法学編入 参考書ルート|入門書から憲法・答案練習まで何をどの順で
法学部の編入試験には、ほかの学部と決定的に違う前提があります。受験生のほぼ全員が、法学の初学者だということです。高校に「法学」という科目はありません。経済学部志望なら高校の政治経済が入口になりますが、法学は全員が同じ地点から本を読み始めます。
だからこそ、どの本を、どの順で読むかがそのまま合否に響きます。いきなり大学の基本書から入って用語の壁で止まる人と、入門書を1冊挟んでから積み上げる人とでは、数か月後の到達点が変わります。
そしてもうひとつ。法学部の編入試験は、専門科目の出題形式が大学によってまったく違います。法学の基礎知識を問う筆記の大学、論述試験で答案を組み立てさせる大学、法・政治をテーマにした小論文の大学。この形式の違いが、そのまま「どこまでやるか」の違いになります。
この記事では、標準ルートと難関大ルートを分けて示します。難関大ルートは、神戸大学法学部や中央大学法学部のように論文・論述で答案を組み立てさせる大学、あるいは新潟大学法学部のように憲法・民法・刑法まで範囲が明示される大学を指します。標準ルートは、法学の基礎知識を問う筆記や小論文が中心の大学です。
この記事で分かること
- 参考書を買う前に確かめること(ここで買う本が決まります)
- なぜ出題が1〜2年生の範囲までに収まるのか。だから何をやればよいのか
- 志望理由書と面接の有無で、勉強に振れる時間がどれだけ変わるか
- 法学の参考書を読む順序と、標準ルート・難関大ルートの分かれ目
- 合否を分ける3つの力と、答案を書き切るための分量の目安
- 小論文で政治学と時事をどこまでやるか、何をどの順で読むか
- いつまでに何を終えるかの目安と、やってはいけない4つの使い方
編入試験は大学ごとに出願資格も科目も違います。いまの学年・在籍区分で受けられる大学がどこかは、条件を突き合わせて初めて分かります。
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買う前に決めること
先に志望校の募集要項で、専門科目の出題形式を確かめてください。法学部の編入は「この1冊をやれば大丈夫」という科目ではなく、形式によって必要な本が入れ替わります。
| 確かめること | なぜ必要か |
|---|---|
| 専門試験の型 | 法学の基礎知識を問う筆記か、論述・論文か、小論文か。論述・論文なら答案練習の本が必須になります |
| 出題範囲 | 「法学に関する基礎的な問題」とだけ書く大学と、憲法・民法・刑法まで科目名を明示する大学があります。ここで読む冊数が変わります |
| 英語の扱い | 筆記試験の大学と、TOEICなどのスコア提出の大学に分かれます。スコア提出型は受験日程の逆算が先です |
| 面接・口頭試問 | 面接だけの大学と、専門科目の内容を口頭で問う大学があります。後者は「説明できる」水準まで要ります |
| 志望理由書の有無 | 提出させる大学では、書き上げるまでに数か月かかります。参考書に使える時間がその分だけ減るので、買う量を決める前に確認してください |
形式が分かれば、必要な本は多くありません。標準ルートなら法学の本は3冊が土台です。買い集めるより、決めた本を繰り返すほうが確実に力になります。
出るのは1〜2年生で習う範囲まで
法学部の編入試験で問われるのは、大学1〜2年生が学ぶ範囲の基礎です。行政法・刑事訴訟法・会社法のように3〜4年生で配当される科目が正面から問われることは、ほとんどありません。
これは出題する側の事情から来ています。高度な解釈論を問う試験にすると、司法試験や予備試験の対策を積んだ人だけが有利になります。安楽死をどう扱うか、AIに人の評価を任せてよいか——いまの法学が抱える問題は、条文と判例の知識だけでは答えが出ません。だから基礎を押さえたうえで、社会の問題を法学の考え方で論じられる人を選びたい、という設計になっています。
ここから2つのことが言えます。法学部の出身でないことは不利になりにくいこと。そして基礎を曖昧にしたまま難しい本へ進むのがいちばん損だということです。
難問が解けるかどうかで決まる試験ではありません。合否が分かれるのは、多くの受験生が取れるところを取りこぼしていないかです。難しい問題は、ほかの受験生も同じように解けません。奇問を追うより、基礎を落とさない状態を作るほうが確実に近づきます。
志望理由書と面接の有無で準備の重さが変わる
買う本を決めるとき、専門試験の型だけを見てしまいがちです。ですが法学部の編入は、志望理由書と面接があるかどうかで、時間の配分がまるごと変わります。
| 要項の書かれ方 | 準備の重心 |
|---|---|
| 志望理由書なし 面接なし | 選抜は当日の答案だけ。書類に時間を取られず、専門と英語に全部を振れます |
| 志望理由書あり 面接なし | 面接で補う機会がないので、書いたものだけで意図が伝わる必要があります。数か月かかる科目だと考えて計画に入れてください |
| 志望理由書あり 面接あり | いちばん重い型。書類と面接が食い違うと崩れます。書き上げた時点で想定問答まで作るのが前提です |
| 面接(+スコア提出)が中心 | 専門の筆記が無い、または軽い型。志望理由書と面接の対策がそのまま合否になります |
自分の志望校がどれに当たるかは、募集要項の「出願書類」と「選抜方法」の欄で分かります。参考書を買う前にここを読んでおくと、専門科目に振れる時間が先に見積もれます。書き方は編入の志望理由書の書き方、面接で聞かれることは編入試験の面接でよく聞かれることにまとめています。
法学:4段階で積み上げる
法学の参考書は、入門書 → 法学入門レベル → 憲法の基本書 → 答案練習の順で積み上げます。
| 段階 | 使う本 |
|---|---|
| 1. 入門 法律の全体像をつかむ | 日本一やさしい法律の教科書。憲法・民法・刑法がそれぞれ何を扱う法律なのか、法律用語の読み方を最初に押さえます。他学部から受ける人はウォーミングアップ法学から入る手もあります(法学部で法学入門の単位を取っている人には不要です) |
| 2. 法学入門レベル 法とは何かを通す | 法学などの法学入門書。法の解釈・法体系・裁判のしくみといった、どの大学でも前提になる考え方を固めます。難関大を受けるなら、この段階の軸は末川博『法学入門』です(次節) |
| 3. 憲法 出題の中心を固める | 憲法の基本書を1冊。人権分野を中心に、判例と学説を突き合わせて読みます。判例は基本的人権の事件簿のように、事案と論点をセットで解説する本が読みやすいです |
| 4. 答案練習 書ける状態にする | 法科大学院小論文 発想と展開の技術と志望校の過去問。読んで分かるだけでは論述式に対応できません。憲法は演習ノート憲法のように解答例が載っている演習書を1冊挟むと、書き出しでつまずきにくくなります |
2と3を飛ばして答案練習から入らないでください。法学の論述は、定義と判例・学説の理解を前提に組み立てます。土台がないまま過去問に向かうと、感想文になります。
法学は、答案の書き方、判例の引き方、定義の押さえ方まで「作法」がはっきりしている分野です。学び方そのものを扱う本を最初に1冊通しておくと、以降の読書と答案練習の効率が変わります。定義を調べるときは検索ではなく辞典を引いてください。「統治権とは」のような語はネット上の説明の精度にばらつきが大きく、答案にそのまま書けない記述が混ざります。
憲法から始める理由は2つあります。ひとつは、法学部の編入試験で出題の中心になりやすい分野だからです。もうひとつは、条文・判例・学説を突き合わせて考えるという「法学の型」を、いちばん身につけやすい分野だからです。ここで身につけた型は、民法・刑法に進んだときもそのまま使えます。
実際に、法政大学法学部に合格した先輩は、春に入門書と法学入門書から始め、初夏に憲法、夏に民法・刑法、秋から論文対策という順で積み上げています。
基礎レベルなので法学初学者にとてもおすすめです。
法政大学法学部に合格した先輩(『日本一やさしい法律の教科書』を3周)
ひとつひとつわかりやすく法律用語を解説してくれるので、他の参考書を使って勉強してつまづいたらこの教科書にかえって復習していました
大阪大学法学部に合格した先輩(同・4周)
法学:標準ルートと難関大ルート
| ルート | どこまでやるか |
|---|---|
| 標準ルート | 入門書 → 法学入門レベル → 憲法の基本書の3冊を、繰り返し読んで自分の言葉で説明できる状態に。法学の基礎知識を問う筆記や、基礎知識ベースの小論文はここまでで戦えます |
| 難関大ルート | そこに3つの上乗せが入ります。①民法・刑法の基礎(新潟大学法学部のように科目名で明示する大学)、②政治学(法政大学法学部のように「法学・政治学」と並べて出す大学。政治学や現代政治理論が定番です)、③答案練習(法科大学院小論文 発想と展開の技術で組み立ての型を学び、過去問で書く) |
『法学入門』という書名の本は複数あります。著者名で選んでください。末川博『法学入門』は、編入対策で長く定番とされてきた1冊です。繰り返し読むほど内容が深くなるタイプの本で、難関大を受けるならここを軸に据えてください。春休みが終わるまでに3周が目安です。
一方の田中成明『法学入門』は、京都大学法学部を志望する人が持っておく本です。この著者の議論が下敷きになった出題があるためで、ほかの大学を受ける人にとっては優先順位が下がります。2冊を並行して読む必要はありません。
標準ルートで使う本です。
難関大ルートで足す本です。
憲法の基本書と答案練習について、神戸大学法学部に合格した先輩はこう振り返っています。
憲法、特に人権についての説明がわかりやすく、学説や判例の通説となっている見解が多いです。何度も読んで理解を深めていました。
神戸大学法学部に合格した先輩(『憲法』を2周)
どのように小論文を組み立てていけば良いのかを学ぶ上で、自分の回答と見比べながら使用していました。
同(『法科大学院小論文 発想と展開の技術』を3周)
基本書は1冊に絞ってください。憲法の基本書は定番だけでも複数あり、学説の立場が本によって違います。並行して読むと、どの見解が通説なのか分からなくなります。1冊を決めて繰り返し、他の本は疑問が出たときに引く辞書として使うのが確実です。
憲法の基本書には、もうひとつ選択肢があります。憲法Ⅰ 総論・統治と憲法Ⅱ 人権(新井誠・曽我部真裕ほか、日評ベーシック・シリーズ)です。統治と人権で2分冊になっていて、判例と通説に沿って体系的に追える構成です。近年の論点も取り込まれているため、時事と絡めて出題する大学とは相性がよくなります。
どちらを選んでもかまいません。決めたほうを繰り返してください。2分冊のほうを選ぶ場合、出題の中心になりやすいのは人権分野なので、Ⅱから読み始めて構いません。
合否を分けるのは知識・書き方・時事の3つ
法学の勉強というと知識を入れることだと思われがちですが、採点されているのは3つです。
| 問われる力 | 中身 |
|---|---|
| 法学の基礎知識 | 編入後についていける水準まで。高度な解釈論までは要りません |
| 文書作成能力 | 読み手によって二通りに読めない文章を書けるか。感想文やSNSの文章とは別の書き方です。公務員試験も司法試験も論述式なのは、同じ力を測っているからです |
| 時事を法学で論じる力 | ニュースを知っているかではなく、それを法学の枠組みで分析できるか |
2つめが見落とされます。基本書を読んで理解できることと、白紙から答案を組み立てられることの間には段差があり、論述式ではそれが得点差になります。分量の目安も持っておいてください。たとえば1問75分・1,500字の論述なら、構想に25分使えば書く時間は50分。10分あたり300字のペースで手を動かし続けることになります。読んで分かるだけの状態からこの速度は出ません。時間を計り、最後まで書き切る練習を、過去問演習の段階で必ず入れてください。
小論文と時事:法学の知識だけでは書けない
上智大学法学部や京都女子大学法学部のように、専門試験が小論文の形で出る大学があります。この形式で問われるのは、知識の量よりも「社会の出来事を、法・政治の考え方で筋道立てて論じられるか」です。
| 準備するもの | 使う本 |
|---|---|
| 書き方の型 | 小論文これだけ!超基礎編で基本ルールを短く押さえ、小論文これだけ!法・政治・経済編で分野の頻出テーマに進みます |
| 時事の引き出し | 朝日キーワードや図解でわかる時事重要テーマ100。直近の社会の動きを、自分の言葉で説明できる状態にします |
| 論点のストック | 大学入試小論文の完全ネタ本〈社会科学系〉編。書くことが思いつかないタイプのつまずきに効きます |
小論文・時事対策で使う本です。
過去3年分くらいを何度も読み、どんな点が日本の時事問題として取り上げられているのかの知識を増やしていました。
神戸大学法学部に合格した先輩(『朝日キーワード』を3周)
小論文型では政治学から逃げられない
法学部の小論文と聞くと、法律のテーマだけを想像しがちです。実際には政治学のテーマが大きな比重を占めます。「法学・政治学」と並べて出題する大学があるとおり、選挙制度、代表のあり方、国際政治といった論点は、法学部の試験で繰り返し扱われます。
政治学は難関大ルートの「上乗せ」ではなく、小論文型を受けるなら標準装備だと考えてください。入門は新書で構いません。学説を丁寧に追う本は分厚く、最初の1冊には向きません。国際政治まで踏み込むなら国際政治 恐怖と希望のような古典を1冊読むと、リアリズムとリベラリズムという対立軸が手に入ります。
時事は読む順序を逆にする
時事対策でいちばん多い失敗が、手当たり次第に本を読むことです。読む順序を逆にしてください。先に志望校の過去問でどんなテーマが問われてきたかを見て、そこから読む本を決める。同じ読書量でも、答案に使える割合が変わります。
法学部の出題で扱われやすいのは、法哲学、ジェンダーと政治参加、AIと法、平等と優遇措置といった論点です。いずれも一般向けの新書で正面から論じられていて、専門書を読まなくても議論の骨格がつかめます。
新書を読めるのは今だけです。直前期は答案を書き、面接の練習をするので、まとまった読書の時間は取れません。試験から遠い時期に読んでおくのは、遠回りに見えていちばんの近道です。
小論文は、書いて添削を受けるところまでが1セットです。型とネタを仕入れただけでは、本番の初見テーマに対応できません。志望校の過去問のテーマで実際に書き、他人の目で直してもらってください。
英語:筆記型かスコア提出型かで全部変わる
法学部の編入試験の英語は、筆記試験の大学と、TOEICなどのスコア提出で代える大学に分かれます。どちらかで、やることがまったく違います。
| 形式 | やること |
|---|---|
| スコア提出型 | 最初に受験日程を押さえます。スコアの返却には時間がかかり、出願直前の受験では間に合わないことがあります。教材は公式TOEIC問題集を軸に、金のフレーズで単語、でる1000問で文法パートを固めます |
| 筆記型 | 法律や社会を題材にした英文の和訳・内容説明が中心になる大学が多い形式です。システム英単語などの単語帳を土台に、ポレポレ英文読解プロセス50や英文熟考で文構造を正確に取る練習を積みます |
英語で使う本です。
間違いなくやった分だけ点数が取れるからです。
名古屋大学法学部に合格した先輩(『金のフレーズ』を6回以上)
法学部の編入は、専門科目と英語の2本立てで選抜する大学が多くあります。専門の仕上がりで並んだとき、差がつくのは英語です。法学の勉強と同じ期間、並行して積んでください。
もうひとつ、同じ「英語」でも効き方が違います。配点が大きく合否を左右する大学、一定の点数を超えれば以降は差がつかない大学、そして出願要件として高いスコアを求める大学があります。3つめは受験できる人がその分だけ絞られます。要項の英語欄は「何点必要か」だけでなく、配点表の中で何点分を占めるかまで見てください。スコア提出型を春のうちに終えられれば、ほかの受験生が英語に時間を取られている期間を、そのまま法学に使えます。
法学を課している大学の例
出題形式ごとの目安です。それぞれの大学別記事で、科目・配点・出題傾向を確認できます。この記事の参考書ルートは、これらの大学の出題範囲と対応しています。
| ルートの目安 | 大学と専門試験の型 |
|---|---|
| 難関大ルート 論述・論文型、または範囲が広い | 神戸大学法学部(論文〔法学概論〕+論文〔一般教養〕)、新潟大学法学部(憲法・民法・刑法の基礎を含む法学)、筑波大学社会・国際学群(法学専攻は英語+法学)、中央大学法学部(法律学の基礎に関する論述)、法政大学法学部(法学・政治学に関する論述)、関西大学法学部(法学・政治学の論文)、上智大学法学部(学科試問〔小論文〕) |
| 標準ルート 基礎知識・小論文型 | 京都産業大学法学部、龍谷大学法学部、駒澤大学法学部、甲南大学法学部、京都女子大学法学部、国士舘大学法学部(学科により民法・刑法/憲法)、三重大学人文学部(法律経済学科は論述)、鹿児島大学法文学部(法学コースは法学)、琉球大学人文社会学部(法学プログラムは小論文) |
同じ大学でも学科・コース・編入年次によって科目が違います。ここに挙げたのは目安です。必ず志望する学科の募集要項で確認してください。法学部を持つ大学の一覧は法学・政治学系の実施大学一覧から探せます。
いつまでに何を終えるか
試験日から逆算した目安です。始める時期が遅いなら、その分だけ各段階を縮めて進めます。
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試験の1年前
志望校の専門試験の型(筆記・論述・小論文)と志望理由書・面接の有無、英語の扱いを確認し、買う本を決める。入門書に着手。スコア提出型なら受験計画もここで立てる。新書を読むならこの時期(直前期は読む時間が取れません)
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6〜8か月前
法学入門レベルの本と憲法の基本書。ここが最も時間がかかります。英語も並行して毎日続ける
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4〜6か月前
難関大ルートは民法・刑法・政治学へ広げる。標準ルートは憲法の2周目と基礎の穴埋め。答案練習・小論文の練習をここから始める
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2〜3か月前
過去問。時間を計り、答案を最後まで書き切る。書いた答案は添削を受ける
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1か月前
書いた答案の書き直しと、時事の総ざらい。新しい本を増やさない
過去問は最後に取っておくものではありません。勉強を始める前に一度目を通し、どんな形式で何が問われるかを見てください。そこで見た形式が、買う本と進める順序を決めます。
法学の答案は、自己採点がいちばん難しい科目のひとつです。数学と違って答えが一つに定まらず、「書けたつもり」の答案に論点の抜けが残ります。過去問演習の段階では、答案を読んで指摘してくれる相手を必ず確保してください。
やってはいけない4つの使い方
- 基本書を何冊も並行して読む。本によって学説の立場が違い、通説がどれか分からなくなります。1冊を決めて繰り返し、他は辞書として引くのが確実です
- 読むだけで、書く練習をしない。論述式・小論文型の試験は、白紙から答案を組み立てる力を採点します。読んで分かることと書けることの間には、はっきり段差があります
- 志望校が課さない分野へ手を広げる。民法・刑法まで明示する大学は一部です。課されない分野に使った時間は、そのまま憲法と答案練習の時間を削ります
- 過去問を見る前に、本を読み始める。時事も新書も、範囲を決めずに手を出すといくらでも時間を吸われます。先に過去問で問われ方を見て、そこから逆に読む本を決めてください
あとは、いまの自分の位置から何を先にやるかです。志望校と現在の状況をうかがったうえで、順番を整理します。
ボタンを押すとオンライン編入学院の公式LINEが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。
まとめ
- 法学部の編入は、ほぼ全員が初学者から始めます。差がつくのは読む順序です
- 出題は1〜2年生の範囲まで。難問ではなく、多くの受験生が取れるところを落とさないかで決まります
- 志望理由書と面接の有無を最初に確認。専門科目に振れる時間がここで決まります
- 入門書 → 法学入門レベル → 憲法の基本書 → 答案練習の4段階。基本書からいきなり入らないでください
- 標準ルートは3冊の土台を固めるところまで。難関大ルートは末川博『法学入門』を軸に、民法・刑法、政治学、答案練習を上乗せします
- 小論文型は、書き方の型と時事の引き出しを別に準備する。書いて添削まで受けてください
- 英語は筆記型かスコア提出型かを最初に確認。スコア提出型は日程の逆算が参考書より先です
- 過去問は最初に一度見る。形式が、買う本と順序を決めます
科目別の参考書ルートの全体像と、参考書の使い方の共通原則は編入試験の参考書ルートにまとめています。法学・政治学系で合格者の使用が多い本は法学・政治学系の参考書レビュー一覧から探せます。試験の日程や出願の段取りは編入の出願手続きとスケジュール、出願できるかどうかの条件は編入の出願資格と必要単位を確認してください。
よくある質問
法学を勉強したことがなくても、法学部に編入できますか?
できます。高校には法学という科目がないため、法学部の編入試験は、ほとんどの受験生が初学者の状態から始めます。差がつくのは順序です。入門書で法律の全体像をつかんでから、法学入門レベルの本、憲法の基本書へ進んでください。基本書からいきなり入ると法律用語の壁で止まりやすく、入門書を1冊挟むだけで読み進めやすさが大きく変わります。合格した先輩にも、編入対策で初めて法学を勉強した人が多くいます。
法学部編入の参考書は何冊くらい必要ですか?
標準ルートなら、入門書・法学入門レベルの本・憲法の基本書の3冊に、英語の教材を足した構成が土台になります。論述式の大学や、民法・刑法・政治学まで範囲に入る大学を受けるなら、そこに分野ごとの本と答案練習の本が加わります。大切なのは冊数を増やすことではなく、決めた本を繰り返し読んで自分の言葉で説明できる状態にすることです。まず志望校の募集要項で専門科目の出題形式を確かめてください。
憲法から始めるのはなぜですか?民法や刑法も必要ですか?
憲法は法学部の編入試験で出題の中心になりやすく、条文・判例・学説を突き合わせて考えるという法学の型を身につけやすい分野だからです。民法・刑法まで必要かは大学によります。試験科目に憲法・民法・刑法と明示する大学がある一方、法学の基礎知識や小論文だけの大学も多くあります。募集要項で科目名を確かめてから手を広げてください。課されない分野に使った時間は、そのまま憲法と答案練習の時間を削ります。
論述式の大学は、知識を覚えるだけでは足りませんか?
足りません。論述式では、問いに対して定義を示し、論点を立て、学説や判例を踏まえて自分の結論まで書き切る力が採点されます。基本書を読んで分かったつもりでも、白紙から書くと手が止まるのが普通です。答案の組み立て方を型として学べる本を1冊挟み、過去問のテーマで実際に書き、書いた答案は添削を受けてください。法学の答案は自己採点が難しく、書きっぱなしにすると弱点がそのまま残ります。
英語はTOEICのスコア提出と筆記試験のどちらですか?
大学によって分かれます。スコア提出型なら、出願に間に合う受験日から逆算して、参考書より先に受験日程を押さえてください。スコアの返却には時間がかかるため、直前の受験では間に合わないことがあります。筆記型は、法律や社会を題材にした英文の和訳・読解が中心になる大学が多く、文構造を正確に取る練習と長文演習を積みます。募集要項の英語の条件は、参考書を買う前に読んでください。
小論文型の大学は何を準備すればよいですか?
書き方の型と、時事の引き出しの2つです。小論文の基本ルールを短くまとめた本で型を身につけ、法・政治分野のテーマ集で頻出の論点を押さえ、時事キーワード集で近年の社会の動きを補います。そのうえで志望校の過去問のテーマで実際に書き、添削を受けてください。法学の知識を問う小論文では、憲法の基本的な考え方を押さえているかどうかで答案の説得力が変わります。
志望理由書や面接がある大学とない大学で、勉強の進め方は変わりますか?
変わります。志望理由書は書き上げるまでに数か月かかることがあり、その分だけ参考書に使える時間が減ります。面接まである大学では、書類と食い違わないよう想定問答まで作る必要があります。逆に志望理由書も面接もない大学は当日の答案がすべてなので、専門科目と英語に時間を全部振れます。募集要項の「出願書類」と「選抜方法」の欄で確認してから、買う本の量を決めてください。
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