信州大学工学部の編入試験対策|倍率・学科別配点・数学の出題傾向
信州大学の編入試験まとめ(全7学部の日程・科目)
信州大学工学部の編入学試験は、物質化学科・電子情報システム工学科・水環境・土木工学科・機械システム工学科・建築学科の5学科を対象とした第3年次編入学です。募集人員は5学科あわせて20人で、選抜区分は推薦選抜(一般枠・女子枠)と一般選抜の2つ。大学が公表している実施状況を見ると、学部全体の倍率(受験者数÷合格者数)は3.0〜4.0倍で推移していますが、直近5年度を合算すると一般選抜は約4.5倍、推薦選抜は約1.8倍と、区分による差のほうがはるかに大きいのが実態です。さらに学科別では建築学科・機械システム工学科が厳しく、水環境・土木工学科は比較的通りやすいという明確な差があります。この記事では、募集要項と大学公表の実施状況という一次資料だけを使って、「どの学科に・どの区分で出願するか」を決めるための材料を整理します。
出願資格は大学ごとに条件が細かく分かれます。短大・高専・専門学校・大学在学中で扱いが変わり、英語資格が要る大学もあります。自分が出願できるかどうかは、条件を1つずつ突き合わせないと分かりません。
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試験概要|2027年度(令和9年度)の確定データ
2027年度(令和9年度)入試
| 入学年次 | 第3年次のみ(2年次編入の募集はありません) |
|---|---|
| 募集学科 | 物質化学科/電子情報システム工学科/水環境・土木工学科/機械システム工学科/建築学科 |
| 選抜区分 | 推薦選抜(一般枠・女子枠)/一般選抜 ※重複出願は不可 |
| 募集人員 | 推薦選抜と一般選抜あわせて20人(うち推薦選抜・女子枠の目安10人) |
| 出願期間 | インターネット出願登録・検定料支払い 2026年5月4日〜5月15日 出願書類の郵送 2026年5月11日〜5月15日17時必着(簡易書留速達) |
| 試験日 | 2026年6月5日(金) 入構開始8:00/入室完了8:40 |
| 合格発表 | 2026年6月23日(火)14時(インターネット出願登録サイト上で確認。掲示・電話回答なし) |
| 入学手続 | 2026年8月31日〜9月11日17時 |
| 試験場 | 信州大学工学部 長野(工学)キャンパス(長野市若里4-17-1) |
| 検定料 | 30,000円(別途システム利用料900円。成績開示を希望する場合は手数料800円) |
| 必要単位 | 62単位以上(大学に2年以上在学する区分にだけかかる要件。高専・短大・専門学校からの区分には単位数の条件はありません) |
出典: 信州大学「令和9(2027)年度学生募集要項 工学部3年次編入学」。日程・科目・資格は毎年変わる可能性があるため、出願前に必ず大学が公表する最新の募集要項を確認してください。
2027年度の日程はすでに終了しています。試験は2026年6月5日に実施され、合格発表も2026年6月23日に終わりました。これから受験する方は2028年4月入学(令和10年度入試)が対象になります。
2028年4月入学からは選抜の枠組みが変わる可能性があります。信州大学工学部は学科制から「工学科」(コース制)へ改組されており、大学は「工学部工学科として実施する3年次編入学試験は令和10年度入試からとなる」「令和10年度入試の試験内容等は決まり次第お知らせします」と入試情報ページで公表しています。募集単位が5学科からコース単位に変わることが見込まれるため、この記事の学科別の情報は2027年度までの実績として読み、必ず最新の募集要項で確認してください。2027年度の募集要項は2026年2月に公表されているので、同じ時期に注意しておくと出遅れません。
科目と日程が分かっても、いまの学習量で間に合うか、何を先にやるかは人によって変わります。併願先との重なりも、組み合わせ次第で負担が大きく変わります。
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難易度と倍率|大学公表の実施状況
信州大学工学部は、入試情報ページで「工学部第3年次編入学試験実施状況」を年度ごとにPDFで公表しています。志願者数・受験者数・合格者数が学科別・選抜区分別に載っているため、編入試験としてはかなり情報量の多い部類です。以下の数値はすべてこのPDF(2023〜2027年度の5年度分)から取っています。
学部全体の推移
| 入学年度 | 募集人員 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 20人 | 117 | 114 | 37 | 3.08倍 |
| 2024年度 | 20人 | 119 | 114 | 38 | 3.00倍 |
| 2025年度 | 20人 | 117 | 115 | 37 | 3.11倍 |
| 2026年度 | 20人 | 175 | 166 | 42 | 3.95倍 |
| 2027年度 | 20人 | 150 | 141 | 41 | 3.44倍 |
倍率は 受験者数 ÷ 合格者数 で計算しています(例: 2027年度は141÷41=3.44倍)。年度は入学年度で、2027年度の試験は2026年6月に実施されたものです。
グラフを見ると、合格者数は毎年37〜42人でほとんど動いていないのに対し、志願者数だけが2026年度に175人へ跳ね上がっていることが分かります。倍率の上下は「大学が合格者を絞ったから」ではなく、ほぼ志願者数の変動によるものです。したがって、募集人員20人という数字だけを見て「20人しか受からない」と考えるのは誤りで、実際の合格者は募集人員の2倍前後が続いています。
一方で、志願者数は年度によって50人以上動きます。「去年の倍率が低かったから今年も」という読み方は成り立ちません。倍率は結果として決まる数字だと割り切り、対策は次の学科別・区分別の構造から組み立てるほうが確実です。
学科別の倍率|難易度は学科で大きく違う
同じ工学部でも、学科によって難易度はまったく異なります。年度ごとの合格者が数人という学科もあるため、1年だけの数値では判断できません。ここでは直近5年度(2023〜2027年度)を合算した数値を示します。
| 学科 | 受験者 (5年計) | 合格者 (5年計) | 倍率 | 2027年度 単年の倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 物質化学科 | 59 | 23 | 2.57倍 | 3.75倍 |
| 電子情報 システム工学科 | 250 | 86 | 2.91倍 | 3.05倍 |
| 水環境・土木工学科 | 81 | 34 | 2.38倍 | 2.13倍 |
| 機械システム工学科 | 182 | 39 | 4.67倍 | 5.25倍 |
| 建築学科 | 78 | 13 | 6.00倍 | 4.50倍 |
| 学部計 | 650 | 195 | 3.33倍 | 3.44倍 |
建築学科は5年間で受験78人・合格13人と、学部内でもっとも狭き門です。合格者が年間2〜3人という年が続いており、募集人員20人の内数としてはごく一部しか割り当てられていないことがうかがえます。機械システム工学科も受験者が多いわりに合格者が毎年7〜8人で固定されており、倍率が高止まりしています。
反対に水環境・土木工学科は5年合算で2.38倍ともっとも低く、しかも募集要項では「志望学科は出身学校で在籍した学科と同系統であることを原則とする」という条件から唯一除外されています(要項「第3年次編入学の趣旨と注意点」に、水環境・土木工学科を志望する場合は出身学科が同系統である必要はない旨が明記されています)。出身分野が土木でなくても出願できるうえに倍率も低いという、進路変更を考えている人にとって現実的な選択肢です。
ただし単位認定は別の話です。要項には「出身学科と合格学科が同系統ではない場合などは、認定単位が少なく、2年間で卒業できない可能性が高まります」と明記されています。出願できることと2年で卒業できることは同じではありません。
推薦選抜と一般選抜|倍率差は学科差より大きい
この試験でもっとも大きな差は、学科ではなく選抜区分にあります。直近5年度を合算した数値は次のとおりです。
| 選抜区分 | 受験者 (5年計) | 合格者 (5年計) | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 推薦選抜 | 157 | 86 | 1.83倍 |
| 一般選抜 | 493 | 109 | 4.52倍 |
推薦選抜は約1.8倍、一般選抜は約4.5倍。合格者数で見ると、5年間の合格者195人のうち86人(44%)が推薦選抜です。募集人員20人は推薦選抜と一般選抜の合計であり、区分ごとの内訳は示されていませんが、実績としては合格者のおよそ4割強を推薦選抜が占めていることになります。
学科別に区分を分けると、差はさらにはっきりします。5年合算の一般選抜だけの倍率は次のとおりです。
| 学科 | 一般選抜 (受験→合格) | 倍率 | 推薦選抜 (受験→合格) | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 物質化学科 | 42 → 17 | 2.47倍 | 17 → 6 | 2.83倍 |
| 電子情報 システム工学科 | 198 → 56 | 3.54倍 | 52 → 30 | 1.73倍 |
| 水環境・土木工学科 | 55 → 15 | 3.67倍 | 26 → 19 | 1.37倍 |
| 機械システム工学科 | 152 → 17 | 8.94倍 | 30 → 22 | 1.36倍 |
| 建築学科 | 46 → 4 | 11.50倍 | 32 → 9 | 3.56倍 |
読者が意思決定に使えるポイントは3つです。
- 高等専門学校から機械システム工学科・建築学科を狙うなら、推薦選抜を取れるかどうかが決定的です。一般選抜の5年合算倍率は機械システム工学科で8.94倍、建築学科で11.50倍(合格者は5年で4人、2025年度は0人)。同じ学科でも推薦選抜なら1.36倍・3.56倍です。
- 物質化学科だけは推薦選抜のほうが通りやすいとは限りません。5年合算では一般2.47倍に対し推薦2.83倍で、2027年度は推薦選抜の受験7人に対し合格0人でした。物質化学科は推薦基準の目安が設けられていない学科でもあり、推薦だから有利という前提は置かないほうが安全です。
- 高専生以外は一般選抜しか選べません。推薦選抜の出願資格は「高等専門学校を卒業見込みで、出身学校長が優れていると認め推薦し、合格したら入学することを確約できる者」に限られます。短大・専門学校・大学2年生からの受験は自動的に4.5倍前後の枠での勝負になります。
推薦選抜と一般選抜の重複出願はできません。高専生は、校内の推薦手続きが動き出す時期までに「推薦で出すか、一般で出すか」を決める必要があります。推薦選抜は合格した場合の入学確約が条件なので、他大学との併願を優先したい場合は一般選抜を選ぶことになります。
推薦選抜の「女子枠」
2025年度入試から、推薦選抜に女子枠が設けられました。募集要項には、高等専門学校に進学する女子生徒を増やし、高専から大学3年次へ進学する女子学生の受け皿を確保することが目的だと記されています。制度の要点は次のとおりです。
- 出願できるのは性別が「女性」である高等専門学校卒業見込み者(推薦選抜の出願資格に加えて性別要件がかかります)
- 募集人員の目安は10人(学部全体の募集人員20人の内数)
- 女子枠に出願すると一般枠も併願したことになり、両方合格した場合は女子枠としての合格になります
- 出願時に通常の志望理由書に加えて「志望理由書(追加分)」の提出が必要です
- 選考は女子枠・一般枠それぞれの枠ごとに行われ、入学後の学修内容や修学支援に違いはありません(大学公表のQ&A)
| 入学年度 | 女子枠 志願者 | 女子枠 受験者 | 女子枠 合格者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 10 | 10 | 7 | 1.43倍 |
| 2026年度 | 13 | 13 | 6 | 2.17倍 |
| 2027年度 | 11 | 11 | 5 | 2.20倍 |
注意したいのは、目安の10人が毎年埋まるわけではない点です。大学は公表しているQ&Aで「合格基準を満たす受験者が募集人員未満の場合は、合格者が募集人員に満たないこともあり得ます」と明言しており、実際に3年度とも合格者は5〜7人にとどまっています。枠があるから入りやすいというより、枠内でも通常の合格水準は求められると考えて準備するのが妥当です。
出身校別の内訳|高専生が中心の試験
2023年度・2024年度の実施状況PDFには、出身校別(高専/短大/専修/4年制大学等)の内訳が載っています(2025年度以降は男女別の表記に変わり、出身校別は公表されていません)。
| 出身区分 | 志願者 (2年計) | 構成比 | 合格者 (2年計) |
|---|---|---|---|
| 高等専門学校 | 204 | 86.4% | 71 |
| 専修学校(専門課程) | 17 | 7.2% | 2 |
| 4年制大学等 | 9 | 3.8% | 0 |
| 短期大学 | 6 | 2.5% | 2 |
志願者の約86%が高等専門学校の出身です。4年制大学等からの志願者は2年間で9人(すべて2024年度)で、この2年度に合格者はいませんでした。母数が小さく2年度分だけの数値なので「大学生は合格できない」と断定できる材料ではありませんが、試験の設計そのものが高専のカリキュラムを前提にしていることは意識しておく必要があります。
特に、数学の筆記試験がある電子情報システム工学科・機械システム工学科では、高専で3年間かけて微分積分・線形代数を学んできた受験生と同じ土俵で戦うことになります。大学1〜2年の教養数学だけでは演習量が足りないケースが多いので、準備期間は長めに見積もることをおすすめします。
学科別の選抜方法と配点
この試験のもっとも大きな特徴は、学科によって試験の中身がまったく違うことです。同じ日・同じ時間帯に、面接だけの学科、数学の筆記を受ける学科、スケッチを描く学科が並行して実施されます。
一般選抜の配点
| 学科 | 選抜方法と配点内訳 | 合計 |
|---|---|---|
| 物質化学科 | 面接(英語・化学の基礎学力に関する口頭試問を含む)及び書類審査 ※内訳の公表なし | 100 |
| 電子情報 システム工学科 | 学力検査(数学)30/面接(口頭試問)60/書類審査10 | 100 |
| 水環境・土木工学科 | 面接(大学1年レベルの数学に関する口頭試問を含む)及び書類審査 ※内訳の公表なし | 100 |
| 機械システム工学科 | 学力検査(数学)60/書類審査40 ※面接なし | 100 |
| 建築学科 | スケッチ・面接80/書類審査20 | 100 |
ここから読み取れる、対策上の重要な事実を挙げます。
- 数学の筆記試験があるのは電子情報システム工学科と機械システム工学科の2学科だけです。しかも配点はまったく違い、電子情報システム工学科は100点中30点、機械システム工学科は100点中60点。同じ問題を解いても重みが2倍違います。
- 機械システム工学科の一般選抜には面接がありません。時間割上も9:00〜10:30の数学のみで、評価は「数学の学力及び出願書類の内容を総合的に評価」とされています。つまり数学60点+書類40点で合否が決まる試験です。一般選抜の倍率が8.94倍と高いのは、面接での挽回余地がないことも影響していると考えられます。
- 電子情報システム工学科は面接の配点が60点と、数学の2倍あります。数学だけ仕上げても届きません。
- 物質化学科と水環境・土木工学科は筆記試験がなく、面接(口頭試問を含む)と書類審査だけです。ただし「筆記がない=楽」ではなく、口頭試問でその場の理解度が直接測られます。
- 建築学科はスケッチ・面接で80点。書類審査は20点しかなく、当日の実技と面接がほぼすべてです。
推薦選抜の配点と評価の要点
推薦選抜は全学科とも面接及び書類審査(100点)で、筆記試験はありません。学科ごとの評価の要点は募集要項に明記されており、そのまま対策の指針になります。
| 学科 | 評価の要点(募集要項より) |
|---|---|
| 物質化学科 | 学習意欲・積極性・活動性・将来性等の人物面、英語・化学の基礎学力、面接での表現力 |
| 電子情報 システム工学科 | 基礎学力(英語・数学・専門科目)と積極性・将来性等の人物面。専門科目は電磁気学・回路基礎・情報基礎のいずれかを選択可 |
| 水環境・土木工学科 | 学習意欲、積極性、基礎学力、課外活動 |
| 機械システム工学科 | 目的意識、意欲、基礎学力(質点系及び剛体の力学)及び論理的思考力 |
| 建築学科 | 積極性や個性などの人物面、理数系学力、建築に対する関心の高さ、学習や諸活動の履歴 |
推薦選抜には学業成績に関する推薦基準の目安も示されています。機械システム工学科は「成績の順位が上位30%以内」、水環境・土木工学科は「上位50%以内」。物質化学科・電子情報システム工学科・建築学科は「目安は設けていません」とされています。なお、1つの高等専門学校が推薦できる人数に制限はありません。
機械システム工学科は、一般選抜では数学の筆記だけ、推薦選抜では質点系及び剛体の力学が評価の要点に入るという構成です。区分によって準備すべき科目が変わるので、区分を決めてから対策を組んでください。
英語はどう扱われるか
「信州大学工学部は英語が不要」という説明を見かけることがありますが、募集要項の条文にあたると正確ではありません。整理すると次のとおりです。
- 独立した英語の筆記試験はありません。時間割に英語の試験時間は設定されていません。
- TOEICなど外部英語試験のスコア提出は、出願書類にも出願資格にも含まれていません。要項の出願書類一覧(調査書・成績証明書・志望理由書・推薦書など)に英語資格の証明書は挙がっていません。
- ただし物質化学科は、一般選抜・推薦選抜とも面接に「英語・化学の基礎学力に関する口頭試問」が含まれ、評価の要点にも英語の基礎学力が明記されています。
- 電子情報システム工学科も評価の要点が「基礎学力(英語・数学・専門科目)」とされており、英語が評価対象から外れているわけではありません。
- 水環境・土木工学科・機械システム工学科・建築学科については、要項に英語の記載はありません。
つまり「スコアを出す必要はないが、志望学科によっては口頭で英語の基礎学力を問われる」というのが正しい理解です。なお要項の入学手続の欄には、入学時にノートパソコンやTOEIC受験料等の教材費が必要と書かれており、入学後には英語に取り組む前提になっています。
数学の出題傾向と対策
信州大学工学部は、編入学試験(一般選抜)の数学の問題と「出題意図」を大学自身が公開しています。2023年度〜2027年度の5年度分が入試情報ページからダウンロードでき、翌年度分も例年8月以降に公表されます。市販の過去問集に頼らずに本番の形式を確認できるので、対策の出発点はここに置くのが最短です。
試験時間と出題範囲
| 試験時間 | 9:00〜10:30(90分) |
|---|---|
| 対象学科 | 電子情報システム工学科・機械システム工学科(両学科とも同一問題) |
| 出題範囲 (要項に明記) | 微分積分: 極限、1変数及び多変数関数の微積分 線形代数: 連立1次方程式、階数、逆行列、行列式、対角化 |
| 持ち物 | 筆記用具・時計(試験室に時計はありません)。電卓・辞書・電子機器類は使用不可 |
出題範囲が要項に明記されているのは大きな利点です。確率統計・応用数学(フーリエ解析・複素関数・微分方程式など)は範囲外なので、そこに時間を使う必要はありません。範囲が狭いぶん、微分積分と線形代数の完成度がそのまま点数になります。
大問構成は5年間ほぼ固定
大学が公開している出題意図を並べると、構成の安定ぶりがはっきりします。
| 入学年度 | 大問1 | 大問2 | 大問3 | 大問4 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | マクローリン展開と極限 | 定積分・2重積分 | 正則行列 | 行列の対角化 |
| 2024年度 | 微分の計算と極値 | 積分の計算技法 | 連立方程式 | 行列の対角化 |
| 2025年度 | 極限と基本的な微分計算 | 部分積分と重積分 | 行列式と逆行列 | 行列の対角化 |
| 2026年度 | マクローリン展開と応用 | 積分の計算技法 | 行列式と逆行列 | 行列の対角化 |
| 2027年度 | 連続性・偏微分可能性 | 積分の計算技法 | 連立1次方程式の解法 | 行列の対角化とその応用 |
出典: 信州大学工学部「第3年次編入学試験(一般選抜)出題意図」(各年度)。表は大学が公表している出題意図の分野をまとめたものです。著作権の観点から、過去問の設問そのものは記載していません。
ここから言えることは明確です。
- 大問4は5年連続で「行列の対角化」。固有値・固有ベクトルを求め、対角化可能かどうかを判定し、正則行列Pを作るまでを、条件つき(文字を含む行列)でも確実にこなせる状態が必須です。2027年度は「対角化とその応用」となっており、行列のべき乗を求める形まで踏み込んでいます。
- 大問3は行列式・逆行列・連立1次方程式。5年のうち3年が行列式・正則性・逆行列、2年が連立1次方程式です。文字を含む行列の行列式を求めて正則条件を出す、パラメータを含む連立方程式を場合分けして解く、という型を押さえてください。
- 大問2は毎年「積分の計算技法」。置換積分・部分積分による1変数の不定積分/定積分と、極座標変換を使う2重積分がセットで問われます。オンライン編入学院の過去問分析では、領域を広げていったときの重積分の極限を求める形(広義積分に相当する扱い)が繰り返し登場しています。
- 大問1は微分積分の理論寄り。極限、マクローリン展開、偏微分と連続性・全微分可能性、不等式の証明など、年度によって幅があります。ここだけは山を張れないので、定義に戻って説明できる状態を作っておく必要があります。
学習の進め方
- 範囲を確定する(学習開始時): 微分積分と線形代数だけ。テキストの目次に印を付け、範囲外の章は開かないと決めます。
- 計算の型を身につける(〜試験の4か月前): 置換積分・部分積分、極座標変換による2重積分、行列式の展開、逆行列、固有値・固有ベクトル。この6つを、手が勝手に動くまで反復します。
- 大問4対策を独立して回す(〜3か月前): 対角化は5年連続で出ています。文字を含む行列の対角化可能性の判定まで、単元として集中的に仕上げます。
- 大学公開の問題で時間を計る(〜1か月前): 90分で4題。1題あたり20分強という配分を体に入れます。出題意図も一緒に読み、大学が何を測ろうとしているかを確認します。
- 取りこぼしを潰す(直前期): 電卓が使えないため、計算の正確さがそのまま得点差になります。途中式を省かずに書く習慣で本番のミスを減らします。
面接・口頭試問の対策
この試験は、機械システム工学科の一般選抜を除くすべての学科・区分で面接があり、多くは口頭試問(=面接の中で、その場で出された問題に口頭で答える形式)を含みます。配点でいえば電子情報システム工学科は面接だけで60点、物質化学科・水環境・土木工学科は面接と書類審査だけで100点です。筆記より面接の対策のほうが重要な学科が多い、という認識から始めてください。
学科別に問われる分野
- 物質化学科: 化学の基礎学力と英語。要項の評価の要点に明記されています。受験者の報告では、無機化学・有機化学・物理化学といった化学の主要分野と英語について、順番に短時間ずつ問われる形が見られます。
- 電子情報システム工学科: 数学と専門科目。専門科目は電磁気学・回路基礎・情報基礎から1科目を選択できると要項に明記されています。回路基礎の出題内容は「電気回路、電子回路、論理回路等」、情報基礎は「プログラミング、データ構造とアルゴリズム等」と要項に書かれており、選択の判断材料になります。受験者の報告では、ホワイトボードに書きながら口頭で説明する形式がとられることがあります。
- 水環境・土木工学科: 大学1年レベルの数学。要項に「大学1年レベルの数学に関する口頭試問を含む」と明記されています。微分・積分の基本計算や線形代数の基礎を、紙やホワイトボードに書きながら説明できる状態にしておくのが実務的な準備です。
- 機械システム工学科(推薦選抜): 質点系及び剛体の力学。一般選抜には面接がないため、この準備が必要なのは推薦選抜の受験者だけです。
- 建築学科: 理数系学力と建築に対する関心の高さ、学習や諸活動の履歴。
時間の使い方が勝負になる
2027年度の試験直後にオンライン編入学院へ寄せられたアンケートには、次のような記録がありました。
「3人、個人面接、無機、有機、物化、英語で5分ずつと面接官からの質問10分の合計30分。」
「口頭試問のみ。紙を渡されて、それについて制限時間内に答える」
「5分内で答えないといけないため、あれなんだっけなって悩む時間すらない。反射的に答えられないと点が取れないと思う」
2027年度受験者(試験日2026年6月5日・信州大学工学部)/オンライン編入学院 試験直後アンケート
この記録から分かるのは、1分野あたりに与えられる時間がきわめて短いということです。じっくり考えて解く筆記試験とは、準備の質が違います。対策としては次の3点が効きます。
- 「知っている」を「即答できる」に変える: 定義・公式・基本現象を、紙を見ずに30秒で説明する練習を繰り返します。理解しているつもりでも、口に出すと詰まる項目が必ず見つかります。
- 書きながら話す練習をする: 紙やホワイトボードに式や図を書きながら説明する形式が報告されています。手を動かしながら声を出すのは想像以上に難しいので、本番前に必ず経験しておいてください。
- 分からないときの振る舞いを決めておく: 沈黙が続くと評価しようがありません。「ここまでは分かります、ここから先が思い出せません」と現在地を言葉にできると、そこから誘導してもらえる余地が生まれます。
建築学科のスケッチ
建築学科だけは10:00までの1時間でスケッチを行い、その後に面接があります。スケッチと面接あわせて80点、書類審査20点という配点です。当日の持ち物には黒鉛筆(4B)及び消しゴム(練り消しも可)が指定されています。
また要項には、建築学科に限り面接時にポートフォリオ(A1サイズ以下)の持参が認められると書かれています。受賞歴がある場合は、それを証明する書類の原本とコピーもあわせて持参できます。出願書類として提出するものではないので、出願後から試験日までの期間で作り込むことができます。建築学科は一般選抜の倍率が5年合算で11.50倍と学部内で最も厳しく、面接での印象が合否を分けやすい構造なので、ポートフォリオの準備は実質的な必須項目と考えてよいでしょう。
出願資格・必要単位・提出書類
一般選抜の出願資格
一般選抜の出願資格は10区分あります。主なものは次のとおりです。
- 高等専門学校を卒業した者、または2027年3月までに卒業見込みの者
- 短期大学を卒業した者、または卒業見込みの者
- 大学に2年以上在学し(休学期間を除く)、62単位以上を修得した者または修得見込みの者
- 大学を卒業した者、または卒業見込みの者
- 学位授与機構により学士の学位を授与された者、または授与される見込みの者
- 外国の短期大学を卒業した者、外国において14年の課程を修了した者
- 専修学校の専門課程(修業年限2年以上・総授業時間数1,700時間以上)を修了した者または修了見込みの者。ただし大学入学資格を有する者に限る
- 高等学校・中等教育学校後期課程・特別支援学校の専攻科の課程を修了した者のうち、法令により大学に編入学できる者
- 長野県地域中核人材育成特区内の職業能力開発短期大学校で特定高度職業訓練を修了した者または修了見込みの者
62単位は全員に共通の要件ではありません。これは「大学に2年以上在学」の区分にだけかかる条件です。高等専門学校・短期大学・専修学校専門課程からの区分には、単位数の条件は付いていません。「62単位が足りないから出願できない」と誤解しないでください。
出願より1か月早い締切があります。外国の短期大学卒業・外国の14年課程修了・高等学校等専攻科修了の区分(要項の出願資格⑥⑦⑨)で出願する人は、2026年4月10日までに工学部入試事務室へ問い合わせて出願資格の確認を受ける必要があります。出願期間の開始(5月4日)より約1か月前です。受験上の配慮を必要とする場合の事前相談の申請期限も同じ4月10日です。該当する人は、この日付を最初にカレンダーに入れてください。
提出書類
| 書類 | 推薦 | 一般 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 出願確認票・宛名ラベル | ○ | ○ | 出願登録サイトから印刷 |
| 写真 | ○ | ○ | 出願登録サイトへアップロード(郵送不要) |
| 調査書 または成績証明書(厳封) | ○ | ○ | 大学在学中の者は成績証明書+単位修得見込証明書等(62単位以上修得可能と確認できるもの) |
| 卒業(見込)証明書 /在学期間証明書 | ― | ○ | 大学在学中(出願資格③)の者は在学期間証明書(大学所定様式) |
| 推薦書(厳封) | ○ | ― | 大学所定様式を出身学校長が作成 |
| 志望理由書 | ○ | ○ | 大学所定様式に手書き(楷書) |
| 志望理由書(追加分) | 女子枠 | ― | 推薦選抜・女子枠の出願者のみ |
志望理由書は手書き指定です。書き損じの訂正も二重線と決められているため、下書きを作ってから清書する時間を見込んでおいてください。証明書類(成績証明書・在学期間証明書・単位修得見込証明書)は学校の発行に時間がかかるので、出願期間の2〜4週間前には依頼しておくのが安全です。出願書類の提出後は志望学科の変更が認められません。
出願から入学までのスケジュール
2027年度入試の実際の日程を並べると、この試験の時間感覚がつかめます。次年度の日程は変わる可能性がありますが、大枠は毎年似た形で組まれています。
| 時期(2027年度の実績) | やること |
|---|---|
| 2026年2月 | 募集要項が公表される(2027年度分は2026年2月に公表)。志望学科と選抜区分をここで決める |
| 2026年4月10日 | 出願資格⑥⑦⑨の事前問い合わせ期限/受験上の配慮の申請期限 |
| 2026年4月〜5月上旬 | 証明書類の手配。推薦選抜は校内の推薦手続き |
| 2026年5月4日〜5月15日 | インターネット出願登録・検定料30,000円の支払い |
| 2026年5月11日〜5月15日17時 | 出願書類の郵送(簡易書留速達・必着) |
| 2026年6月5日 | 試験日(入構8:00/入室完了8:40/9:00開始) |
| 2026年6月23日14時 | 合格発表(出願登録サイトで確認) |
| 2026年8月31日〜9月11日 | 入学手続(入学料282,000円の納入を含む) |
| 2026年9月以降 | 単位認定に関する案内が大学ホームページに掲載される |
| 2026年10月1日〜10月31日 | 入試成績(総合点)の開示期間。出願時に希望した人のみ |
| 2027年3月中旬 | 出身学校の成績証明書の提出期限。単位認定審査 |
| 2027年3月15日まで | 欠員が生じた場合の追加合格の可能性 |
| 2027年4月 | 単位認定結果の通知・入学 |
注目したいのは、合格発表(6月)から入学手続(8月末〜9月)まで2か月以上空くことです。他大学との併願がしやすい日程になっています。また追加合格が翌年3月15日まであり得る点も、併願を考えるうえで押さえておきたい情報です。
入試成績の開示は出願時に希望を選択し、手数料800円を検定料と一緒に支払った人だけが対象です。出願後に希望することはできないため、次年度以降の再挑戦も視野に入れているなら、出願の段階で申し込んでおくと判断材料が増えます。
費用・単位認定・キャンパスの注意点
費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学検定料 | 30,000円(+システム利用料900円、成績開示希望時は800円) |
| 入学料 | 282,000円(入学手続期間中に納入) |
| 授業料 | 前期・後期 各267,900円(年額535,800円) |
| 学生保険料・学友会費等 | 合計60,000円程度(入学手続期間中に納入) |
このほか、入学時にノートパソコンやTOEIC受験料等の教材費、入学後に教科書購入費が必要になります。既納の入学料は返還されません。なお、災害救助法の適用を受けた地域で被災し住家に一定の被害があった場合は、罹災証明書の提出により入学検定料が全額免除される制度があります。
単位認定と卒業年限
編入生は2年間を既に在学したものとして扱われ、編入学後の在学期間は2年以上4年以内となります。ただし要項には次のような注意が書かれており、実務的にはここが最大のリスクです。
- 出身校で修得した単位がすべて認定されるとは限らない
- 出身学科と合格学科が同系統ではない場合、認定単位が少なく2年間で卒業できない可能性が高まる
- 専修学校出身者や高校から高専へ編入した人などは、大学1年次の基礎科目(外国語・教養科目等)の単位を持っていない場合があり、その場合は松本キャンパスにある全学教育センターで1年生対象科目を受講する必要が生じることがある
- 3年次終了時に4年次への進級要件が設けられている
キャンパスは長野市です。信州大学は学部ごとにキャンパスが分かれており、工学部は長野(工学)キャンパス(長野市若里4-17-1)です。JR長野駅東口から徒歩約20分、バスなら5〜8分。人文学部・経法学部・理学部・医学部は松本、教育学部は長野(教育)キャンパス、繊維学部は上田、農学部は伊那(南箕輪村)と、学部によって通学先がまったく異なります。
そのうえで、上に挙げたとおり不足科目がある場合は松本キャンパスへの通学が必要になることがあります。長野市と松本市は電車で1時間以上離れています。専門学校出身の方など該当しそうな場合は、出願前に工学部入試事務室へ確認しておくことを強くおすすめします。
なお、信州大学工学部の在学生が出願する場合は、現在在籍中の学科には出願できません(改組前の学科に所属している学生は入試事務室への問い合わせが必要とされています)。
併願戦略の考え方
信州大学工学部の日程は、併願を組むうえで扱いやすい部類です。ポイントを整理します。
- 試験日は6月上旬で、国立大学の工学系編入試験としては早い時期にあたります。6月下旬〜8月に試験を行う大学が多いため、最初の1校として受けやすい日程です。
- 合格発表が6月下旬、入学手続は8月末〜9月中旬。手続きまで2か月以上あるため、後半の日程の大学の結果を見てから判断できます。
- 推薦選抜は合格した場合の入学確約が条件です。複数校を比較して決めたい場合は、推薦選抜ではなく一般選抜を選ぶ必要があります。ここは倍率の有利不利と直接トレードオフになります。
- 学内併願はできません。全学科が同一日・同一時間帯に実施され、出願後の志望学科の変更も認められていません。志望学科は出願前に1つに決める必要があります。
信州大学工学部と併願されやすいのは、同じ甲信越・北陸圏の国立大学工学系です。数学の出題範囲が微分積分と線形代数に限定されている点が共通する大学を選ぶと、対策を共通化しやすくなります。編入総研では新潟大学工学部・金沢大学理工学域・富山大学工学部・長岡技術科学大学・豊橋技術科学大学の各記事も公開しているので、日程と試験科目を並べて比較してみてください。
なお、志望学科を絞るときは倍率だけでなく「出身学科と同系統か」を必ず併せて考えてください。水環境・土木工学科は同系統要件から除外されており分野を変えやすい一方、それ以外の学科は同系統であることが原則です。仮に合格しても認定単位が少なければ2年で卒業できず、時間的なコストが跳ね上がります。
受験直後の声
オンライン編入学院には、試験を受けた直後の受験生から当日の様子が寄せられています。2027年度(2026年6月5日実施)の記録から、対策に直結する部分を紹介します。
「3人、個人面接、無機、有機、物化、英語で5分ずつと面接官からの質問10分の合計30分。」
「5分内で答えないといけないため、あれなんだっけなって悩む時間すらない。反射的に答えられないと点が取れないと思う」
2027年度受験者(信州大学工学部)/オンライン編入学院 試験直後アンケート
面接官3人による個人面接で、分野ごとに区切って口頭試問が進む形です。合計30分という長さのなかで、実質的に答えを組み立てる時間は1問あたり数分しかありません。この構造を知らずに「面接だから志望動機だけ準備すればよい」と考えると、当日まったく歯が立たないことになります。
逆に言えば、準備の方向さえ合っていれば差を付けやすい試験でもあります。筆記のように長い計算を要求されるわけではなく、問われるのは基礎事項の即答性です。志望学科の評価の要点(要項に明記されています)に沿って分野を絞り、口に出して説明する練習を積んだ人が有利になります。
おすすめ参考書
数学の筆記試験がある電子情報システム工学科・機械システム工学科、および数学の口頭試問がある水環境・土木工学科に向けて、微分積分・線形代数の定番書を紹介します。カードをタップするとレビュー記事に移動できます。
このうち『大学教養微分積分』は、信州大学工学部の出題概念(連続性、置換積分、ロピタルの定理、マクローリン展開、重積分など)との対応が確認できている一冊です。それ以外は、出題範囲である微分積分・線形代数の分野に対応する、編入試験で広く使われている基本書として挙げています。
使い方としては、まず微分積分と線形代数の教科書系(『大学教養微分積分』『手を動かしてまなぶ』シリーズ)で定義と計算手順を固め、そのうえで編入向けの演習書に移るのが効率的です。この試験は範囲が狭いぶん、同じ範囲を何周できるかが得点を決めます。応用数学(フーリエ解析・複素関数・微分方程式など)や確率統計は出題範囲外なので、収録されていても飛ばして構いません。
なお機械システム工学科の推薦選抜を受ける方は、評価の要点に「質点系及び剛体の力学」が挙げられているため、力学の基礎を復習できる1冊を別途用意しておくと安心です。
合格者インタビュー・関連動画
オンライン編入学院のYouTubeチャンネルでは、信州大学工学部に合格した先輩へのインタビューを公開しています。電子情報システム工学科の口頭試問の進み方は、文章では伝わりにくい部分なので、動画で確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
信州大学工学部の編入試験の倍率はどのくらいですか?
大学が公表している「工学部第3年次編入学試験実施状況」によると、学部全体の受験者数÷合格者数は2023年度3.08倍、2024年度3.00倍、2025年度3.11倍、2026年度3.95倍、2027年度3.44倍でした。ただし選抜区分による差が大きく、直近5年度を合算すると一般選抜は約4.5倍、推薦選抜は約1.8倍です。学科別では建築学科と機械システム工学科が高く、水環境・土木工学科が低い傾向にあります。
信州大学工学部の編入は何年次からですか?
第3年次編入学のみで、2年次編入は実施されていません。合格すると翌年4月に3年次へ編入します。ただし出身校での履修状況によっては卒業までに2年を超える場合があると募集要項に明記されています。また3年次終了時に4年次への進級要件が設けられています。
英語の試験はありますか?
独立した英語の筆記試験やTOEICなど外部英語試験のスコア提出は、募集要項の出願書類・選抜方法のいずれにも含まれていません。ただし物質化学科は一般選抜・推薦選抜とも面接に「英語・化学の基礎学力に関する口頭試問」が含まれ、評価の要点にも英語の基礎学力が挙げられています。電子情報システム工学科も評価の要点が「基礎学力(英語・数学・専門科目)」とされており、英語がまったく問われないわけではありません。
推薦選抜と一般選抜はどちらが有利ですか?
実施状況の数値だけを見れば推薦選抜のほうが通りやすく、直近5年度合算で推薦選抜約1.8倍に対し一般選抜は約4.5倍です。ただし推薦選抜に出願できるのは高等専門学校を卒業見込みで学校長の推薦を受けられる人に限られ、合格した場合の入学確約が条件になります。推薦選抜と一般選抜の重複出願はできないため、高専生はどちらで出願するかを校内の推薦手続きの時期までに決める必要があります。
推薦選抜の「女子枠」とはどのような制度ですか?
2025年度入試から推薦選抜に設けられた枠で、性別が女性である高等専門学校卒業見込み者が出願できます。募集人員の目安は10人です。女子枠に出願すると一般枠も併願したことになり、両方合格した場合は女子枠としての合格になります。出願時に「志望理由書(追加分)」の提出が必要です。ただし合格基準を満たす受験者が募集人員に満たない場合は目安の10人に届かないこともあり、実際に2027年度の女子枠合格者は5人でした。
大学2年生や専門学校生からでも合格できますか?
出願資格には大学に2年以上在学し62単位以上を修得(見込み)の区分、短期大学卒業、専修学校専門課程修了などが含まれており、出願自体は可能です。ただし出身校別の内訳が公表されている2023年度・2024年度を見ると、志願者の約86%が高等専門学校出身でした。この2年度では4年制大学等からの志願者9人のうち合格者はいません。母数が小さく2年度分のみの数値ですが、高専生が中心の試験であることは意識して準備を進める必要があります。
2028年4月入学を目指す場合、何に注意すればよいですか?
信州大学工学部は学科制から工学科(コース制)へ改組されており、大学は「工学部工学科として実施する3年次編入学試験は令和10年度入試(2028年度入学)からとなり、それ以前は改組前の各学科への編入となる」「令和10年度入試の試験内容等は決まり次第お知らせする」と公表しています。つまり2028年4月入学から募集単位と試験内容が変わる可能性があります。2027年度の募集要項は2026年2月に公表されているため、同じ時期に公表される最新の要項を必ず確認してください。
まとめ
信州大学工学部の編入学試験は、募集人員20人に対して毎年37〜42人が合格している第3年次編入学です。学部全体の倍率は3.0〜4.0倍で推移していますが、意思決定に効くのは学部全体の数字ではありません。
- 区分の差が最大: 直近5年度合算で推薦選抜1.83倍、一般選抜4.52倍。高専生は推薦を取れるかどうかが決定的ですが、推薦は入学確約が条件で、他大学との併願とはトレードオフです。
- 学科の差も大きい: 5年合算で水環境・土木工学科2.38倍〜建築学科6.00倍。一般選抜に限れば機械システム工学科8.94倍、建築学科11.50倍と厳しくなります。
- 試験の中身が学科でまったく違う: 数学の筆記があるのは2学科だけで、配点も30点と60点で倍違います。機械システム工学科の一般選抜には面接がなく、数学60点+書類40点で決まります。
- 数学は範囲が狭く、傾向が安定している: 微分積分と線形代数のみ。大問4は5年連続で行列の対角化です。大学が問題と出題意図を公開しているので、対策の起点はそこに置くのが最短です。
- 面接・口頭試問の比重が高い: 1分野5分程度で即答を求められる形式が報告されています。書きながら説明する練習を本番前に必ず経験しておいてください。
そして最後に、2028年4月入学からは「工学科」としての編入試験に変わる見込みである点を忘れないでください。この記事の学科別データは2027年度までの実績です。新しい枠組みの試験内容は決まり次第大学から公表されるため、2026年2月ごろに公表される最新の募集要項を必ず確認してから準備を始めてください。
あとは、いまの自分の位置から何を先にやるかです。志望校と現在の状況をうかがったうえで、順番を整理します。
ボタンを押すと予約ページが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。
監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)。本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。試験概要・実施状況は信州大学工学部が公表する募集要項および「工学部第3年次編入学試験実施状況」をもとに確認し、出題傾向は大学公表の出題意図とオンライン編入学院の過去問分析にもとづいています。受験当日の様子はオンライン編入学院に寄せられた試験直後アンケートによります。
※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ|最終更新: 2026年9月6日










