奈良教育大学の編入|2年次編入・募集は理科教育と技術教育の2専修
奈良教育大学(国立)の編入学試験は、3年次編入ではなく「2年次編入」です。合格すると2年次に入学し、卒業までは3年間かかります。募集要項の表題も本文も「2年次編入」で統一されており、ここを3年次と読み違えると、卒業までの年数も、教育実習を含む履修計画も、すべて1年ぶんずれます。
もうひとつ、志望校を決める前に知っておきたいのが募集されている専修が2つしかないことです。2027年4月入学(令和9年度)の募集要項に載っているのは、教科教育専攻の理科教育専修(中等教育履修分野)1名と技術教育専修(中等教育履修分野)若干名だけ。教育発達専攻も、伝統文化教育専攻も、教科教育専攻の他の専修も、編入学の募集対象ではありません。
そして出願資格が独特です。対象は短期大学の卒業者、高等専門学校の卒業者、専修学校専門課程の修了者、高等学校専攻科の修了者(およびそれぞれの見込み者)の4つで、大学に在学中の方が出願できる区分はありません。他大学から移る場合は編入学試験ではなく転入学試験の枠になります。この記事では、大学が公表している令和9年度の募集要項の原本にもとづいて、募集人員・配点・日程・出願の実務・編入後の免許までを整理します。
この記事は、奈良教育大学が公表している「令和9年度教育学部編入学試験学生募集要項」、「令和8年度奈良教育大学教育学部編入学試験・転入学試験における学力検査等の変更について(予告)」、および「入学試験データ集」(令和7年度・令和8年度)の原本にもとづいて作成しています。募集専修・配点・日程は年度ごとに変わるため、出願前には必ず大学が公表する最新の募集要項を確認してください。
編入の進め方は、出身校・志望分野・英語資格によって人それぞれ変わります。志望校と現在の状況をうかがったうえで、何から始めるかを整理します。
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2027年4月入学(令和9年度)の要項の要点
| 募集する専修 | 教科教育専攻 理科教育専修(中等教育履修分野)/教科教育専攻 技術教育専修(中等教育履修分野) |
|---|---|
| 募集人員 | 理科教育専修 1名/技術教育専修 若干名 |
| 入学年次 | 2年次編入。令和9年4月1日に2年次へ編入学し、卒業要件は既修得単位の認定分と合わせて124単位 |
| 出願資格 | 短期大学卒業者/高等専門学校卒業者/専修学校専門課程(修業年限2年以上等)の修了者/高等学校専攻科(同)の修了者。いずれも令和9年3月の卒業・修了見込みを含む。必要単位数の条件は定められていません |
| 出願期間 | 2026年7月24日〜7月30日(郵送のみ・7月30日消印有効) |
| 試験日 | 2026年9月5日(土) |
| 合格発表 | 2026年9月25日(金)午前10時。大学ウェブサイトで受験番号を速報し、合格通知書を郵送 |
| 入学手続 | 2026年10月8日(木)午後5時 郵送必着 |
| 選抜方法 | 理科教育専修=専門科目200点+面接200点=400点(合格基準点は総点の6割・240点)/技術教育専修=面接(口述試験を含む)200点(合格基準点は配点の6割・120点) |
| 英語 | 英語の筆記試験・外部スコアの提出はいずれも要項に定めがありません |
| 試験場 | 奈良教育大学(奈良市高畑町)。近鉄奈良駅・JR奈良駅から市内循環バス「高畑町(奈良教育大学)」下車 |
| 費用 | 検定料30,000円。入学料282,000円(予定額)、入学時諸費用41,120円(予定額)、授業料は年額535,800円(前期・後期各267,900円/予定額) |
2027年4月入学の出願は、2026年7月30日で締め切られています。試験そのものは2026年9月5日に実施されますが、これから準備を始める方が対象になるのは2028年4月入学(令和10年度)以降です。要項の公表時期は例年6月ごろ(令和8年度の変更予告にも「募集要項は令和7年6月公表予定」と記載されています)。募集専修は毎年入れ替わるため、6月の要項公表を待って志望を確定させる形になります。
募集される専修は年度ごとに入れ替わる
ここが奈良教育大学の編入学試験でいちばん注意が必要なところです。「例年この専修が募集される」という前提が成り立ちません。大学が公表しているデータをそのまま並べると、次のようになります。
| 2025年4月入学(令和7年度) | 編入学試験の集計に載っているのは、保健体育専修(初等教育履修分野)・保健体育専修(中等教育履修分野)・技術教育専修(中等教育履修分野)の3行 |
|---|---|
| 2026年4月入学(令和8年度) | 編入学試験の集計に載っているのは、技術教育専修(中等教育履修分野)の1行のみ |
| 2027年4月入学(令和9年度) | 募集要項に載っているのは、理科教育専修(中等教育履修分野)・技術教育専修(中等教育履修分野)の2専修 |
データ集の注記は「編入学試験、転入学試験は志願のあった専修のみ集計」となっているため、上の2025年度・2026年度の行は「その年に募集していた専修の一覧」ではなく「志願者が出た専修の一覧」です。保健体育専修は令和9年度の募集要項には載っていません。過去の記事や情報で「保健体育専修も編入学の募集がある」と読んだ場合は、必ずその年度の要項の募集人員表で確認してください。
そして募集される2専修は、どちらも中等教育履修分野だけです。理科教育専修には初等教育履修分野も置かれていて、一般選抜では初等・中等の両方で募集がありますが、令和9年度の編入学の募集は中等教育履修分野だけです(技術教育専修はもともと中等教育履修分野のみ)。小学校教員を目指して初等教育履修分野を志望する場合、この試験は選択肢になりません。
試験科目は何が問われるのか
理科教育専修——専門科目200点+面接200点
専門科目は、物理・化学・生物・地学から1科目を出願時に選択します。当日に選ぶのではなく、志願票の記入段階で確定させる仕組みです。出題レベルは要項に「高校及び大学初年度程度の内容」と明記されており、専門学部の3年次編入で問われるような学部専門レベルではありません。要項が科目ごとに示している範囲は次のとおりです。
| 物理 | 力学、熱力学、電磁気学、波動などについて、基本的な知識や具体例を問う |
|---|---|
| 化学 | 化学結合、酸・塩基、化学熱力学、化学平衡、反応速度などから選択問題を出題し、その定義と反応例について説明を求める |
| 生物 | 細胞、代謝、遺伝、生殖、生態、進化などから、基本的な知識や具体例を問う |
| 地学 | 地球の内部と地表面の変動、大気と水の循環、宇宙の現象に関する基本的な内容を論述形式で出題 |
要項の書き方から読み取れる準備の方向は明確です。化学は「定義と反応例について説明を求める」、地学は「論述形式」と書かれています。つまり、選択肢を選ぶ・数値を出すだけの練習では届きません。用語を自分の言葉で定義し、具体例を添えて文章で説明できる状態まで持っていく必要があります。試験時間は13時00分〜14時00分の60分です。
面接は専門科目と同じ200点で、配点上は筆記と同格です。要項は面接で問う内容を「編入を希望する動機や教職への意欲と、これまでに学んできたこととの関連」「『専門科目』の筆記試験の内容やそれに関わる知識」「自然科学における基本的な法則や単位など、自然についての見方・考え方」と具体的に書いています。筆記で書いた内容がそのまま面接で問い直されるという構造なので、当日は解答内容を覚えて面接に臨むつもりで受験するのが現実的です。
技術教育専修——面接(口述試験を含む)200点のみ
技術教育専修は筆記試験がありません。面接(口述試験を含む)200点だけで合否が決まり、合格基準点は配点の6割(120点)です。
この形になったのは最近です。大学は2024年11月1日付の予告で、2026年4月入学(令和8年度)から技術教育専修の選抜方法を変更すると公表しました。変更前は小論文200点+面接200点=400点(小論文・面接それぞれ6割が基準点)でした。それが小論文の廃止によって面接200点のみになり、令和9年度の要項にもその形が引き継がれています。変更前の小論文対策を前提にした情報は、そのまま使えません。
面接で問われるのは、要項によれば「本専修を志望した動機や教職への意欲、教科内容に関する知識、ものづくりに関する考え方や発想など」で、評価の観点は「意欲・関心・知識・表現力・論理性・発想の豊かさ」とされています。筆記がない代わりに、教科内容の知識を口頭で説明できるかどうかが200点すべてを左右すると考えたほうがよい設計です。
志願者・合格者の実績(大学公表データ)
奈良教育大学は「入学試験データ集」を毎年公表しており、その〔総表〕に「編入学試験(2年次編入)」の欄が独立して設けられています。一般選抜や転入学試験とは別の表です。公表されている直近2年分は次のとおりです。
| 年度(入学年度) | 専修・履修分野/志願者/受験者/合格者/入学者 |
|---|---|
| 2026年4月入学(令和8年度) | 技術教育専修(中等教育履修分野)/4名/4名/3名/2名 |
| 2025年4月入学(令和7年度) | 保健体育専修(初等)1/1/1/1、保健体育専修(中等)1/1/1/1、技術教育専修(中等)1/1/1/1(合計3/3/3/3) |
数字が小さいので、倍率という形にしても難易度の目安にはなりません。2026年4月入学の技術教育専修は受験者4名に対して合格者3名、2025年4月入学は志願者・合格者とも各専修1名で全員合格という規模です。ここから読み取れるのは「競争率が高い/低い」ではなく、年によって志願者がひとりも出ない専修があるという運用の実態のほうです。
実際、令和7年度・令和8年度のどちらのデータ集にも、編入学試験の集計に理科教育専修の行がありません。データ集の注記が「志願のあった専修のみ集計」である以上、この2年間は理科教育専修に志願者が出ていなかったことになります。これは過去問の入手にも直接ひびきます(次の節)。
出願と過去問の実務
出願は郵送のみ・書類不備は即不受理
- 郵送に限られます。角形2号の封筒に大学所定の「出願用封筒表面」を貼り、簡易書留速達便で送付します。窓口持参の扱いはありません。締切日消印有効です。
- 出願書類等に不備がある場合は受理されません。受理後の記載事項の変更も認められません。
- 提出書類は、編入学志願票/編入学志望理由書/受験票・写真票/成績証明書/卒業(見込)または修了(見込)証明書/宛名票/検定料30,000円の納付確認票の7点。成績証明書と卒業証明書は出身学校長が作成したものが必要です。
- 受験票の裏面に385円分の郵便切手(速達郵便料金)を貼るという指定があります。見落としやすい実務です。
- 検定料は郵便局・ゆうちょ銀行の窓口で納付します。ATMでは「振替払込受付証明書(お客さま用)」が発行されず、納付確認票に貼るものが作れません。
- 理科教育専修の志願者は、志願票の「専門科目」欄で受験科目を1つ選んで○を付けます。受験票にも同じ科目を記入します。
受験上の特別な措置や修学上の配慮が必要な場合の事前相談の締切は2026年7月8日必着で、出願開始(7月24日)より2週間以上早く設定されています。該当する可能性がある方は、出願準備と同時ではなく先に動く必要があります。
過去問は入試課の窓口でのみ閲覧できる
奈良教育大学は、編入学試験を含む各入試区分の過去問題を入試課の窓口で閲覧できる形で公開しています。条件は次のとおりです。
- 閲覧できるのは筆記試験の過去3年度分。
- 受験者がいた入試区分(専修・教科)のみ閲覧が可能です。
- 個人への郵送は行っていません。ウェブでの公開もありません。
- 閲覧場所は奈良教育大学 入試課窓口(管理棟1階/奈良市高畑町)、閲覧時間は平日9:00〜17:00(12:00〜13:00を除く)。
ここで前節の事実が効いてきます。理科教育専修は直近2年度のデータ集に編入学の志願者が計上されていません。「受験者がいた区分のみ閲覧可能」という条件と重ねると、理科教育専修の編入学の過去問が閲覧対象にあるかどうかは、訪問前に入試課へ確認しておくべき事項です(入試課 電話 0742-27-9126)。往復してから閲覧できないと分かるのは避けたい場面です。
学内併願はできるのか
結論から言うと、理科教育専修と技術教育専修を同時に受けることはできません。要項の試験時間割では、理科教育専修の専門科目が13時00分〜14時00分、技術教育専修の面接が13時00分〜と、両方とも同じ日の同じ時刻に始まります。また志願票は「志願する専攻・専修・履修分野」を1つ選んで○を付ける様式で、複数を選べる形になっていません。
したがって併願先は学外に取ることになります。同じ2年次編入という条件で探すのが現実的で、教育系では愛知教育大学(第2年次編入学・高専卒業者のみ)などが該当します。入学年次が違うと、卒業までの年数も既修得単位の認定の考え方も変わるため、「3年次編入と2年次編入を同じ土俵で比べない」ことが併願設計の出発点になります。
編入後の3年間と教員免許
2年次編入なので、卒業までは3年間です。卒業要件は、既修得単位として認定された単位と合わせて124単位。編入学試験の合格者には、入学時に次の単位が自動的に認定されます。
| 共通科目・教養科目 | 10単位 |
|---|---|
| 専修専門科目等「大学での学び入門」 | 1単位 |
| 自由科目 | 10単位 |
| 合計 | 21単位 |
これに加えて、入学前に他の大学・短期大学・高等専門学校で修得した単位も、本学で開設している授業科目と同一、または授業内容が同一のものである場合に限り、審議のうえ認定されます。ただし要項は「修得した単位数がそれに満たない場合は認定できません」と条件を付けており、科目名が似ているだけでは通りません。何単位認められるかは出願前には確定しないという前提で計画を立ててください。
取得できる教員免許状について、大学は各専修のページで次のように公表しています。
| 理科教育専修(中等教育履修分野) | 中学校教諭一種(理科)等 |
|---|---|
| 技術教育専修(中等教育履修分野) | 中学校教諭一種(技術)等 |
実績としては、大学が公表している「令和7年度 学部卒業者の教員免許状・保育士資格取得状況一覧」で、理科教育専修(中等教育履修分野)の卒業生11名全員が、中学校教諭一種(理科)と高等学校教諭一種(理科)を取得しています。ただしこれは4年間在学した卒業生を含む全体の数字であり、編入学生だけを取り出したものではありません。
編入学生が3年間で免許を取り切れるかどうかは、募集要項には書かれていません。教育実習は3回生前期の時間割に配当されている例が示されていますが、認定される既修得単位の内容によって履修計画は一人ずつ変わります。免許取得を前提に受験するのであれば、出願前に入試課(0742-27-9126)へ、自分の出身校・学科と志望専修の組み合わせで確認してください。この記事を含め、外部の情報だけで判断してよい事項ではありません。
準備の進め方
2027年4月入学の出願は締め切られています。ここでは、2028年4月入学(令和10年度)以降を目指す方向けに、令和9年度の日程から逆算した流れを示します。募集専修も配点も年度ごとに変わるため、要項が出るまで確定しない部分があることを前提にしてください。
試験の1年以上前
- 出願資格を満たせるかを最初に確認する。短期大学・高等専門学校・専修学校専門課程・高等学校専攻科のいずれかの卒業(修了)または見込みが必要です。大学在学中の方は編入学試験の対象になりません。
- 2年次編入である前提で卒業年を計算し直す。編入後3年間で、費用も在学期間も3年分かかります。
- 取得したい免許(中学校理科/中学校技術)と、志望する履修分野が中等教育履修分野であることを確認する。
試験の1年前〜半年前
- 理科教育専修志望:物理・化学・生物・地学のどれで受けるかを決め、高校範囲から大学初年度の教科書レベルまでを1周する。化学は「定義と反応例を説明する」、地学は「論述形式」と要項が明示しているので、書いて説明する練習を早い段階から入れる。
- 技術教育専修志望:筆記がないぶん、教科内容の知識を口頭で説明できる形に整理する。ものづくりに関する自分の経験を、指導の視点で語れるようにしておく。
- 入試課へ連絡し、志望専修の過去問が窓口で閲覧できる状態かを確認する。閲覧できる場合は訪問の予定を組む。
要項公表(例年6月ごろ)〜出願2〜4週間前
- 要項の募集人員表で、志望専修が今年度も募集されているかを確認する。ここが確定するまで出願先は決まりません。
- 成績証明書・卒業(見込)証明書を出身学校長名で発行してもらう。発行に時間がかかる学校があります。
- 受験上の配慮が必要な場合は、出願開始より前の相談締切(令和9年度は7月8日必着)に間に合うよう入試課へ相談する。
- 編入学志望理由書(志望理由と入学後の学習計画)を書き上げる。面接で問われる内容と食い違わないよう作る。
出願(例年7月下旬)〜試験当日(例年9月上旬)
- 検定料30,000円を郵便局・ゆうちょ銀行の窓口で納付し、振替払込受付証明書を納付確認票に貼る。
- 受験票の裏面に385円分の切手を貼り、簡易書留速達便で郵送する。
- 受験票が届かない場合の問い合わせ期限が要項に示されています(令和9年度は8月19日)。届かないまま放置しない。
- 試験当日は12時10分から受付。試験開始後30分を過ぎた遅刻は受験できず、面接は開始時刻に遅刻した時点で受験できません。持ち込めるのは筆記用具と計時機能だけの腕時計です。
よくある質問
奈良教育大学の編入は3年次編入ですか。
どの専攻・専修が編入学を募集していますか。
大学に在学中ですが出願できますか。
英語の試験や、TOEICなどのスコア提出はありますか。
倍率はどのくらいですか。
過去問は手に入りますか。
技術教育専修の小論文対策は必要ですか。
編入学生でも3年間で教員免許を取得できますか。
この記事について
監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)
本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。募集人員・入学年次・出願資格・配点・日程・費用は、奈良教育大学が公表する「令和9年度教育学部編入学試験学生募集要項」および入学試験データ集の原本で確認しています。
※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ
最終更新: 2026年8月10日

