込みの者で、在学中の成績が上位に属し、出身学校長等が人物、学力ともに優秀と認め推薦する者」です。大学2年生・短大生・専門学校生・既卒者は出願できません。また「同一人を他の国公立大学と重複して推薦できません」と定められているため、他の国公立大学の推薦編入と併願することもできません。出願書類も本人が直接送るのではなく、出身学校長等が学校単位で取りまとめて提出する形式です。
推薦のため筆記試験はなく、選抜は面接(口述試験を含む)+推薦書+調査書で行われます。TOEICのスコア提出は求められていません(提出書類一覧でTOEICに丸が付くのは学力試験による選抜だけです)。
コミュニティデザイン学科は編入募集なし
コミュニティデザイン学科は、公共政策・地方自治・経済・文化・観光・社会福祉・社会教育といった文系寄りの分野を扱う学科ですが、募集要項に「コミュニティデザイン学科は第3年次編入学試験を実施しません」と明記されています。大学が公表している実施結果でも令和4年度以降のすべての年度に同じ注記があり、少なくとも5年間は継続して実施されていません。地域づくりの文系分野を学びたい場合は、この学部ではなく他大学・他学部を検討する必要があります。
難易度・倍率(大学公表の実施結果)
宇都宮大学は「第◯年次編入学試験実施結果」を毎年4月1日確定の形で公表しており、学部・学科別の募集人員/志願者数/受験者数/合格者数/入学者数がそろっています。以下は地域デザイン科学部の行だけを抜き出したものです。倍率は受験者数÷合格者数で算出しています(小数第2位を四捨五入)。
建築都市デザイン学科(学力試験による選抜)
| 入学年度 | 募集人員 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和4年度(2022年4月) | 3名 | 10 | 10 | 2 | 1 | 5.0倍 |
| 令和5年度(2023年4月) | 3名 | 12 | 9 | 5 | 4 | 1.8倍 |
| 令和6年度(2024年4月) | 3名 | 10 | 9 | 2 | 2 | 4.5倍 |
| 令和7年度(2025年4月) | 3名 | 14 | 12 | 3 | 1 | 4.0倍 |
| 令和8年度(2026年4月) | 3名 | 9 | 5 | 2 | 1 | 2.5倍 |
| 5年合計 | — | 55 | 45 | 14 | 9 | 3.2倍 |
受験者数合格者数
この表から読み取れることは3つあります。
1つ目は、志願者と受験者の差です。令和8年度は志願9名に対して受験5名で、4名が出願したのに受験していません。令和7年度も14名中12名、令和5年度も12名中9名です。出願だけして当日欠席する人が一定数いるということで、実際に当日会場にいる人数は志願者数より少なくなるのが通例です。倍率を見るときは志願者数ではなく受験者数を分母にしたほうが実感に近くなります(志願者数÷合格者数で計算すると5年通算3.9倍になり、体感より厳しく見えます)。
2つ目は、合格者数が募集人員の3名に届かない年が多いことです。5年間で合格者が3名以上だったのは令和5年度(5名)と令和7年度(3名)だけで、あとの3年は2名です。これは「定員があるから3名までは通す」という運用ではなく、基準に達した人だけを合格させていることを示唆します。逆に令和5年度のように募集人員を超えて5名合格した年もあり、人数枠より答案の出来で決まる試験だと考えたほうが実態に合います。
3つ目は、合格者と入学者の差です。令和4年度は合格2名に対し入学1名、令和7年度は合格3名に対し入学1名、令和8年度も合格2名に対し入学1名で、合格しても入学しない人が毎年います。他大学との併願で辞退しているとみられ、要項に「募集人員に欠員が生じた場合には追加合格することがある」と定められているのもこの事情によるものです。実際に令和7年度の学部全体の充足率は50.00%(募集6名に対し入学3名)と大学自身が公表しています。
社会基盤デザイン学科(推薦による選抜)
| 入学年度 | 募集人員 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和4年度(2022年4月) | 3名 | 4 | 4 | 4 | 4 | 1.0倍 |
| 令和5年度(2023年4月) | 3名 | 4 | 4 | 3 | 3 | 1.3倍 |
| 令和6年度(2024年4月) | 3名 | 5 | 5 | 4 | 4 | 1.3倍 |
| 令和7年度(2025年4月) | 3名 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1.0倍 |
| 令和8年度(2026年4月) | 3名 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1.0倍 |
| 5年合計 | — | 17 | 17 | 15 | 15 | 1.1倍 |
数字だけを見ると通りやすく見えますが、この倍率を難易度の指標として受け取るのは危険です。志願者が年に2〜5名しかおらず、母数が小さいため1名の増減で倍率が大きく動きます。そもそも出願できるのは「高専の在学成績が上位で、学校長の推薦を得られる人」に限られており、選抜の大部分は出願にたどり着く前の校内選考で終わっていると考えるべきです。また合格者と入学者が5年間ずっと一致しており、推薦で合格した人はそのまま入学しています(他の国公立大学との重複推薦が禁じられていることとも整合します)。
出典: 宇都宮大学「令和4〜8年度 第3年次編入学試験実施結果」(各年度4月1日確定・大学公式サイトの「第3年次編入学試験実施結果」ページ)。同じ数値は令和9年度の募集要項12ページ「地域デザイン科学部第3年次編入学試験実施結果」(令和6〜8年度の志願者数・合格者数)にも掲載されており、両者が一致することを確認しています。表は宇都宮大学の全学部が1枚に並ぶ形式のため、地域デザイン科学部の行のみを抽出しています。
出願手続きの実務(チェックリスト)
この大学の出願は期間が4日間しかありません(令和9年度は2026年6月1日〜6月4日)。しかも郵送の場合は「書留速達」で最終日16時必着です。前日に思い立って動ける日程ではないので、次の順で逆算してください。日付は令和9年度の実績です。令和10年度を目指す場合は、要項が公表され次第、同じ枠組みで自分の日付に置き換えてください。
- 出願の1年〜半年前
TOEIC Listening & Reading Testを受験する。スコアは「試験実施日から過去2年以内に受験したもの」に限られるため、早すぎる受験は無効になります。試験日が6月末なら、その2年前より後に受験したスコアが有効です。目標は換算が満点になる750点。要項が求めるのは公式認定証(Official Score Certificate)の原本、またはデジタル公式認定証を印刷したものなので、この形式の証明が発行される受験形態を選んでください。 - 出願の2〜3か月前
募集要項を入手する(大学サイトからのPDFのほか、テレメールや郵送でも請求できます)。同時に、成績証明書・卒業(修了)見込み証明書・在学期間証明書など、出身校が発行する書類の申請方法と所要日数を確認します。推薦で出願する高専生は、校内の推薦手続きの締切が大学の出願期間よりかなり早いため、学科の先生に早めに相談してください。 - 出願の約2週間前
外国の学校で学んだ人は「出願資格の確認」の締切があります。令和9年度は2026年5月18日必着で、出願期間の開始(6月1日)より2週間以上早い設定でした。市販の履歴書と卒業(在学)証明書の写しを学務部入試課へ提出する必要があります。この手続きを忘れると出願自体ができません。
また、疾病・負傷や身体障がい等で受験上の配慮が必要な場合の事前相談の期限は2026年5月25日でした。こちらも出願期間より前です。 - 出願期間(4日間)
窓口受付は9時〜16時。郵送は書留速達で最終日16時必着です。振込は指定3行(足利・栃木・みずほ)の窓口で行い、ATMは使えません。振込受付証明書を台紙に貼って同封します。受験票送付用封筒に速達分の切手(410円)を貼るなど細かい指定が多いので、書類は要項の一覧表と1つずつ突き合わせてください。提出したTOEICの公式認定証原本は受験票送付時に返却されます(折りたたまれる場合があります)。 - 受験票の到着確認
受験票は出願期間終了後に送付されます。令和9年度は「2026年6月11日までに到着しない場合は入試課へ申し出ること」とされていました。到着が遅れたら自分から連絡します。 - 試験当日
陽東キャンパス10号館1階玄関ホールに9時集合。学力試験は建築基礎9:30〜11:30、面接13:00〜。遅刻は試験開始後30分まで受験が認められますが、時間の延長はありません。定規・コンパス・電卓・そろばん・グラフ用紙などの補助具、電子辞書・スマートウォッチ等の電子機器は使用できず、かばんにしまわず身に付けているだけで不正行為と判断される場合があります。問題用紙と下書き用紙は持ち帰りです。 - 合格発表〜入学手続
合格発表は大学ホームページへの受験番号掲載と合格通知書の郵送。入学を辞退する場合は期限までに入学辞退届の提出が必要です(令和9年度は2026年7月24日)。入学手続日は令和9年3月中旬の予定で、詳細は別途連絡されます。
建築基礎の出題傾向と対策
建築都市デザイン学科の学力試験で最大の配点(400点中200点)を占めるのが「建築基礎」です。この科目は募集要項が出題範囲をかなり具体的に開示しているという点で、対策の立てやすい試験です。要項には「建築構造学、建築計画学、建築環境学、建築材料学を各1問ずつ出題します」と明記され、さらに主な出題内容を表すキーワードまで示されています。
| 分野 | 募集要項が示すキーワード | 公開されている問題から読み取れる出題形式 |
|---|---|---|
| 第1問 建築構造学 | 力のつり合い/静定構造物に関する応力と変形/断面の性質/応力度と歪度 | 図で与えられた構造物に対して、支点反力や各種の力の図を描き、変形の様子を示すといった作図と計算を伴う記述式。座屈のように条件を変えたときの倍率を問う空所補充も出ています |
| 第2問 建築計画学 | 単位空間、バリアフリーなどの建築計画/住宅、小規模施設などの建築設計に関する知識 | 建築計画の用語を1つあたり100文字程度で説明させる形式が令和7・8年度の両方で出題されています。定義を正確に、かつ字数内で書く訓練が必要です |
| 第3問 建築環境学 | 熱環境(温熱感、熱負荷)/光環境(採光・照明)/空気環境(空調、換気、通風、空気質)/音環境(遮音、音響) | 複数の選択肢から適当なもの・不適当なものを記号で選ばせる小問の集合。小問数が多く、広い範囲から浅く問われます |
| 第4問 建築材料学 | コンクリート・鋼材などの建築材料 | 材料の性質や現象について図と文章を使って説明させる記述式。用語を知っているだけでなく、仕組みを図解できるかが問われます |
著作権の観点から、過去問の設問そのものは記載していません。上の「出題形式」は、大学が公開している問題冊子の構成と設問の形式から読み取れる範囲にとどめています。
過去問は大学が公開している
宇都宮大学は入試の過去問題を公開しており、建築都市デザイン学科の「建築基礎」も令和6年度・令和7年度・令和8年度の3年度分がPDFで閲覧できます(大学の受験生向けサイトの「過去問題」ページ、および学務部入試課の窓口)。面接に関する内容は公開されていません。また、インターネット上では著作権法上問題になる部分が伏せられている場合があります。
公開されている問題冊子から、次の実務的な情報も確認できます。
- 試験時間は2時間、大問は第1問から第4問まで。令和8年度は9:30〜11:30、令和6年度は9:40〜11:40でした。1問あたり30分の配分が目安になります。
- 分野の並び順は令和7年度・令和8年度とも同じ(構造→計画→環境→材料)で、出題の枠組みが安定しています。
- 問題用紙と下書き用紙は持ち帰れるため、受験後に自己採点や情報整理がしやすい形式です。
分野別の学習の組み立て方
建築構造学(第1問)は、最も準備の効果が出やすい分野です。要項のキーワードが「力のつり合い」「静定構造物に関する応力と変形」「断面の性質」「応力度と歪度」と限定されているのが大きなヒントで、不静定構造の解法(たわみ角法・固定モーメント法など)までは明示されていません。まずは静定構造の反力・応力の算定と図の作成、断面二次モーメントや断面係数といった断面の性質、応力度とひずみ度の関係を、手が止まらないレベルまで反復するのが最優先です。作図が求められるため、答えの数値が合うだけでは不十分で、モーメント図の向きや極値の位置を正しく描けるかまで練習してください。
建築計画学(第2問)は、暗記ではなく「100字で説明する」訓練が要ります。用語の意味を知っていても、字数内で過不足なく説明する作業は別の技能です。よく出る計画系の用語について、自分で100字の説明文を書き、あとから教科書の定義と突き合わせて過不足を直す、という作業を積み上げるのが効きます。「単位空間」「バリアフリー」と要項に例示があるとおり、住宅・小規模施設の計画と、人の使いやすさに関わる概念が中心です。
建築環境学(第3問)は、範囲が広いぶん深追いしないのがコツです。選択式の小問が並ぶ形式なので、熱・光・空気・音の4領域を「教科書の章立てどおりに一巡する」ことを優先します。温熱環境の指標、採光と照明の計算、換気・通風の考え方、遮音と吸音の違いといった基本概念を、正誤判断できる精度で押さえます。1つの領域だけ極端に深くやっても得点にはつながりにくい分野です。
建築材料学(第4問)は、図で説明できるかが分かれ目です。コンクリートと鋼材が要項に名指しされています。骨材の含水状態、コンクリートの調合と強度発現、中性化や塩害といった劣化現象、鋼材の応力–ひずみ関係などを、言葉だけでなく図やグラフとセットで整理しておいてください。教科書の図をそのまま覚えるのではなく、白紙に自分で描けるかどうかを基準にすると本番で使えます。
建築系以外の出身者はどう考えるか
出願資格には短大・専門学校・大学2年在学者も含まれるため、建築を専門にしてこなかった人でも出願自体は可能です。ただし建築基礎は400点中200点を占め、内容も高専・大学の建築系学科で2年程度学んだ範囲を前提としています。建築系以外の出身者が受験する場合は、独学で構造・計画・環境・材料の4領域を一巡させる時間を、TOEICとは別に確保する必要があります。特に建築構造学は数学・力学の素養によって必要時間が大きく変わるため、まず1年分の公開問題を時間を計って解き、自分に足りない領域を見極めてから計画を立ててください。
英語はTOEICスコアの換算
この試験に英語の筆記試験はありません。出願時に提出したTOEIC Listening & Reading Testのスコアを、次の式で100点満点に換算します。
- スコア750点以上 → 換算点は100点(満点)
- スコア750点未満 → 換算点=100×(スコア÷750)
この式は準備の設計にそのまま使えます。たとえばスコア600点なら換算80点、500点なら約66.7点、450点なら60点です。750点を超えても加点はないため、750点が明確な打ち止めラインになります。逆に言えば、600点から750点へ上げる努力は20点の上積みにしかならず、その20点は建築基礎の1つの小問に相当します。自分の現在地に応じて、TOEICに追加投資すべきか、建築基礎に時間を回すべきかを冷静に判断してください。
面接で問われること
面接は学力試験による選抜で100点、推薦による選抜では選抜の中心(口述試験を含む)です。面接の内容は公開されていませんが、募集要項に載っているアドミッション・ポリシーの「入学者選抜の基本方針」に、大学が何を見ようとしているかが明記されています。
建築都市デザイン学科は、①高等専門学校等の教育課程を尊重し、基本的な学力と思考力を備えているか、②建築系分野に対する基礎的知識、英語の能力、③コミュニケーション能力・論理的思考力・工学的判断力・空間的把握能力・表現力・主体性・多様な人々と協働して学ぶ態度、を評価対象としています。
社会基盤デザイン学科は、①基本的な学力と思考力、②地域における社会基盤デザインに対する熱意と問題解決に対する能力、③主体的な姿勢・論理的思考力・表現力・コミュニケーション能力、です。
ここから読み取れるのは、両学科とも「地域」というキーワードが評価軸に組み込まれているということです。地域デザイン科学部は、3学科の学生が混成チームを組んで自治体や企業と連携する「地域プロジェクト演習」を3年次の必修科目として置いています。編入生は3年次から入るため、この演習にいきなり参加することになります。面接では、これまで学んできた専門(建築・土木など)を、地域の課題解決にどうつなげたいのかを自分の言葉で語れるかが問われると考えて準備しておくのが妥当です。「建築を学びたい」だけでは、この学部を選んだ理由の説明として弱くなります。
資格・単位認定・在学年限で必ず確認すること
一級建築士の受験資格
建築都市デザイン学科を志望する多くの人にとって最大の関心事が、建築士の受験資格でしょう。大学の説明は次のとおりです。
- 募集要項のアドミッション・ポリシーには「卒業と同時に一級建築士の国家試験を受験する資格が得られるカリキュラムです」と記載されています。
- 学部の「取得可能な資格」の説明では、二級建築士・一級建築士のいずれについても「卒業要件に加えて、在学中所定の単位を修得すれば」受験資格が得られるとされています。
- 学科の説明では、一級建築士の免許登録の際に2年間の実務経験が求められること、大学院の建築学プログラムで所定の単位・インターンシップ・研究業績により実務経験が認定されることにも触れられています。
単位認定と卒業までの年数
募集要項には「当該出身校での在学期間は、本学の修業年限のうち2年間を既に在学したものとして取り扱われます。したがって、編入学後の在学期間は2年以上6年以内となります」と書かれています。そして続けて、「認定された単位数および授業科目の開講状況によっては、卒業までに要する期間が、2年を超える場合があります」と明記されています。
これは編入学の現実的なリスクとして、必ず織り込んでおくべき記述です。特に建築都市デザイン学科は「卒業設計」と「卒業論文」の両方が必修という、建築系学科のなかでも負荷の重いカリキュラムを持っています。加えて設計製図・実験・学外実習といった実習系科目は開講時期が固定されがちで、後から詰め込むことが難しい科目です。単位認定の結果次第では、3年目(5年次相当)が必要になる可能性があることを前提に、学費と生活の計画を立ててください。
社会基盤デザイン学科の技術士補
社会基盤デザイン学科はJABEE(日本技術者教育認定機構)認定プログラムを置いており、修了者は技術士第一次試験が免除され技術士補となる資格を取得できると学部が説明しています。JABEE認定プログラムは修了要件が科目単位で厳密に定められているため、こちらも編入学者が要件を満たせるかは既修得単位の認定結果に依存します。志望する場合は事前に学科へ確認してください。
併願戦略の考え方
この試験は日程面で併願と相性がよい部分と、悪い部分の両方があります。
学内併願はできません。令和9年度は推薦による選抜も学力試験による選抜も同じ2026年6月30日に実施され、集合時刻も9時で同一でした。そもそも出願資格が重ならないため、同じ人が2学科を受けるという状況は起こりにくい設計になっています。
一方、他大学との併願はしやすい時期です。国立大学の3年次編入は6月〜8月に集中しますが、宇都宮大学地域デザイン科学部は6月末で結果が7月10日に出るため、8月以降に試験がある大学とは日程が重なりません。合格しても入学辞退届の提出期限(令和9年度は2026年7月24日)までに判断すればよく、辞退した場合は追加合格の対象者に枠が回ります。実際に合格者と入学者の差が毎年発生しているのは、この併願構造の表れです。
ただし推薦で受ける高専生は事情が異なります。「同一人を他の国公立大学と重複して推薦できません」という条文があるため、社会基盤デザイン学科の推薦を出すと、他の国公立大学の推薦編入は同時に出せません。学力試験による選抜のある他大学との併願は妨げられませんが、校内推薦の枠をどこに使うかという意思決定が先に来ます。
併願先を考えるうえでは、「建築基礎」という科目構成がどこまで流用できるかを基準にすると効率的です。構造力学は多くの大学の建築・土木系編入で共通して問われるため投資効率が高く、建築計画・建築環境・建築材料はやや大学ごとの色が出ます。同じ栃木県内・北関東で受けられる工学系の編入や、都市・地域デザイン系の学部を並べて、共通科目の重なりを確認してください。
合格ロードマップ(時期別)
- 試験の1年前まで
TOEICの公開テストを一度受け、現在地を測る。同時に、大学が公開している建築基礎の問題を1年度分だけ、時間を計って解いてみる。この2つの結果で、残り1年をどう配分するかが決まります。建築系出身でTOEIC500点台なら英語に、TOEIC700点台で建築が手薄なら専門に重心を置きます。 - 試験の8〜6か月前
建築構造学を最優先で固める。静定構造の反力・応力・変形と、断面の性質・応力度と歪度を、演習書で反復します。作図まで含めて完答できるようにするのが目標です。並行してTOEICを継続受験し、750点に届かない場合も有効期限内のスコアを確保しておきます。 - 試験の5〜3か月前
建築環境学・建築材料学を教科書で一巡させる。環境は選択式なので広く浅く、材料は図で説明できるかを基準に。建築計画学は「100字で説明する」練習に切り替え、用語ノートを作って自分の説明文と教科書の定義を突き合わせます。この時期に、出身校へ証明書の発行方法を問い合わせておきます。 - 試験の2〜1か月前
募集要項が公表される時期(令和9年度は5月7日公表)。募集学科・募集人員・選抜方法・日程を要項原本で必ず確認する。年度によって募集学科が変わる可能性があります。公開されている過去問を年度順に解き、時間配分(1問30分)を体に入れます。外国の学校で学んだ人は出願資格の確認、配慮が必要な人は事前相談を、この時期の締切までに済ませます。 - 出願期間〜試験直前
出願は4日間。振込は指定3行の窓口、郵送は書留速達で最終日16時必着。出願後は志望理由の整理に移ります。「なぜ地域デザイン科学部なのか」「これまでの専門を地域の課題にどうつなげるのか」を、3年次必修の地域プロジェクト演習を意識して言語化しておきます。前日は持ち物の確認(受験票・写真・時計)と、持ち込めないもの(定規・電卓・電子辞書・スマートウォッチ等)の除去を。 - 合格発表後
発表は7月上旬。辞退する場合は期限までに入学辞退届を提出します。不合格でも、欠員が出た場合の追加合格が8月下旬〜9月上旬に行われることがあるため、連絡が取れる状態を保っておきます。入学が決まったら、早い段階で単位認定の見通しと、建築士の指定科目の履修計画を学科に相談してください。
おすすめ参考書
建築基礎のうち、最も配点効率がよく、かつ教材で差がつきやすいのが建築構造学(構造力学)です。募集要項が示す出題キーワード「力のつり合い」「静定構造物に関する応力と変形」「断面の性質」「応力度と歪度」に対応する、標準的な演習書を挙げます。
いずれも収録概念が、宇都宮大学地域デザイン科学部が募集要項で示す出題分野と対応していることを確認した本です。1冊目は反力とM・Q・N図の作図、2冊目は図解法と変形(たわみ・回転角)、3冊目は断面二次モーメントや応力度・ひずみ度といった断面の性質を扱っており、要項のキーワードをほぼ覆えます。なお「くわしすぎる構造力学演習」の第3巻は不静定構造を扱いますが、令和9年度の要項が示すキーワードは静定構造までで、不静定構造は明示されていません。時間が限られている場合は、静定構造と断面の性質を完璧にすることを優先してください。
建築計画学・建築環境学・建築材料学については、出題形式(用語の100字説明・選択式・図を用いた説明)に対応するうえで、在籍校で使っている建築系の標準的な教科書を一巡させるほうが確実です。分野を横断した薄い参考書より、章立てが体系的な教科書のほうがこの試験には適しています。
よくある質問
宇都宮大学地域デザイン科学部は、どの学科が編入学を実施していますか?
大学2年生や短大生でも社会基盤デザイン学科に出願できますか?
倍率はどのくらいですか?
英語の試験はありますか?
建築基礎ではどんな分野が出題されますか?
編入学しても一級建築士の受験資格は得られますか?
次の募集要項はいつ公表されますか?
まとめ
宇都宮大学地域デザイン科学部の第3年次編入学試験は、建築都市デザイン学科(学力試験・3名)と社会基盤デザイン学科(高専からの推薦・3名)の2学科でのみ実施され、コミュニティデザイン学科では実施されません。大学2年生・短大生・専門学校生が目指せるのは建築都市デザイン学科の1つだけです。
その入口はTOEICのスコア提出であり、スコアがなければ出願できません。配点は建築基礎200点・英語100点・面接100点で、合否を決めるのは建築基礎です。募集要項が4分野それぞれのキーワードまで開示し、大学自身が過去3年度分の問題を公開しているため、対策の方向を間違えるリスクは小さい試験だと言えます。まずTOEICの受験計画を立て、次に建築構造学の静定構造と断面の性質を固める——この順番が最短ルートです。
倍率は建築都市デザイン学科で5年通算3.2倍。合格者が募集人員に届かない年が多い一方、合格しても入学しない人が毎年いるため、追加合格の可能性も残されています。最新の日程・募集学科・選抜方法は毎年変わり得るので、出願の際は必ず大学が公表する募集要項の原本を確認してください。
あとは、いまの自分の位置から何を先にやるかです。志望校と現在の状況をうかがったうえで、順番を整理します。
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この記事について
監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)。本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。試験概要・日程・出願資格は宇都宮大学が公表する募集要項の原本にもとづき、倍率は大学が公表する「第3年次編入学試験実施結果」から地域デザイン科学部の行を抽出して算出しています。出題傾向は募集要項の記載と、大学が公開している過去問題の構成から整理しています。
※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ|最終更新: 2026年8月6日
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